2017年11月29日

統計でウソをつく法  数式を使わない統計学入門 ブルーバックス

統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)
統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)

中二の時に図書委員長だったのを良い事に、文庫や新書系で少しでも興味があるのを目録を眺めて片っ端から購入依頼を出した事がある。
日本がまだ豊かな時代だったので呆れる位に全部を司書が買ってくれた。
のだが俺は受験勉強というものを全くしないで高校に進んだけど、2年で読める本の冊数は明らかに超えていた。

その中にこの本があった。

其れから数十年が経過し、何度も図書館でも見かけはしても他の本を借りる方に枠を使ったりで読んでこなかった。

1954年に書かれた本なので今の若い世代からすると「キンゼイレポート?何それ?」だろうけど、

キンゼイ報告と日本女性の性行動 (1954年)
キンゼイ報告と日本女性の性行動 (1954年)

(へー。コッポラが監督してリーアム・ニーソンが主演したキンゼイの映画なんてあったんだ。10年以上も前に。)

愛についてのキンゼイ・レポート [DVD]
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なので執筆当時にタイムリーだったネタも今となっては「何それ?」ではあるけど、数字はかわらないし、取り上げられている事例の問題点も変わらない。

新書らしく文体も軽妙で、多分に中学生の時に読んでおいてもいいだろう。
とはいえ、当時の俺が読んでも何ら目新しい事もなく、まあねで済む内容でもある。

とはいえ原題でもビッグデータだ、AI解析だってバズワードを商売のネタにしようとしてるのに踊らされてるような連中は読んでおいた方がいい。

NHKっていう政府御用メディアのビッグデータ特番は噴飯ものだった。

>「ひとり暮らしの40代が日本を滅ぼす」NHKが作ったAIの分析が冷たすぎる
http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/22/nhk-ai-made-shocking-analysis_n_17510952.html

因果が数理論理に従ってなければ風は吹いても桶屋は儲からない。取らぬ狸と昔から言われている。

見せかけ相関問題は現在でもニコラスケイジ事例などでネタにされているが。

>ニコラス・ケイジの映画が増えるとプールで溺死する人も増えるのか?
http://gigazine.net/news/20170403-correlation-causation/

この本の時代でも

「マサチューセッツ州の長老派教会の司祭の給料」と
「ハバナのラム酒の値段」には高い相関関係がある、という話があるが、
大きい視点から見たら全体的な物価上昇ってのがあるでは?とか言えたりする例も書かれている。

原因と結果が前後してしまっていたり、無関係のものをこじつけても因果や相関にはなりえない。

「大学を出れば高収入が得られるのか?」
との話も、
大学生には2通りある。「頭のいい学生」と「金持ちの子供の学生」で、
金持ちの子供は金が金を産むのだから、大学へ行こうが行くまいが大金持ちの子供は低額所得者の中には見当たらない、とのサンプリングの歪みなどを例示している。

・少ない母数やサンプリングの偏り
・平均として出されている数は算術平均なのか、中央値なのか、最頻値なのか
・グラフや絵での心象操作や誇張
・原因と結果の非論理的なこじつけ


など、データとされるものの問題事例が次々と例示されているが、これは現代でも多くのメディアや企業や政府がやってる誤魔化しテクニックとしてよく見られる。

とはいえ、この筆者や訳者も大概で、俺は鵜呑みにはしない。

叩くデータの時は「共和党」という党名をあげつつ、大統領名の時はリンカーンともしているが、
褒めている時だけセオドア・ルーズベルトがウィリアム・マッキンリーの諸政策を大改革だの書いてやがる。
リンカーンもルーズベルトもマッキンリーも共和党であり、民主党の提示したデータについては一切の掲載が無い。明らかに偏った書き方による印象操作だ。
多分にダレル・ハフ自身の支持政党が有利になるように片方だけをdisっているバランス欠如もサンプリングから良く解る。

そして訳者の高木秀玄があとがきに
「まともな人間をいくら分析してみても人間の本当の性格はわからないが、
どこか狂った人間を分析してこそ本当の人間というものがわかるように。」

などと、統計学の元教授とされている人物が
「まともな人間」
「人間の本当の性格」
「狂った人間」
「本当の人間」
など、ふざけた言葉を吐いていやがるが、これらは比較の問題でしかなく、
「まともな人間」や「本当の人間」が定義されない事には何をどうしようと結果は出ないので、鶏が先か卵が先かで「狂った人間」も定義は出来ない筈だ。
また「人間の本当の性格」というのも、本来「性格」というものには個体差があってしかるべきものに対して、「人間」という種としての括りをする事自体があまりに非論理、非数理すぎて、
こんなのに生徒として金を払って教鞭を執られた人々は一体何を学んだんだろうねえと。
あー、だから元教授なのか(察し)。

そんななので、翻訳の内容や書き方も彼方此方に首をかしげたくなるところもままある。
これ、多分に翻訳しなおした方が良い。

そんな翻訳内容でもあるのだが、めんどくさければ若いうちに最後の10章目だけでもこの本に目を通しておくと数理論理的に物事を判断できるできないの差は大きいと思う。

ウソを見破る統計学―退屈させない統計入門 (ブルーバックス)
ウソを見破る統計学―退屈させない統計入門 (ブルーバックス)

posted by wolf_howling at 16:21 | Comment(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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