2019年08月08日

藤子・F・不二雄大全集〔27〕ベラボー

藤子・F・不二雄大全集 ベラボー: 藤子・F・不二雄大全集 第3期
藤子・F・不二雄大全集 ベラボー: 藤子・F・不二雄大全集 第3期

>ベラボー|藤子・F・不二雄大全集 【第3期】|小学館
http://www.shogakukan.co.jp/fzenshu/lineup/berabo.html

秋田書店『まんが王』1968年7月号〜1969年11月号まで掲載された作品。
『まんが王』は冒険王の姉妹誌で1972年に廃刊してるから、打ち切り作品。

だけど、連載時期から解るように
ドラえもんが1970年1月号掲載=月刊誌は1カ月前の号数をつけるので1969年12月からの連作なので、言わばドラえもんプロトタイプの一つだ。

ドラえもん (1) (てんとう虫コミックス)
ドラえもん (1) (てんとう虫コミックス)

本作1話目で主人公である浦島一郎の父親がするマンガ否定の説教台詞に
「大体 今の世の中にだね、
 オバケが出てきたりだね、
 マントをつけた子が空を飛んだりだね、 
 そんなばかげたことがあると思うかい。」

藤子ファンには説明するまでもないが、これはオバQとパーマンの事だ。

オバケのQ太郎 1 (てんとう虫コミックス)
オバケのQ太郎 1 (てんとう虫コミックス)

パーマン (1) (てんとう虫コミックス)
パーマン (1) (てんとう虫コミックス)

オバQは客演までしていて「時代遅れ」「ベテラン」などと自虐ギャグも。
1973年の「劇画・オバQ」の悲哀を早くも感じさせる。

ミノタウロスの皿: 藤子・F・不二雄[異色短編集]  1 (1) (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)
ミノタウロスの皿: 藤子・F・不二雄[異色短編集] 1 (1) (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)

「劇画・オバQ」にも出てくる「オバQ王国」だが、オバQ本編でも土地価格の高騰や空き地がなくなり、子供の遊び場がなくなる等の社会風刺回があったりする。

ベラボーにおいては正にツカミがそれで、
空き地にマンションが建つことになり、宇宙人のペット生物であるベラボーを助けた(?)浦島一郎は、ベラボーの住む地下にある広大な施設を使わせてもらえるようになる。
大人たちを連れてくると、ヤクザが入り込んだりのトラブルも起きるが、施設内のイメージボタンという機械を使い懲らしめ、ベラボーは記憶を操作する能力があるので事なきを得る。
結果、子供達だけの街ベラボータウンをつくる話の運びになる。

藤子Fはドラえもんでも何度か国造りの話もあり、現状国家への不満ストレスから空想での国家運営物語へ何度も繋がっているように見える。

映画ドラえもん のび太と雲の王国
映画ドラえもん のび太と雲の王国

ベラボーは超テクノロジーの持ち主なのだが、広い場所を手に入れて「うんとマンガを読むぞ!」という浦島一郎に「ユメがないな」と言うが
彼がドラえもんと大きく違うのは「世界征服だってできる」とか言ってしまう点!

ドラえもんが、のび太を極端にdisる事は時々はあるけど、基本的にはレアで、時折見せる「きみはじつにばかだな」等の暴言毒舌は、それ自体を意外性からギャグとする位だが、
ドラえもん初期の乱暴な口調の頃はベラボーと割と似た感じなのだ。
1話目のドラえもんは「きみは年を取って死ぬまで、ろくなめにあわないのだ。」とかまで言うし。

ドラえもん 1 (藤子・F・不二雄大全集)
ドラえもん 1 (藤子・F・不二雄大全集)

ベラボーはデザイン的にオバQのO次郎やドロンパのデザイン系列のキャラだが、少ない線数で表情豊かに表現できる優れたデザインだと思う。

非売O次郎オバケのQ太郎景用バンプレストレトロコレクションワンオーナーサイズ約13センチ
非売O次郎オバケのQ太郎景用バンプレストレトロコレクションワンオーナーサイズ約13センチ

オバケのQ太郎 ドロンパ ぬいぐるみストラップ 藤子・F・不二雄ミュージアム限定
オバケのQ太郎 ドロンパ ぬいぐるみストラップ 藤子・F・不二雄ミュージアム限定

藤子キャラとしては「4じげんぼうPポコ」にも似てる。

モッコロくん 4じげんぼうPポコ パパは天さい!ほか (藤子・F・不二雄大全集)
モッコロくん 4じげんぼうPポコ パパは天さい!ほか (藤子・F・不二雄大全集)

読みながら思ったのだが、ポケモンのツボツボってベラボーのパクリじゃね?

ポケモンセンターオリジナル ぬいぐるみ Pokémon fit ツボツボ
ポケモンセンターオリジナル ぬいぐるみ Pokémon fit ツボツボ

浦島一郎のパパの台詞で
「カメを調べるなら動物図鑑の両生類のページを見ればいい」
ってのがあって、当然「カメは爬虫類だモン!」ってツッコミを入れたくなるのだが、

THE MOMOTAROH 2巻
THE MOMOTAROH 2巻

俺はアーケロンは学研の恐竜図鑑で覚えたが、ブロガノケリスはドラえもんで覚えたので、藤子F氏が意図的に爬虫類である亀について両生類というセリフを書いてるのは意図的だと解るんだけど、

アーケロン ビニールモデル(FP-305)
アーケロン ビニールモデル(FP-305)

ZOIDS ゾイドワイルド ZW05 ガノンタス
ZOIDS ゾイドワイルド ZW05 ガノンタス

これ、秋田書店だから通った台詞であって、多分に小学館の学習雑誌なら児童が間違った知識を得てしまうといけないという指摘のもと編集の修正が入って正しく爬虫類と変更されそうだなあと思った。
もっとも、ギャグとしても別に面白くもなんともないので直しておいても構わないと思う。

というか、ベラボーって亀なの?って冒頭からずっと疑問だったんだけど、
最終話である「ベラボーの恋」で、ドラえもんの『すてきなミィちゃん』回と全く同じ展開とオチがあって、
地球の亀を好きになってるので、ちゃんと性別もある生物なんだなと。
(まあソレ言ったらドラえもんやドラミは性別設定してある機械にすぎないので「すこしふしぎ」藤子ワールドでは何の裏付けにもならないかおしれないけど。)

ドラえもん (14) (てんとう虫コミックス)
ドラえもん (14) (てんとう虫コミックス)

「 ドラえもん 」 ドラミ フェイス マグカップ M イエロー 009131
「 ドラえもん 」 ドラミ フェイス マグカップ M イエロー 009131

亀が「ベラボーにはこう見えている」として少女漫画タッチの女の子が描かれていたりもするが、
「美人アンドロイドに大さわぎ」の回では人型を美人としてるのでまあ、そういう雑な設定美観w

でも、その美人アンドロイドは、しずかちゃんやロボ子とも違うタッチ。

フィギュアーツZERO ドラえもん 源静香 約120mm PVC&ABS製 塗装済み可動フィギュア
フィギュアーツZERO ドラえもん 源静香 約120mm PVC&ABS製 塗装済み可動フィギュア

ロボ子が愛してる
ロボ子が愛してる

イメージボタンで作った留守番用のコピーロボットみたいなのが、きれいなジャイアンネタだったりするんだけど、デフォルメ的には脇役達は元側が極端なので美形になってるって感じの絵でもなく見える。

ROBOT魂 コピーロボット (1号)
ROBOT魂 コピーロボット (1号)

UDF きれいなジャイアン(ノンスケール PVC製塗装済み完成品)
UDF きれいなジャイアン(ノンスケール PVC製塗装済み完成品)

それもその筈で、ガキ大将のデカ山とかを見た段で多分にそうだろうなあと思ったのだが、
ベラボー・浦島一郎・パパ・ママ以外は明らかに藤子Fタッチより藤子Aタッチの画風で、
脇役や出てくるガジェットなどもアシスタントである、しのだひでお(篠田ひでお)が描いている。

発明・発見のひみつ (学研まんが ひみつシリーズ)
発明・発見のひみつ (学研まんが ひみつシリーズ)

しのだは怪物くんのペン入れを殆どやっていた位でタッチがそのままなので解り易い。
怪物くんは少年画報版が1969年4月、少年キング版が1969年5月に連載終了したので、丁度ベラボーと重なり合ってる連載時期なので影響もさもありなん。

怪物くん ベスト・セレクション 奮闘編 (ビッグコミックススペシャル)
怪物くん ベスト・セレクション 奮闘編 (ビッグコミックススペシャル)

後書きも、しのだひでおが書いている。元々は手塚治虫のアシだったのは知らなかったよ。
手塚が引っ越した跡の並木ハウスを家具までシェアする二人暮らしで借りてて、手塚のいる初台までの間を行き来する経路にトキワ荘があって、酒飲んだり花札やったりの遊びや、藤子Aの参加していた野球チームに入ったりという経緯から、手塚の所で徹夜で仕事した後なのに、当時はまだ赤塚不二夫が自分の仕事しながら石ノ森章太郎を手伝っていた位の頃だったので、ラーメンおごるから手伝ってみたいな形でアシスタントに。
自宅で作業する派だったのに、いつのまにか藤子プロに自分の机があったとも。

昔は藤子Fの方が見かけた時に「おう!」とか声をかけてくれる方で、藤子Aの方は寡黙だったそうだ。
Aの方は「60超えるとキツイ」「70超えると」って会うと言われるそうだけど4、5才違いだそうで年齢は追い越す訳にもいかないw的な事を書いてたので、「…いや、追い越してしまう状況がありうる」と俺は読んでて即時おもったが、やはり締めは亡くなった藤子Fの年齢を追い越してしまったことを書いてあった。

ベラボーにるいてはメインキャラは既に藤子Fが描いてあって、後は好きに描かせてくれたそうで「こんな楽な仕事でいいのか?」って思ったくらいだそうだ。
特に最終回は藤子Fも打ち切りが残念だったようで、逆に凄く描きこんであったとの事。

でも、多分に「不思議な異界からの訪問者が」「高度なテクノロジで主人公を助けようとしてのドタバタ」というパターンは

スラップステイックで抜けてる主人公のQ太郎とも、
ふだんは怠け者だけど、活躍するヒーローのパーマンとも違う。

恩返しをしようとして使う魔法が失敗するジャングル黒べえは1973年作品で、俺はアニメ版大好きなんだけど、裏番組の数字が強かったせいでヒットできなかった。
出崎統も言ってるけど、Aプロとマッドハウスの共作って奇跡の名作だぞ!「ジャングル黒べえ」は。
藤子Fは「破天荒な黒べはあなた」と言ったのはシンエイ動画名誉会長の楠部三吉郎で、楠部曰くは黒べえのキャラ原案って宮崎駿。

>NU SPECIAL INTERVIEW アニメ監督・出崎統氏「ジャングル黒べえ」のメッセージは 今も生きている
https://web.archive.org/web/20040205042319/http://homepage.mac.com/wayang_gamelan/interview/dezaki/index.html

ジャングル黒べえ DVD-BOX(初回生産限定)
ジャングル黒べえ DVD-BOX(初回生産限定)

で、ベラボー、ドラえもん、ジャングル黒べえを比べるに

ベラボーは普段はキツイ物言いだが時々弱みをみせるツンデレ型。浦島一郎はマンガ好き、優しいという以外は普通の子。

ドラえもんは普段は温厚で時々黒いw のび太はドラえもんが助け船を出すキャラな為にトコトンまで多方面でダメな子設定。

ジャングル黒べえはジャングルの常識は近代日本での非常識&魔法が使えても失敗が多いドジっ子。佐良利しし男は弱虫だが心優しい。

これを比べるに、「のび太」というキャラの発明がヒット要因として大きく思う。

ベラボーには気が弱いが知恵は働く代和木(よわき)という男の子が出てくるのだが、
彼は、のび太のベース的なキャラの一つであると言っても良いと思う。

のび太にオバQを組ませてしまうと、ただ失敗するばかりになってしまうので、しっかり者のパートナーがやはり必要。
そして浦島一郎や佐良利しし男は、のび太と比べるとインパクトが弱い。

「日本じゅうがきみ のレベルに落ちたら、この世のおわりだぞ!!」とまでドラに言わせる、のび太はベラボーや黒べえをパートナーにしてしまうと、2人とも割と怒りっぽいし過激なので「流石にやってられない!」って言った後には特訓とか始めてしまいそう…。

ベラボーは、わざと助けないで、一郎が自分だけで解決できるかどうかを隠れて見守る点で、ドラえもんのように甘やかしすぎないタイプ。
黒べえは魔法はあんまり成功しないが、割と暴力で解決するケース多しw

時々は毒も吐くものの、なんだかんだで面倒見が良く、助けてくれる頼りになるドラえもんと、のび太の組み合わせだからこそ大成功したのだろう。

でも、藤子Fが宮崎駿との対談で、のび太が成長しないのが面白いというパヤオに対して、
成長できないのが「作者としても多少苦しい」とまで言ってたので、

映画天空の城ラピュタGUIDE BOOK復刻版(ロマンアルバム)
映画天空の城ラピュタGUIDE BOOK復刻版(ロマンアルバム)

クール延長しない前提企画だったら、ベラボーみたいなキャラが成長する主人公のパートナーになる作品とか、現代の時流ならアリじゃね?

というか、ベラボーを底本にしてドラえもんの何話かは成立するんだから、
ドラえもんを底本としてベラボーに置き換えるとかも、また可能だなーとかも思った。

地球は未開で野蛮とか、こんなの子供用のオモチャとか、割と上から目線だったりもするのに、
喧嘩して独りぼっちになったら寂しくて泣いたりするギャップも持ってるし。

原題なら大いにアリじゃね?

アニメ化するネタがなくて1クールでラノベ使い捨てするか、リメイクばかりなら、
ベラボーとか古典の発掘してアニメ化をやってくれよ。

っていうか、シンエイ動画にそういう企画たてる人いないの?

ベラボー 藤子・F・不二雄大全集 第3期 (藤子・F・不二雄大全集) [ 藤子・F・不二雄 ] - 楽天ブックス
ベラボー 藤子・F・不二雄大全集 第3期 (藤子・F・不二雄大全集) [ 藤子・F・不二雄 ] - 楽天ブックス

posted by wolf_howling at 05:53 | Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

最近の記事