2015年11月21日

藤子・F・不二雄大全集「ジャングル黒べえ」

ジャングル黒べえ (藤子・F・不二雄大全集)
ジャングル黒べえ (藤子・F・不二雄大全集)

ジャングル黒べえ、アニメの方は幼少期に散々再放送してたので大好きだったんだけど、ちびくろサンボ狩りだのの余波でメディア側が自粛したせいで

ちびくろ・さんぼ
ちびくろ・さんぼ

マンガの再版は2010年のこの書籍で。
そしてDVD化は来月12月9日の発売となる。

自分はコミックの方も小学館の学習雑誌で一部は目にしていたのだが、ドラえもんのように各学年で掲載されていた本作を全部目にするのは初めてだった。

ここで藤子F不二雄の技量が本当に素晴らしいと再確認させてもらえるのは、就学前の幼児が対象の「よいこ」から「小学五年生」までの連載でシノプシスやアイディアは同じものもあるので尚更解り易いのだが、幼児には1コマや多くても3コママンガなどで平易な表現をしており、高学年になるほどページ数も増してストーリー展開とオチをやや複雑にしていく描き分けをしているのが比較できるので良く伝わる。

それとキャラクターや物語から感じるのがオバQと、ヒットした方のドラえもんとの過渡期の作品な事をシミジミと受け取った。

オバQは飛行能力や透明化などの特殊能力を持ってはいるものの、妹弟のP子やO次郎たちと違って化ける事もできず、気のいい粗忽者キャラクターだ。

オバケのQ太郎 1 (てんとう虫コミックス)
オバケのQ太郎 1 (てんとう虫コミックス)

時系列的には黒べえが観ているテレビ画面にドラえもんが描いてある。
黒歴史版のドラえもんはモノクロ作品で、黒べえはカラー作品。
そして黒べえはアニメ化前提で先にアニメの製作が始まり、原作とされる藤子F側が合わせてマンガを描いた「唯一の」メディアミックス作品だ。
なので黒べえは、ドラえもんの後ではあるものの、黒歴史としてアニメが葬り去られた方のドラえもんは成果が上がらないので、ガチャ子というアヒルロボットがサポート用としてテコ入れで出る位にドラえもん自身はうっかりキャラの感じも強い。つまりヒットした後の「頼りになるドラえもん」とは少し違う。

ドラえもん 3 (藤子・F・不二雄大全集)
ドラえもん 3 (藤子・F・不二雄大全集)

黒べえの物語の中に部屋の床が液状化して泳げるようになる魔法の話が出てくるのだが、これは、ひみつ道具「ドンブラ粉」のベースとなるものだろう。

ドラえもん (12) (てんとう虫コミックス)
ドラえもん (12) (てんとう虫コミックス)

藤子Fマンガのキャラクター達にはマレビト的に居候するのがお決まりで多いが、黒べえが恩義を感じて友人となる佐良利しし男は気が弱い所もあるが、のび太のように極端な多々の不得意を抱えたキャラではない。むしろ黒べえの魔法は失敗するから逆に唱えた方がいいとアドバイスしたりで、一本気ではあるものの日本の都会に慣れてない黒べえの「ジャングルの常識!」や魔法の失敗に振り回される役柄だ。
つまりはオバQの正ちゃんにやや近い。

黒べえは魔法の力で役に立とうとするけど大概は失敗するというギャグは、ドラえもんの「ひみつ道具」でのストーリー展開と非常に似通った流れなのに、キャラが違う事で物語から受ける印象が相当違う!

整理すると

「オバQ=不思議な能力を持つ粗忽者」、「正ちゃん=普通の子」

「黒べえ=不思議な能力を持つ粗忽者」、「しし男=普通の子」

「黒歴史ドラえもん=不思議な能力を持つ粗忽者」、「のび太=粗忽者」

「ヒットしたドラえもん=不思議な能力を持つ頼りになる友人」、「のび太=粗忽者」

という大きなマレビトキャラと訪問先の子のキャラ転換がある事に気づいた。

オバQも何度かリメイクされているが、時流によって人気が出るキャラの個性も変わってきているのだろうと考える。
その世相の変化については藤子F自身も劇画オバQで時流ギャップ自体をテーマにしている。

藤子・F・不二雄短編集 全宇宙のサラリーマン達へ!―劇画・オバQ (My First Big)
藤子・F・不二雄短編集 全宇宙のサラリーマン達へ!―劇画・オバQ (My First Big)

なので気のいい粗忽者オバQと、できる子ドラえもんという極端に立ったキャラの間では、黒べえ自身はなんとも中途半端な感じもしなくもない。黒べえは幼児用の方では成功した魔法で楽しく人の役にたっているが、高学年用では魔法と文化ギャップでドジなハチャメチャキャラとなってしまっている。

なのだが私自身は抜けた所もあるけど元気で一本気な黒べえがキャラとして好きなのだ。
魔法は物理法則を無視した現象を引き起こせるが殆どは失敗するし、どちらかといえば暴れん坊(電車や自動車と同速度で走れて、飛行機にしがみついて日本に来たという驚異のフィジカルの持ち主!)。何より極端ではあるが義理堅く、道徳についても厳格。まあその道徳基準も「ジャングルの常識!」の範疇でもあるのだがW。

西暦1960年はアフリカの年と呼ばれ、アフリカでは多くの国が植民地からの独立を果たした。
そして70年代には作家のアフリカ旅行記やアフリカの紹介番組が多かった事も記憶にある。

ジャングルから来た不思議な力を持つ元気な少年のマレビトが経済成長の一方で公害などが問題になった日本でハチャメチャな事をするというのがベースアイディアの物語だが、日本の時代背景や流行的なものは物語の中でそんなに感じられなかったので、今の子供達が読んでも普通に読めそうに思った。
(とはいえ、丸々1個のスイカを買うって事だけは減ったかも?と思った。
それほどにやたらとスイカが物語に絡む回が何度も何度も出てくるほど多くて、なんか藤子Fはスイカ好きだったのかなあ?とかも思った。)

アニメ版だとジャングルからくる不思議な動物たちも好きだった。
パオパオを筆頭に、デンデンワニとかダックスキリン、ブラミンゴ。

ジグソーパズル プチ ドラえもん 204スモールピース パオパオ大行進 (10cm×14.7cm、対応パネル:プチ専用)
ジグソーパズル プチ ドラえもん 204スモールピース パオパオ大行進 (10cm×14.7cm、対応パネル:プチ専用)

カラー扉のキャラ紹介ページにどうやって黒べえ達が日本に来たかがざっくり絵付きで1ページに纏めて書いてあって、
黒べえは飛行機にぶら下がってきたって設定も凄いんだけど、
パオパオは泳いで日本まで来た(!)
赤べえは小包に入って来た(WWW)
もうこの1ページ目から笑える設定にメロメロW

そして巻末にはアニメ版の黒べえ役で初の主人公だった肝付兼太が寄稿している。

ホントに何となしにふと読んだのだが、来月に封印状態だったアニメ版もDVD化される事をこの記事を書きながら調べて知った次第。

黒べえに呼ばれたのかなあ?

ともあれ絶版でなくなったおかげで最終回を読めた事は兎に角、良かった。

ジャングル黒べえ DVD-BOX(初回生産限定)
ジャングル黒べえ DVD-BOX(初回生産限定)

posted by wolf_howling at 20:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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