2016年07月03日

ちくま評伝シリーズ 藤子・F・不二雄「ドラえもん」はこうして生まれた 

ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉藤子・F・不二雄
ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉藤子・F・不二雄

前書きでアメリカでのアニメ版ドラえもんのテレビ放送で、オムライスはパンケーキに、通貨はドルにって加工がされてる事に触れて
ジャイアニズムのお決まりセリフ
「俺のものも俺のもの。お前の物は俺の物」が
「What's mine is mine, What's yours is mine.」ってされてると書いてある。

でも、逆に英語側が起源じゃねえの?
「What’s is mine is yours, and what is yours is mine」が
シェークスピアの「尺には尺を」(Measure for Measure)に使われてて
http://proverbhunter.com/proverb/whats-yours-is-mine-and-whats-mine-is-my-own/

Measure for Measure (The Arden Shakespeare. Second Series)
Measure for Measure (The Arden Shakespeare. Second Series)

ジェームズ・ジョイスがそれのパロディで
「What's yours is mine, and what's mine is my own.」
っての言ったらしい。

Likes the quote: "What's yours is mine and what's mine is my own." https://www.goodreads.com/quotes/586657

ユリシーズ 文庫版 全4巻完結セット (集英社文庫ヘリテージ)
ユリシーズ 文庫版 全4巻完結セット (集英社文庫ヘリテージ)

冒頭からこんなザマ。

評伝にせよ、藤子や手塚の何処がどうなのかを公平に論評せず闇雲に「名作」だの闇雲に褒めすぎ。
何が如何よかったとか、何処に新規性があっただのの説得力にあまりに乏しい。
実際にそういう面があって評価されてる所はそうかけばいいだけ。
だけど、あまりにこの書籍を書いた人の知識がお粗末。

新宝島の映画表現について

新宝島 (手塚治虫文庫全集)
新宝島 (手塚治虫文庫全集)

>当時のマンガは四コマのように背景が変化しない舞台的手法で描かれるものがほとんどでした。


だの書かれてるが、手塚が子供の頃に読んでた「のらくろ」時代にせよ見開きの野戦シーンとかあるっての!(手塚自身の自伝にそれを読んだ事が書いてある!)

田河水泡―のらくろ一代記 (人間の記録)
田河水泡―のらくろ一代記 (人間の記録)

何より田川水泡の前に例示してある山川惣治の絵物語を読んだことないんじゃねえの?!

山川惣治―「少年王者」「少年ケニヤ」の絵物語作家 (らんぷの本)
山川惣治―「少年王者」「少年ケニヤ」の絵物語作家 (らんぷの本)

これ書いた人は実物=1次資料を読んでさえいれば絶対に書かない事を書いてしまってるので、マンガの評論書籍だのを鵜呑み丸写ししてレポート書いてるとこうなっちまうんだろうなーってザマ。

末尾の年表も出典丸写しで、出来事があった時点についても裏を全くとってない、
コピペじゃねえか!

伝記だのを書く際に対象の人物や関連製品だのに詳しい必要はあるだろう。詳しくない人が文章書いちゃうとこうなっちまうから。
だけど、ファンとか思い入れが深い偏った人間が書いちまうのもアウト。
子供が読む書籍として手塚にはこういう面があるとかって知識もなく、判読が付かない嘘が書いてある酷い有様だ。
何で俺みたいなオッサンが読んだこの本について「子供が読む書籍」と書いてあるかといえば末尾に設問だのくだらないものがあって、

>設問2 藤本少年と安孫子少年の性格をまとめてみましょう。


だの、おせっかい極まりないことがされてるからだ。

文章を読んで自分で色々と考えるのではなく「テストの為の読書」を誘導するような大人どもが、こんな御都合で嘘ばかりの書籍を子供に向けて平気で出すんだなと。

もし藤子Fがこんなのを、この本をみたら、渋い顔するだろうなーと。
子供達が興味を持って自然と知識を身につけられるような学習マンガを描いていた時期もある藤子Fだからこそ、こういう強要を子供にする書籍には多分に反対の立場をとると思う。

そして瀬名秀明が巻末エッセイだの書いてるが、おめえの経験なんざどうでもいいわ。
子供達にとってはミトコンドリアが反乱起こす駄文書いてる奴の人生の一部なんて正にどうでもいいわ。

パラサイト・イヴ (新潮文庫)
パラサイト・イヴ (新潮文庫)

さて酷評はここまでで、資料箇所を。

トキワ荘メンバーを中心にアニメ会社を起こしたもののアニメ制作自体は鉄腕アトム第34話「ミドロが沼の巻」の各マンガ家個性あふれるバラバラ作画大失敗を経て手塚からも2度と業務発注がなかったりしたスタジオゼロという企業があった。

鉄腕アトム Complete BOX 1 [DVD]
鉄腕アトム Complete BOX 1 [DVD]

藤本が3年ごとに代わりばんこの社長を引き受けてたのだが、新連載をうけたくても藤子Fとしては連載が手一杯だけど仕事は受けたい、という事でスタジオゼロとして分業できるマンガを受注した。

それが「オバケのQ太郎」である。

オバケのQ太郎 1 (てんとう虫コミックス)
オバケのQ太郎 1 (てんとう虫コミックス)

Q太郎、P子、O次郎、U子、ドロンパのデザインや作画は藤子F。
正ちゃんのデザインは藤子A、名称は石ノ森章太郎から。
ガキ大将ゴジラ、よっちゃん、ハカセは石ノ森章太郎デザインと作画。
正ちゃんの兄、伸ちゃんは藤子Aデザイン。名称は鈴木伸一というか、ラーメン大好き小池さんと同じく、顔も鈴木伸一の似顔なんだろうW

小池さん!大集合
小池さん!大集合

この本だと少年サンデー編集者がキャスパーを元にお化けマンガを提案したと書いてある。

キャスパー スペシャル・エディション [DVD]
キャスパー スペシャル・エディション [DVD]

オバQは読者の反応がなかった事を理由に編集者が9話で打ち切りを決めたものの、終了後に「何で終わらせたんだ!」ってハガキが殺到。3か月後に「かえってきたよ」と復活。そしてアニメ化し大ヒットに。
サンデー編集者の無能が歴史に刻まれた結果となっている。
(小学館はキャラクタービジネスで大儲けして神保町の社屋はオバQビルと呼ばれたとかはこの本には書いてない。)

一方で驚異的な大人気作品だったのだが「グッズを売る為に新作のアニメが必要だから、マンガを打ちきって新作マンガを描け」という現代みたいにgdgd状態のマンガでも連載させてるザマでは考えられない事があり、藤子Fもショックを受ける。そしてパーマン達はオバQ程には大ヒットしなかったのだ。

パーマン 1 (てんとう虫コミックス)
パーマン 1 (てんとう虫コミックス)

そりゃあ劇画オバQも描きたくなるわと。

藤子・F・不二雄短編集 全宇宙のサラリーマン達へ!―劇画・オバQ (My First Big)
藤子・F・不二雄短編集 全宇宙のサラリーマン達へ!―劇画・オバQ (My First Big)

この辺、ビジネスを仕切ってる側の失敗な面が明らかに大きいと言わざるを得ない。
永井豪もずっとマジンガーZを描いていたかったのに玩具を売る為にグレートの登場となる。

スーパーロボット超合金 マジンガーZ アイアンカッターEDITION 約135mm ダイキャスト&ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア
スーパーロボット超合金 マジンガーZ アイアンカッターEDITION 約135mm ダイキャスト&ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア

だから剣鉄也やグレートの扱いは酷いんだろうなーとか。
でもダブルマジンガーは見ていた当時、すげえ!って本当に興奮した。読者や視聴者にとってはグレートな超展開だった。

マジンガーZ 劇場版 コンプリート DVD-BOX (全7作品, 540分) 東映まんがまつり 永井豪 アニメ [DVD] [Import] [PAL, 再生環境をご確認ください]
マジンガーZ 劇場版 コンプリート DVD-BOX (全7作品, 540分) 東映まんがまつり 永井豪 アニメ [DVD] [Import] [PAL, 再生環境をご確認ください]

ともあれ、オバQがそのまま続いてたらドラえもんは生まれなかった可能性もあるからねえ。
ドラえもんもアニメ化するから何か原作として新作描けってこれまた現代では想像もできないような状態なんだけど、日テレでやったドラえもんは半年打ち切りの黒歴史。
そして、ここでも小学館は一旦、ドラえもんを打ちきりって話にする。
「帰ってきたドラえもん」は実際に最終回として書かれたものだ。

UDF 帰ってきたドラえもん(2体SET) 「藤子・F・不二雄作品」シリーズ7 ノンスケール PVC製塗装済み完成品
UDF 帰ってきたドラえもん(2体SET) 「藤子・F・不二雄作品」シリーズ7 ノンスケール PVC製塗装済み完成品

小学館はオバQの二の舞をやる所だった。
全く学習能力がないのに、子供向けに学習雑誌と銘打ったものを売ってた事が判る。
この評伝には書いてないんだけど、てんとうむしコミックスの単行本にする予定すらなかったのを、じゃあ新作用の原稿料UPしてってのに対して、じゃあこれまで書いたのの印税でって話の流れで、編集が勝手にピックアップした作品を掲載した本を出した所、売れたので連載継続。そして、アニメ化の大ヒットを経て現在のグローバルでの知名度に至る。

結論:小学館編集は無能。

とざっくりこの本のフォローアップまで俺がしてるし、ハムサラダくんみたいな過剰演出してるのまで読んでる俺にはこれといって収穫はそんなにはなかった。

藤子不二雄物語ハムサラダくん (別冊エースファイブコミックス)
藤子不二雄物語ハムサラダくん (別冊エースファイブコミックス)

藤子Fが幼少期に読んだジョン・バッカンの「魔法のつえ」がドラえもんや「すこしふしぎ」に影響があったのではって、たった1文だけ。

魔法のつえ
魔法のつえ

posted by wolf_howling at 10:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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