2017年07月28日

アラビアンナイト〈2〉まだ知らないふしぎな国へ (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト―まだ知らないふしぎな国へ〈2〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト―まだ知らないふしぎな国へ〈2〉 (講談社 青い鳥文庫)

「バグダッドの漁師」
「ハーシブとクジャクの王子」
「秘密のとびら」
「ガラスのゆめ」
「イヌになった兄弟」

の5話。後書きはイスラム教について。

読んでて気になるのは、これ川真田純子って訳者が何を底本にしたのかってこと。

1987年の本なので1984年のマフディー版が底本になってる可能性も時系列的にはあるけど、

The Thousand and One Nights - Alf Layla Wa-layla, 2 Vols.: The Classic Edition by Muhsin S. Mahdi (1984-1994) With a New Introduction by Aboubakr Chranbi
The Thousand and One Nights - Alf Layla Wa-layla, 2 Vols.: The Classic Edition by Muhsin S. Mahdi (1984-1994) With a New Introduction by Aboubakr Chranbi

訳者が真アラビアン・ナイトってのを81年に出してるので、それを文庫化してる流れならマフディー版ではない。

真アラビアン・ナイト (1)
真アラビアン・ナイト (1)

てーとアラビア語刊本がベースならカルカッタ版もしくは他の写本なのかなー?
子供向けってだけでなく相当に脚色してあるから解り難い。
しかも、訳者は1993年に亡くなってるし。
アラビア語とスペイン語を学んだ人って事で、英語や仏語版からの翻訳とも思いづらい。
子供向けって事だとガラン版が多いと思うんだけど、あれはフランス語翻訳版なんだよね。
しかも

・アラジンと魔法のランプ、
・シンドバッドの冒険、
・アリババと40人の盗賊、
・空飛ぶ絨毯、


はガラン版には収録されているけど、
元々は「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」じゃない!
なので、それらが続刊の中で出てきたら、アラビア語の専門家と言いながら、何故かフランス語のガラン版つかってんじゃねえか!って判読ができる。
脚色があまりにつよいし、色んな違和感があるんだよなー。

ただ通貨単位のディナールやディルハムとか地名もバスラ、クーハ、カルフなど他の子供むけ版より詳しい。
それと、イスラム教の説話っぽい面が他よりも強い感じが比較的にする。

今昔物語が仏教説話として利用されたのと同じで、解りやすく伝える用途のエンタメでもあったんだろうけど、後書き含め、それを伝えたかったのだろうか?

今昔物語(上)―マンガ日本の古典 (8) 中公文庫
今昔物語(上)―マンガ日本の古典 (8) 中公文庫

あと、ピックアップや大幅なアレンジ脚色があるのなら、もう少しって感じもしなくもない。

「イヌになった兄弟」って話は1巻目の「商人と魔人の物語」の一部とも似ているので、

>アラビアンナイト〈1〉―王子と魔法の物語ほか (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452071133.html

実際には千夜一夜物語は千話はないものの古典ですらネタギレ、ネタカブリな上に、割と何度も何度も引っ張った形跡が見れる話。

そもそもが多くの人々に語り継がれた=ソーシャルフィルタリングとキュレーションを口伝の中で繰り返し、密度が濃くなって生き残ったものを収録してあるのだろうけど、パクリはされまくってただろうからねえ。

物語や連載ってのは長いから有難い訳でもなんでもなくて、巧妙な構成とキリのいいエンデイングの方が重要だと判る。

まあそれを言ったらアラビアンナイトの物語のエンデイングは割とめでたしめでたしではなくて、煮え切らない感じの終わり方の方が多い。それも元々がそういうものだって証拠でもあるのだけど。

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新編アラビアンナイト〈下〉船乗りシンドバードの冒険ほか (講談社青い鳥文庫)
新編アラビアンナイト〈下〉船乗りシンドバードの冒険ほか (講談社青い鳥文庫)

posted by wolf_howling at 17:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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