2017年08月06日

アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)

「アラジンと魔法のランプ」
「船乗りシンドバードの物語」
短編「三つのリンゴ」

を収録。

これまでのエントリでも書いてきたが

>アラビアンナイト <4> ― 空飛ぶ馬ほか (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452401836.html

・シンドバッドの冒険
・アラジンと魔法のランプ
・アリババと40人の盗賊
・空飛ぶ絨毯

これらは全てアラビアンナイトではなく、元々は別の話だ。アラビア語の写本すら実存しない。


って事で、

アラビア語刊本の

・フランス人がフランス語で書いたガラン写本をベースにアラビア語にしたカルカッタ第一版

・イギリス人が英語で書いたマカン写本をベースにアラビア語にしたカルカッタ第二版

ってのが、このシリーズの底本っぽいんだけど、

ヘンリー・リーヴのレビューで「ガランは子ども部屋に」と言われた一方で、ガラン版の内容とは違う気がする。

すると、現存しない寄せ集め本のマカン写本を元に書かれたカルカッタ第二版側がベースなのかな?

と思ったのだが、カルカッタ第二版には「アラジンと魔法のランプ」「アリババと40人の盗賊」は含まれていない!

東洋文庫のでは「アラジンと魔法のランプ」「アリババと40人の盗賊」はわざわざ「別巻」としている位に本来は含まれない。

アラビアン・ナイト (別巻) (ワイド版東洋文庫 (443))
アラビアン・ナイト (別巻) (ワイド版東洋文庫 (443))

となるとこれ、様々な演出の加筆改変含めて、川真田純子って人がごちゃまぜの二次創作やってるって内容だな。
真面目に分析しようとして損した。

訳としながら妙なアラビア語への中途半端な拘りだかでの表記ゆれも煩わしいので、講談社の編集が例によって機能してないのも判る。
ある時にはヒンジャルって書いて、ある所では剣って書いてる。

で、その「ヒンジャル」について検索しても、日本語では1件しか出てこない。

>小麦粉をこねにきませんか?アゼルバイジャン 冬のパン・麺教室
http://www.nikikitchen.com/reservation/class.php?class_id=3670

>ヒンジャルという麺料理

>この麺料理は非常に薄いパン生地で作られている為「ヒンジャル」を「薄いパン」と訳されることがあります。


綴りとしては「KHINGAL」で「ヒンガル」とも書いてあるな。

アゼルバイジャン語はアルタイ系テュルク語群でトルコ語などの仲間だからアラビア語じゃないけど。

なので思いつく武器名や英語ベースで検索してみた。
シミター、シャムシール、カトラス、ファルシオン、ファルカタよりは短いものを指すのかもしれないけど。

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Uniton シャムシール(刀剣)
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パイレーツ カトラス コスチューム用小物 男女共用 50cm 1589
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あー、ジャンビアの仲間で「Khanjar」ってのがある。これか。
https://en.wikipedia.org/wiki/Khanjar

下の画像のやたら曲がってる奴ね。

The Illustrated Directory of Knives, Daggers & Bayonets: A Visual Encyclopedia of Edged Weapons from Around the World, Including Knives, Daggers, Bayonets, Machetes and Khanjars, With over 530 Photographs
The Illustrated Directory of Knives, Daggers & Bayonets: A Visual Encyclopedia of Edged Weapons from Around the World, Including Knives, Daggers, Bayonets, Machetes and Khanjars, With over 530 Photographs

とか、色々とめんどくさい裏もとってはみてるが、そもそもだけど

ソース明示しない翻訳なんて存在するの?

もし訳文の元が存在しないものを「訳」って銘打つのは虚偽にあたるんじゃねえの?



さて、ということで、気になった差分などをレビュー。

流石に有名な話なのでネタバレは構わないよね?

アラジンには様々なバリエーションがある。

短いのはランプを手に入れて毛ね持ちになったで終わり。

ガラン版はそれに近い。のだが、違和感がある点が2つ。

アラジンにランプを拾ってこいと言う魔法使いはアラジンを閉じ込めてそのまま帰っていしまうバージョンがある。
アラジンって長安に住む中国人で、アフリカのモロッコからわざわざ中国に来て、怒って帰るってのはあまりに違和感凄いよなー(苦笑)

それと、閉じ込められたアラジンがどうやって脱出するのかだが、ディズニーなどはランプのジーニーが助けてくれる。

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だが、多くの場合は指輪の精霊が先ずはアラジンを助けてくれるのだ。
しかも、この指輪は魔法使いが渡していた指輪で、更には使い方の説明もしないのにとりあえず渡しているという非論理の演出つき。
そしてわざわざ魔法的な脱出手段を与えておいて、何故かアフリカまで怒って帰ってしまう。
ガラン版のこの展開は子供にしても「バカだろ」って思う筈。

アラビアンもそう思った人は多かったのだろう。
これはわざわざアフリカまで帰った後に魔法使いが中国まで戻ってきてランプを手に入れようとする悪役らしい展開になる。

挙句に、ヴィラン魔法使いの兄貴までが登場して弟の仇を討とうとするW
昔から続編とか求められてgdgdになるんだなーと。

唯一「へー!」だったのは、ランプの魔人がアラジンに逆らった唯一の理由が
「大理石の白いチェス盤を魔人達が神聖視してて、それを持ち出した者は魔力を失う」
ってので、これを遂行しろと言われたらランプの主人を殺して城に火を放つとかまで言ってる。

魔法で様々な望みを叶えられる程のジン達が、チェス盤を恐れるのは「賢さの象徴」だからではなかろうか?
本当の知恵比べには魔力は通用しないって事とか。


シンドバッドの7つの航海だが、これはやたらと目的地や地理が明確な気がした。

1度目 バグダッド → バスラ
2度目 バグダッド → チグリス川 → ペルシャ湾 → インド
3度目 バグダッド → バスラ → ペルシャの端
4度目 バグダッド → バスラ → ペルシャ湾
5度目 バグダッド → バスラ
6度目 バグダッド → バスラ → ペルシャ湾 → インド
7度目 バグダッド → バスラ → イエメン → シン → プーシル

バリエーションとしては砂漠をラクダのキャラバンで行くってのも

人食い巨人はサイクロプスじゃなかった。
多分に黒人の大男的な描写が誇張されて、手のひらに人やカモシカを乗せて確認後に、床に叩きつけて殺して、串焼きにするってのにまでなったんだろうと思う。

あと、夫婦の片方が死んだら生きてる方も埋葬される話で、シンドバッドは生き残るために新たに地下に降ろされてきた人を殺して、お供えを奪ってた話もガランには書かれているんだけど、この本は多分に自称翻訳者の脚色で降ろされた女性がショック死みたいな不自然極まりないオブラートでの強引な隠蔽がある。


3つ目の話はハールーン・アル・ラシードはこれまでの巻にも何話か出てるけど、
他の話では有能な大臣ジャアファル・アル・バルマキーと、マスルール(護衛件、首切り役人)が出てくる話。
千夜一夜物語の中ではこの面子は割と何度も出てくるお馴染みメンバーなんだけどね。
でもまあ、この話のオチも酷いし、シリーズのラストはなー・・・。

そして、天野喜孝が描いてる絵の画風がそろそろ、雑に好き勝手やって荒れてる感じになってきてる。
91年かー。

俺が天野喜孝の絵はいいなあと思えてた時期って実際は80年代から90年にかけての割と短い間だけだったんだなあと。

グイン・サーガ外伝6 ヴァラキアの少年
グイン・サーガ外伝6 ヴァラキアの少年

posted by wolf_howling at 18:51 | Comment(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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