2017年06月12日

荻野真『孔雀王』『孔雀王 退魔聖伝』『孔雀王 曲神紀』

孔雀王 第1巻
孔雀王 第1巻

もう終わったけど、ebookjapanの全巻無料キャンペーンで、全巻読破したよ、ええ。
http://www.ebookjapan.jp/ebj/free/campaign/20170609kujakuou/index.asp?dealerid=30077

って言っても無印と退魔聖伝は全巻持ってるんで、その辺はパラパラと眺める感じで。

俺、ヤンジャンの新人賞の紹介ページで孔雀王の何コマか見た段で
「これ、来るだろ!」
って学生時代に即時に思った記憶まである。
そして、実写版は2作作られて、OVAも作られた作品にまでなった。

でもねえ。ユンピョウ出てる実写版のあの出来が相当にイメージダウンにつながったと思うんだよなー。

Peacock King by Gwok Wa Cheung
Peacock King by Gwok Wa Cheung

三上博史の「臨兵闘者皆陣列在前 しょわ〜」って最後に気迫の感じられない間抜けな掛け声がホントに失笑ものの学芸会でそれを何度も何度もやるのがイチイチ鼻につく。

楽曲はミッキー吉野で、テーマソングのハードロック、ロクサーヌの「Burning Through the Night」も割とよかった。(だけど再リリース分含めて収録されてないという…コンテンツって眠っちゃうものなのね。)

「孔雀王」オリジナル・サウンドトラック
「孔雀王」オリジナル・サウンドトラック

Roxanne
Roxanne

んだけど、一番盛り上がらなければいけないラストバトルで全身緑色に塗ったパンツ一丁のオッサンがボス敵ってザマをみて、日本に特撮ってのはあってもSFXってのは無いんだなって感じた作品。

ゴールデン洋画劇場で、その最悪な出来のシーンを高島忠夫が「いかがでしたか。ラストの皆魔障外神が地獄門から現れたシーン!」って言うから、どうもこうもねえよ!最低の出来だろ!って思った事まで心に深く刻まれてる。

(そして実写版「進撃の巨人」で邦画ってのは原作崩壊も陳腐な特撮も全く進歩してないクソレベルって良く解る。)

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN  DVD 通常版
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN DVD 通常版

しかも実写版2作目、阿部寛が孔雀をやってる「孔雀王アシュラ伝説」の方は慈空役の勝新太郎がパンツにマリファナとコカイン入れてて逮捕されたせいでフジサンケイの後援映画だったにも関わらずTV放映もされずお蔵入り。

孔雀王アシュラ伝説[阿部寛][Laser Disc]
孔雀王アシュラ伝説[阿部寛][Laser Disc]

そして、89年に逮捕された宮崎勤の事件を切欠にマスゴミと政治屋達はオタクとエログロを大バッシングする事を開始。

前略、殺人者たち 週刊誌事件記者の取材ノート
前略、殺人者たち 週刊誌事件記者の取材ノート

そして95年。オウムの地下鉄サリン事件の前後でオカルト忌避が進み、ファンタジーブームはあったものの、実際に存在する宗教との距離を置いた設定の方にコンテンツはシフトしていった。

まあ荻野真も、ALGO!とか書いてた時期もあったけど、

ALGO! 第2巻
ALGO! 第2巻

>“ALGO!”. 孔雀の実家(荻野真公式サイト)
http://www4.airnet.ne.jp/kujaku/catalog/algo/algo.htm

>しかし私の狙いはさほど悪くなかったと見えて、連載終了半年後には内容が酷似したアニメとドラマが二本放映されましたが(いずれも某T谷プロで、私には何の告知ありませんでした)、いずれもワンクールすらもたず打ち切り。文句を言う気にもなれませんでした。


読者が解らないってのなら、表現力や伝達力に問題があるって証拠でもあるだろ。キャッチーな噛み砕いた表現を漫画で出来てないって話で。
正直言って上記は読者のPCへの理解不足の問題じゃなくて、どれもこれも設定の詰めの甘さばかりが先行した結果だったと思う。

ハード改造もプログラミングもしてた学生から言わせてもらえば別段新しいアイディアでも何でもなく「TORONの焼き直し」にすぎない上に、

トロン:オリジナル [Blu-ray]
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デジタルネタにしたいのかオカルトネタにしたいのか中途半端極まりない設定な上に、絵でもナウシカのヘビケラをパクったりとかもアカラサマだったよねと。

風の谷のナウシカ [DVD]
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>私には何の告知ありませんでした


って、自分が夢枕獏に「盗用だ」って噛み付かれた事を根に持ってるんだろうけど、編集が法律に詳しくねえ素人だったってだけだな。
特許や商標や意匠の侵害やパクリはアウトだ。でも、

「アイディアには著作権は無い」

政府機関もWebにこう掲示してるわい。

>著作権なるほど質問箱 - 文化庁
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/naruhodo/outline/4.1.html

>「アイディア」が著作物から除かれます


つまり裁判費用だのは掛かったかもしれないが
「訴えてみれば?絶対にその裁判にはアンタ負けて恥晒すだけだけどW」て済んだ話なのにね。
実用に耐える知識って大切ね。
Webの普及してなかった時代にせよ法律についてだってちょこっと文献調べれば判った話だろうになあと。

但し、「引用」って事に関しては出典の明示は必須だし、
引用の場合は許可を得る必要すらもそもそもない。

そして「参考」については法的な決め事は無い。なので自発的にマナーとして感じたら参考文献の出典を明示しとくって事はある位かなーと。

逆に孔雀王単行本の1巻買った時も、巻末に参考文献リストが載ってるマンガってのは随分と変わってるなとは思ったものだ。

とか通して読みながら色々と作品以外の事も思ったもんだ。
通して読んで再確認したのは
「パワーインフレと弱体化の繰り返し」
「黄幡星と人造孔雀王のバーゲンセール」
「新キャラが出ては行方不明が多すぎ」

手塚治虫がデタラメやっても許されてた時代とは違って、キン肉マンの連載当時ですら、小学生でも死んだはずの超人が何の説明も無しに復活してるのには違和感を感じる時代にシフトした後の作品としては、やっぱりツライよなーと。

キン肉マン 59 (ジャンプコミックス)
キン肉マン 59 (ジャンプコミックス)

続き物なのに毎回毎回に「世界の終わり!」ってなるよりも、単行本未収録で後から纏められてたのとかみたいに単話型とか、「怨霊侍」みたいなののが取り回しは良いと思うんだよね。
(「怨霊侍」はエログロ如何のじゃなくてキャラとしての魅力が足りな過ぎた事の方が敗因だと思う。)

怨霊侍 第1巻
怨霊侍 第1巻

退魔聖伝の唐突かつ中途半端な連載停止は連載をおっかけて単行本も買ってた側としては当時ショックだったのと、曲神紀まで13年のインターバル、そして中途半端な打ち切りってのもなー。
これってこれまで雑誌や単行本を買ってきたファンへの裏切りでしかないんだよ。
それによる信用やブランド棄損ってのは本当に大きいと思う。
連載再開しても「またどーせ中途半端で終わるんだろ。そんなもの金払って読めるか!」って普通は考えるよ。

しかも「新キャラが出ては行方不明が多すぎ」で続き物って言われても、読者側は納得いかないわけですよ。
よっぽど北斗の拳やジョジョみたいに「見せ場与えて死んじゃう方がキャラとしては映える」のに。

北斗の拳 イチゴ味 7 (ゼノンコミックス)
北斗の拳 イチゴ味 7 (ゼノンコミックス)

ジョジョの奇妙な冒険 第1部 ファントムブラッド Blu-ray BOX<初回仕様版>
ジョジョの奇妙な冒険 第1部 ファントムブラッド Blu-ray BOX<初回仕様版>

そうそう!通して読んでて、王仁丸の頃は北斗の拳の影響バリバリで、大聖はディオの影響まざまざだったなと、連載読みながらも感じた事を思い出した。
んで、「黄幡星と人造孔雀王のバーゲンセール」編の倶摩羅やオルガとオカン編が陰惨なだけでかったるくて、しかもこれ夜叉王とかから金色のファルコが元ネタじゃんって、風化もしてない作品を元ネタにして同系列雑誌に載せちゃうのどうなの?ってホント思った。

リボルテック ファルコ 北斗の拳REVOLUTION Series No. 015
リボルテック ファルコ 北斗の拳REVOLUTION Series No. 015

捨て駒や噛ませ犬キャラの方はアカラサマに不遇なので解りやすすぎちゃうんだよね。そいつに感情移入する前に死んだり消えたりしちゃうし。日光レベルですらだし。

>本家「孔雀の実家」インターナショナル 怨霊侍
http://www4.airnet.ne.jp/kujaku/catalog/onryouji/onryouji.htm

>私の漫画人生初の「連載打ち切り、BJ誌出入り禁止」の処分をくらってしまいました。


って事だから、退魔聖伝は打ち切りじゃなく、

>この頃のYJグループはあの大J誌からの移動者が多くなり、元からいた気の合う旧YJ出身の編集者にも漫画誌以外への移動が急速に増え、「J誌の編集システムこそが勝ち組の必勝パターン!」と旧YJ誌派からも相次ぐ転向者が現れ、私としては体調の問題もありましたが、こちらの状況の方が作品を創る上でやりにくくてしょうがなく、旧YJ派だった先のムチャ編集長のアセリとムチャぶりも今はちょっぴりわかるような気がします。会社組織というモノは本当にメンド臭いものです。

いわばその結果としてのYJ誌との「曲神紀トラブル」ですから、「ま、しょうがねえや」と気分一新、現在は他社でお気楽に漫画を書かせて頂いております。


「曲神紀トラブル」? 何ぞ?
と思ったら、Webがある時代ってのは便利なもんで、下記を読んで成程ねと。

>本家「孔雀の実家」インターナショナル 孔雀王-曲神紀-
http://www4.airnet.ne.jp/kujaku/catalog/kujakuou_magarigamiki/kujakuou_magarigamiki.htm

俺、無印時代に最澄が唐突に消えた事とかも違和感すげえあったもの。
この辺はダイの大冒険で「ポップを殺せ」って指示をだす編集者問題みたいなのと非常に類似してる気がする。

ダイの大冒険 立体RPGフィギュアダイコロ No.2 ポップ
ダイの大冒険 立体RPGフィギュアダイコロ No.2 ポップ

主人公の強さを引き立たせる為には噛ませ犬や舎弟みたいな設定のキャラはよくあるし、そいつらも成長して強くなればこそ、読者も「おお!」って思ったりはするものだろうに。
他所の猿真似だけさせる編集者が作品を似たり寄ったりにして「雑」誌の誌面をつまらなくする悪の根源なんだな。だからお前らなんかはWebに勝てねえんだよ。
ダイバーシティってご存知?

俺は曲神紀の連載当時、YJ自体に興味が無かった。というかコンビニにも本屋にも碌に置かれてもないような雑誌に連載されてるような漫画を目にすることもそもそもなかった訳だけど、(そういえば、こないだ病院待合室の本棚にたまたまおいてあってパラパラ眺めたけど、今やってる中に今後も読みたいと思う作品、俺には「1つも」なかったな。)

今回、全巻読破で「曲神紀」を読んでみて、
オッサンセンスのギャグが多すぎるきらいはあったものの割とバカバカしく楽しく読めた。

設定資料解説にもあったけど、世界の命運をかけた大バトルの後に黄海峰と朋子が結婚して、農家の一般家庭を子供と平穏に営んでる回とか、姻戚関係になった孔雀と黄がぎこちなく義理の兄弟やってたり、それからイザナギが親バカというか、年齢や外見からしたら孫に甘い爺さんみたいになってるのは、作者が結婚したり、家庭を持ったからこそ滲み出る作風なんだろうなってのは、設定解説を読まずとも作品を読んでる最中に感じ取った。解説で確認したものの、読んでる最中は孔雀王でファミリーコメディって何だよWって笑ってた。

王仁丸や月読も相当なギャグキャラ的にバカやらされてたり、
大山津見子とかもやりすぎだけど笑いはした。

でも、今やってる「ライジング」や「戦国転生」も、これだけ荻野真作品を長年読んだり、読まなかったりをしてきた俺は、正直追っかけてない。中途半端で連載中止になるのが嫌で。

他に優先して読みたい作品や、マンガ以外にも楽しい事は多いってのがあるのも正直な所。

其処で思うんだけど、Webだのアフィリエイトだのクラウドファンディングだのがある時代なんだから、アニメ製作費の話もそうだけど、連載とかも雑誌って媒体依存するのをやめたりとか、色々方法はあると思うんだよね。
もう斜陽の出版業界側に依存してたって、この先どれだけ持つんだ?っての。
雑誌なんてタイトルばかりが溢れかえってるだけでメディア力も低いものに依存しないで、作品自体に訴求力やバズる力があるのなら、それで勝負すればいいわけだし。
原稿料も印税もないが、出版社も編集者も締切もない形で、製作費は続きが読みたい人から集めてもいいし、完結作品を欲しい出資者に売ってもいい。其処から得た金銭はWebや決済の手数料覗けは印税なんか鼻で笑う比率で丸取りだろうに。

というか、描きたくないのなら孔雀王をちゃんと終わらせて描くのやめちゃって、電子書籍ベースに切り替えて読者が喜んで金払うレベルのコンテンツならば自分が描きたい作品かけばいいのに。

俺は孔雀や光側のメインキャラは他のバトルもののキャラとはちゃんと住み分けができている独特なキャラだと思っている。

それは如何にも仏教的で「悪」もただただ力で叩き潰すのが毎回でなくて、改心への道とか、許しや救済というものが入ってる点で非常に珍しい主人公達だと俺は思う。

倒した相手が仲間になる結果、コイツ誰だっけ?ってなる位にキャラが溢れかえるジャンプでのアリガチ展開とは、少し違うんだよな。

大悪党も解脱したりするし、神々や仏よりもむしろ、忌み嫌われ貶められているバケモノ達側の方寄りのスタイルが作品から受け取れる。

長いものに巻かれない反骨とか、安易に権力を妄信しない姿勢とか、其処から生まれる意外性とか。

それだけに中途半端や尻切れトンボだけは兎に角やめて欲しい。

作者の体調の事もあるから無理はできないにせよ。
だったら猶更、続き物側はさっさと&ちゃんと完結させて、
単話スタイルに切り替えて好きな作品かけばいいのに。

長期連載を散々続けて、ラストも見えないままで突然死する作家も近年は多いけど、それの二次創作なんかを公式だの言った所で碌に売れねえし。同人誌じゃんかって。

「幻魔大戦Rebirth」みたいなズバ抜けた継承作品もあるけどね!そういうのは稀!

幻魔大戦 Rebirth 5 (少年サンデーコミックススペシャル)
幻魔大戦 Rebirth 5 (少年サンデーコミックススペシャル)

よっぽど完結させた作品に二次創作してもらってるセルフパロディだのの方が金になってるだろう。
パロディなら許せるんだよ。公式正統継承って言ってレベルが相応しくないから叩かれるんだよ。

というか、作者がもう無理って思ったら稼ぐ方は諦めて、版権だけ押さえて二次創作してもらって儲ける方にシフトした方が作家も作品も読者もWinWinで誰にも不幸がなくていいんじゃねえの?
命あるうちしか作品を完結させる事はできないからねえ。そして命は大事に。
マンガのキャラみたいに御都合で復活とかできねえんだから。

孔雀王 曲神紀 12巻
孔雀王 曲神紀 12巻

posted by wolf_howling at 04:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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