2015年07月24日

「香川県の民話 満濃池の竜神ほか」民間伝承と現代創作の区別もついてない酷い書籍

香川県の民話―満濃池の竜神ほか (県別ふるさとの民話 (38))
香川県の民話―満濃池の竜神ほか (県別ふるさとの民話 (38))

見返しと、「はじめに」に

県民は心やさしく、はたらき者です。ですから民話にも、ゆったりとした、おどけたものがおおいようです。


とかしつこく書かれてる。自分で言うか普通?って思ったし、女性や女の子の自己犠牲や人柱の話がしょっぱなから連発…逆に県民性が良く解りました。

そしてツカミから読んでまず思ったのはやたらと地名をこじつけて絡めながら、藤原不比等だの、後醍醐天皇だの、そして何処にでも広域に出没するヤマトタケルだの近場の京都側の権威を借りての話が多い。
・・・というと、民話というよりも創作じゃねえの?って感じがいきなり臭った。

そして高松の「桃太郎の鬼たいじ」という話で、今更…と思いながら2ページ読んだ。
あーこれは桃から生まれるんじゃなくて、原型に近い桃を食べて若返った爺婆が小作りして生まれるタイプだな。でも柳田国男の「腿から生まれた説」だの含めてとっくに知ってるんだよなー…と思いつつ、

桃太郎の誕生
桃太郎の誕生

ページをめくった段で、俺は「えっ!?」と声を思わずあげてしまった。

「しめた、男の子じゃ。」
おじいさんがとんでいってみると、なんと男の子のようにげんきのいい女の子


マジか!?
民話の段でまさかの女体化アレンジバージョンが存在!?

[Blu-ray」TVモモキュンソード 上巻
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で、なんでじゃあ桃子姫じゃねえんだよ!って即時ツッコミも、鬼に攫われないように男の子の名前を付けるって理由づけにはやや納得。

幼児の時点での病死などを魔物のせいだと思ってた昔の人は、あえて「悪」だの嫌われる名前を付けた後に改名をするって手順を踏んだ。

おじゃる丸だのの「丸」って名前も「おまる」(御虎子)の事で、便器呼ばわりしておけば鬼も嫌がるだろって発想からだ。

アガツマ アンパンマン 5WAYおまる おしゃべり付き
アガツマ アンパンマン 5WAYおまる おしゃべり付き

で「実は女の子設定」で一体何が起こるんですか?と思って読み進めたが…その後は性別は何ら関係なく普通に展開・・・女の子だった意味ねえ。
逆に鬼が降参した後に、返した宝が惜しくなって、鬼ヶ島から船出した桃太郎を、船で先回りして襲撃し、返り討ちにあうって展開は逆に捻りすぎて蛇足だろと。

挙句、村人全員で万歳って叫んだって記述があった。
これは少なくとも明治以降の創作であって民話じゃねえなと判断。

騙してんじゃねえぞ屑が!
つーか子供の本であんまりな嘘ついてんじゃねえぞカス!

あとがきでも地名を絡めた説明をしながらも、黍団子が出てくるので岡山県の民話の色が濃いだの言い訳してる。
名称を「うどん県」にするってレベルの小麦粉もの文化圏なのに黍団子はあまりに有名パターンだったのを、香川なりの代替物を思いつかなくてそのまま雑にパクっちまったって結果だなと。半島や大陸の連中と同レベルかお前ら?

谷田製菓 きびだんご 5本セット
谷田製菓 きびだんご 5本セット

てなことで、この書籍を民話集とするのは如何なものかという感じが強い。

押し付けがましい解説をしているのが香川茂という人で方言のイントネーションにまであとがきで拘っている割に実際の文面には創作や現代語が多すぎて書籍の編集方針としてはデタラメな印象を受けざるを得ない。
先の桃太郎で「万歳」だの、「ほうこさん」という話では昔話なのに「体温」なんて記述もみられて、あまりにも一貫性の無い内容の酷さに呆れた。
ググると元中学校教諭で文学教育とか御大層な説明があったが、当時はWebが無かったからこの程度で賞もとれたんだな。

教育にアンタッチャブルなし
教育にアンタッチャブルなし

再話元の人物が各話にこの書籍のシリーズは記載されているのだが、逆に元の話を語った大元の方の名前の方が著作権や資料的には価値があるんじゃねえのか?作家が俺が俺様がかよと。
それとも創作ばっかり過ぎてソースが開示できなかったか?(苦笑)

そして安っぽい表現のお涙頂戴的な過剰演出がされている話だなと思うと大概、西野勝久という人物が再話をしている。

母なるもの―西野勝久集 (日本詩人文庫)
母なるもの―西野勝久集 (日本詩人文庫)

そして本文を読んでいた段階で民話としてはあまりに疑わしいと思っていた話が、解説を見るに「これはひどい」と言わざるを得なかった。

最後に収録された再話者が永田敏之とされている話について

この一編は再話者がくみたてた詩情あふれる現代民話です。


だの、いけしゃあしゃあかいてある!

おいおい!現代にただ作っちまってる話だったら、それどこも民話じゃねえし!

勝手に作った個人の創作が民話としてOKだったら、現代ドラマも特撮もアニメもマンガもSFもそれらのオハナシがみんな民話になっちまうだろが!!!

香川 (ふるさと文学館 四三巻)
香川 (ふるさと文学館 四三巻)

日本児童文学者協会とやらはそれでいいのか?
民話には民間伝承であることが不可欠だと普通思うんだけど。

創作畑の感覚と、学術畑の定義常識は違うのかもしれないが、
子供に「民話です」って言って現代の個人創作を読ませるのは虚偽に当たるんじゃないの?
あまりに酷くないか?正に子供だましで商売か?
とっくに絶版してる本で、書いてた奴等の書籍もとっくに絶版だらけで世間に認められず消えてて、コンテンツとして残る価値も無かったレベルの作品だろうとも叩かずにはいられない。

逆に例えば、今年の2月に亡くなられた松谷みよ子氏は師匠は坪田譲二だし、日本児童文学者協会と受賞などもあり浅からぬ関係だったと思うけど、民話の小泉小太郎を元とした自分の創作の龍の子太郎を民話ですとは決して言わないだろう。

龍の子太郎 [DVD]
龍の子太郎 [DVD]

こんな基本的な事も知らない大人の集まりが子供に読ませるものを書くとか、それを金をとって売るとかゾッとするわ。

民話の世界 (講談社学術文庫)
民話の世界 (講談社学術文庫)

posted by wolf_howling at 01:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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