
霧の中の二剣士 (創元推理文庫)
収録されている話の中で『ランクマーの夏枯れ時』は、ファファードとグレイ・マウザーがどういう二人かを他の話を読んでいて知っている事が前提だが、ぶっちぎりに面白い!というか爆笑したW
ヒューゴー賞とネビュラ賞とローカス賞を受賞した『凶運の都ランクマー』よりも圧倒的にこっちの方がいい!

魔の都の二剣士 <ファファード&グレイ・マウザー1> (創元推理文庫)
まあ賞だのランキングなんてのは、アテになんねえよ。
全体主義者や思考停止してる操り人形でもなければ、各人の感覚は違うほうがむしろアタリマエだろ。
『海王の留守に』は、結構にファンタジーしてて、自分は「ファファード&グレイ・マウザー」はハリウッドムービー風に脳内再生してるんだけど、これCGをふんだんに使って映像化したら映えるなーって思った。
『魔道士の仕掛け』は執筆順では一番最初だけあって、フリッツ・ライバーが世界観について迷走してる上に、文芸としても一つの作品の中で色々やろうとして失敗してる感が酷い。
冒頭は舞台をファンタジー世界のネーウォンから、ヨーロッパや中東にしたのを補おうと無理に様々な地名や人物名をちりばめようと必死。
中盤のバトルだけが流石、作者自身がフェンシング経験者ってだけにアクションシーンはそれなりにマシって感じ。
で、その中盤で終わらせておけばよかったのを、ずるずると蛇足つけて、ヒロインの独白の間に3人での移動シーンを挟むとか、余計な煩わしいことしまくりで、このパートはラストシーンを中盤にくっつければ後はいらねえんじゃねえの?って感じ。
今更、行き当たりばったりのこのファンタジー作品に、詳細背景説明をとってつけた所で、何の説得力を増す材料どころか、ただただ鬱陶しいだけだった。
始まってすぐに色々笑えたのに、末尾に収録した作品のおかげで台無し。
一回、浅倉久志が大谷圭二名義で、この巻まで1982年に翻訳したのに全巻の翻訳前に打ち切り食らったのもアタリマエだろ。
構成や編集が機能してないと。ただ時系列に並べなおして全部入れただけの全集では娯楽エンタメにはならないっての。
『魔道士の仕掛け』は章立てて書かれてる分、内容バラバラでも、まあ個々の短編寄せ集めと思って読むかって無理して頑張ったけど、
このペースで長編書かれたら、終始イライラしっぱなしになると思う。
5巻目の『ランクマーの二剣士』はシリーズ唯一の長編らしいけど、色々と読む前から心配。

ランクマーの二剣士 〈ファファード&グレイ・マウザー5〉 (創元推理文庫)
コンビがバタバタしながら色々やる短編側の方が需要あったんだろうに、もっと編集者は厳しくやってよかっただろうと思う。
編集者といえば、後書きを読んで『ファンタスティック誌』の編集長シール・ゴールドスミスCele Goldsmith Lalliがフリッツ・ライバー復活特別号を仕立てた際に『ランクマーの夏枯れ時』を掲載したとの事だが、ゴールドスミスが、ロジャー・ゼラズニイやアーシュラ・K・ル=グウィンをデビューさせた人物ってのは、成程ねーと思った。なんというか、作風嗜好が似てる所を私は感じる。

光の王 (ハヤカワ文庫SF)

闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252))
ヒーローたちは蛮人王コナンとかみたいに圧倒的チートでなく、ファンタジーといっても重苦しい感じとか、世界地図まであるので世界観はあるように表面上は見えて、実際は設定を掘り下げてないでルールやデータの整理もできてないので詰めが甘いデタラメ時代の雰囲気だとか(苦笑)
あとねー、末弥純の表紙絵がダメ。
先ず、表紙見ても中身を読みたいって気持ちが盛り上がらない。
そして、2巻とかにしてもファファードに髭が生えてないとか、中身読んでねえだろと。

死神と二剣士 <ファファード&グレイ・マウザー2> (創元推理文庫)
昔の別の方が描いた表紙絵の方が中身とかちゃんと読んで描いてるのが解る。

霧の中の二剣士 (創元推理文庫―ファファード&グレイ・マウザーシリーズ (625‐4))
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