2017年11月04日

ビッケのとっておき大作戦 最終巻

ビッケのとっておき大作戦 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケのとっておき大作戦 (評論社の児童図書館・文学の部屋)

シリーズを読み進め終わる最終巻の段で今更に調べてみたが、
作者のルーネル・ヨンソンって日本語版のwikipediaには
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%A8%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3
>児童文学作家、ファンタジー作家。

だの書かれてて何も触れられてないけど、
スウェーデン語の方をみたら職業はJournalist=ジャーナリストとある。
https://sv.wikipedia.org/wiki/Runer_Jonsson

そして著述家としては詩集で1946年にデビューしたとも。
ビッケを書いたのは1963年から。

くどくどしい詩人ウルメとか、皮肉な一言を挟まずにはいられないチューレはこの作者だからかと凄く納得した。

今回のフラーケの敵は暴君なんだけど、
<平等>と名乗っているのを悪としてるのは、これ多分に共産主義批判だろう。
訳者は<住民の友>ってやってるけど、要は「同志」って事だろうってのもソ連を知ってる大人が読むと判る。

そしてVicke Vikingについてスウェーデン語wikipediaを見ると
https://sv.wikipedia.org/wiki/Vicke_Viking

政治漫画家EWK(Ewert Karlsson)って人が挿絵を描いてるらしいことが判明。
これイラスト描いてる人が2004年に亡くなってるとはいえ、掲載してる日本語版の書籍に誰が描いたかを記載しなくてもいいの?

そしてスウェーデン語が解らない俺はgoogle翻訳に流し込んでみる訳だが

「Vicke Vikingの物語にもとづく漫画の子供向けの映画は、ドイツのテレビチャンネルZDFの代わりに、1974-75年のテレビシリーズとして1972年に制作されました。」

って書いてあって、おいおい!スウェーデン人ども。
ZDFは衣アリの共同「製作」側であって制作は実質ズイヨーがやったのに全く書いてねえぞと思ったが、

「1970年代と80年代には日本、ドイツ、オーストリア、スイス、スペイン、イギリスで大好評を博しましたが、スウェーデンのテレビではずっと後には見せられませんでした。 したがって、Vicke Vikingはスウェーデンではあまり有名ではありません。

ってのを読んで、でたー「フランダースの犬現象」WWWって。

世界名作劇場・完結版 フランダースの犬 [DVD]
世界名作劇場・完結版 フランダースの犬 [DVD]

イギリス作家ウィーダが書いた小説で全然イギリスでは有名じゃないし評価もされてない。
舞台をベルギーにしてるのもののイギリス人が勝手に書いた話でベルギー人は全然知らなかった。
なのに日本人観光客がきて「フランダースの犬の舞台は何処?」だの散々やったせいで、
遂にはアントワープにネロとパトラッシュの銅像まで立つことに(苦笑)

>フランダースの犬は地元では不人気?
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091178537634.html

>地元ベルギーの方たちは ”子供一人を空腹で亡くすような残酷なことを私たちは決してしない” といった批判的な意見さえあるようだ。


菊池寛の翻訳版があって、(ちなみにネロは清(きよし)パトラッシュは斑(ぶち)アロアは綾子(あやこ)ってアレンジが…。)

その後、日本でアニメ化された事で世界に知られるようになるという奇妙な経緯があるんだけど、
ビッケもルーネル・ヨンソンもスウェーデン人は「誰?」てなもんなんだなWWW


評論社新版としては最終巻なんだけど、ルーネル・ヨンソンは1975年にコレを書いた後に、1994年にVicke tar overというのを書いてるので、実は続きがある。
(この本の終わり方も作中でもわざわざ書かれてるように「めでたしめでたし」じゃないし。)
作者は2巻以降は毎年1冊ペースで書いていたのに、それは5巻までで、この巻までは6年も間がある。

Vicke Viking (1963)
Vicke Viking lurar de rodogda (1965)
Vicke Viking Hederskung (1966)
Vicke Viking i Vinland (1967)
Vicke Viking och burduserna (1969)
Vicke Viking stortar tyrannerna (1975)
Vicke tar over (1994)

多分に1972年のアニメがヒットしたので打ち切りだったのに急に追加したのだろう。
そのせいか、急にフラーケ族の中にファクセが登場する!
原作のゴルムとスノーレの役割の両方を兼ねている様な感じがアニメ版のファクセだが、ここまで読んで結局、ウローブ爺さんは出てこなかった。
つまりはズイヨー版のアニメで生まれたキャラだという事の裏が取れた。
ちなみにビッケのガールフレンドのチッチも全く原作には出てこない。でも実写版にも3DCG版にもそれに該当するキャラが出てくる。ってことはアニメありきの作品なのだ。

TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第1弾 ビッケ/ウローブ/ファクセル (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)
TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第1弾 ビッケ/ウローブ/ファクセル (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)

小さなバイキング ビッケ [DVD]
小さなバイキング ビッケ [DVD]

ビッケのアニメ公式サイトは「リンクを勝手に貼るな」ルールとか注記してあるので気軽な引用すらやる気がしない。ITリテラシが空っぽの誰かが関わってるせいなのか?
だったらWeb公開やめちまえば?、SEO的にも勝手に埋もれて自業自得で消えてって貰えば良いしと思う訳だが、

参考資料として見るに

1963年のVicke Vikingの後に
「ビッケと青い騎士たち」
「ビッケと大きなたこ」

があった事が書かれてるので、それらは時系列的には評論社版の2冊目以前の話となる。
多分に著作権でも切れて誰かが訳すとかでもない限りは日本語で目にする機会はなさそう。

俺はスウェーデン語は解らないので、この先を欲り下げたり読んだりは早々に諦める。

というより、スウェーデン人も碌に知らない作品だから、スウェーデン語の文献を入手するにも相当に苦労するだろうし、
日本で面白くアレンジされてのアニメ化があった事によって世界的な知名度を得ている事の裏が十二分にとれたので良しとする。
だって原作の方は面白くねえんだもん。

そしてドイツの実写版やアメリカのwikipediaでの紹介等を見るに

https://en.wikipedia.org/wiki/Vicke_Viking

フラーケ族の外見デザイン著作権って二次著作にせよ本来は日本の方のものなんじゃねえの?って。

トランスフォーマーもCG映画化だのされたところで

トランスフォーマー/最後の騎士王 ブルーレイ+DVD+特典ブルーレイ ※初回限定生産 [Blu-ray]
トランスフォーマー/最後の騎士王 ブルーレイ+DVD+特典ブルーレイ ※初回限定生産 [Blu-ray]

版権持ってるハズブロが何ができるわけでもなく、いまだにタカラトミーが設計デザインしてるわけだし。

トランスフォーマー TFアンコール ゴッドファイヤーコンボイ
トランスフォーマー TFアンコール ゴッドファイヤーコンボイ

ディズニーがジャングル大帝をパクってるのに、それを劇団四季の舞台が〜とかありがたがってる連中は結局、クールジャパンとかって掛け声だけのもので、実際にクリエイティビティを発揮した人間側を踏みつけにしてるんだよ。

ジャングル大帝 Complete BOX [DVD]
ジャングル大帝 Complete BOX [DVD]

ディズニー ライオンキング ミュージカル <劇団四季>
ディズニー ライオンキング ミュージカル <劇団四季>

そういう点では翻訳にもクリエイティビティってのがあって翻訳が良ければ売れるけど、ダメなら売れないはある。

学研版を読んだ時は楽しかったので、Halvarを「遥々」を想起させる「ハルバル」って訳した大塚勇三氏の訳はやはり上手だったのだろうと。
やはり、長くつ下のピッピ(宮崎駿がアニメ化したかったんだけど、ゲド戦記と同様に版権が取れなかったのでアニメ化できなかった作品)や、スプーンおばさんを訳している方は流石と。

長くつ下ピッピの冒険物語 [DVD]
長くつ下ピッピの冒険物語 [DVD]

想い出のアニメライブラリー 第4集 スプーンおばさん DVD-BOX デジタルリマスター版 上巻
想い出のアニメライブラリー 第4集 スプーンおばさん DVD-BOX デジタルリマスター版 上巻

様々な書籍やゲームで「何でこんな人を翻訳担当に選んだの?」ってのは非常に多い。

そして英語教育が浸透し、機械翻訳の精度もAIなどで上がって来ると猶更「よくもまあこんな酷い翻訳や字幕で金とってるよね」ってネット上で袋叩きに合う時代な訳で。

児童書の翻訳書籍をここのところずっと眺めてて、出版社や編集者が丸投げで何もしてない様子が非常に良く解る。

言葉の壁というものはあるものの、解りやすく訳せるかとか、子供ですら変に思う数理論理破たんを書いてないかは児童書では重要だと思う。

この本の36ページには

>イギリス人は自国民にえこひいきをするものですから、イギリス人二人が同時に一位で、私は二位になってしまいました。


とある。

順位ならば「同時」ではなく「同率」だ。
しかも、同率一位が二人ならば、その次は「三位」だ。


作者、翻訳家、編集者、出版社、それぞれが非常識な事がこれだけでも判る。

正しい日本語が判りもしない者には作家も訳者も編集者もない。
正誤判断の基準がまだ整ってない子供達に間違った言葉や知識を広めるなど以ての外だ。


ちゃんと仕事をしている人こそがプロで代金を受け取れる。
そのプロが創った物だけが商品と呼ばれる価値あるものではなかろうか?

ビッケのとっておき大作戦 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケのとっておき大作戦 (評論社の児童図書館・文学の部屋)

posted by wolf_howling at 17:44 | Comment(0) | 児童書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

最近の記事