2019年08月12日

『市民ケーン』(1941年) マスゴミと、本当に大切なものとは

市民ケーン [DVD]日本語吹き替え版
市民ケーン [DVD]日本語吹き替え版

タイトルについては幼児の頃に知ってた。
ピーナッツでチャーリーブラウンやルーシーが「また市民ケーンを放送してる」って言うルーチンネタが定期的にあったのだ。
ライナスが初見なのにルーシーにネタバレされて泣く回とかもある。

SNOOPY COMIC SELECTION 50's (角川文庫)
SNOOPY COMIC SELECTION 50's (角川文庫)

なのだが、実物事態を観る機会がなかった。

これも何かの機会と視聴してみる。

パブドメだが、日本語吹き替え版で観た。
とはいえ、ながら視聴なのでメニューから日本語字幕も同時に出していた。補助的な情報があるだけで効率が違うので、よくやる。

で、字幕を出しておいて良かったと思う点がこのDVD版では多かった。

・BGMなどの高音域ノイズが入っていて耳障りなので所々、ボリュームを下げざるを得なかった
・しつこく同じ名前を呼ぶシーンが意図的な演出だろうと聴いててイライラしたので、そのシーンはミュートにして字幕だけ見た。
・新聞の見出しや看板などをナレーションで読み上げていない

トムとジェリーとかだと、トーキー的なノウハウが残っていたせいかbe carefulみたいなのを「注意」ってナレーションで読み上げてくれてた。

トムとジェリー どどーんと32話 てんこもりパック Vol.4 [DVD] - トムとジェリー
トムとジェリー どどーんと32話 てんこもりパック Vol.4 [DVD] - トムとジェリー

このDVDはそういうのがない。看板程度なら流石に読めるけど、新聞の見出しが切り替わりながら次々出てくるシーンとかは字幕出しておいて良かった。

そういう音響や映像について、古い吹替え作品を見てればそれだけで知ってそうなノウハウも売り物作りながらしらないのかねえと。

まあ企業名で検索したらDVD販売差し止めの裁判資料に


http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/037/085037_hanrei.pdf
>株式会社マックスターの代金不払


http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/975/084975_hanrei.pdf
>被告は後記のとおり主張するが,本件アニメ映画の日本語版の製作販売を企画したのはAであり,原告らがミックエンターテイメント株式会社(以下「ミック」という。)から吹き替え等の業務委託を受けたことはないし,本件著作権を譲渡したこともない。


とか見つけたので、そういう所のなんだな。


さて、本編レビュー。

出だしは建物の情景をgdgdうつしてるので早回ししてすっ飛ばした。
次はトーキーニュース映像風の映像で、死亡した新聞王ケーンの生涯概要が流れる。
おいおい!コレを2時間かよ!と思ったのだが、
実はそればニュース映像の編集中のもので記者達がいる上映室の場面へと繋がる。
ケーンの最期の言葉「バラのつぼみ」というのを調べる為、記者はケーンの元妻など、周囲の人々を取材する。
その中で彼の幼い日や、正義感に燃えて新聞社の経営を始めた青年期、そして年老いていく…。

・先ず流れの概要を伝え
・取材スタイルで各人の現在を描き
・回想シーンとして細部が描かれる

一風変わった構成だが、スムーズに物語が流れをつかんだ後に深堀されるという優れた描写技法に驚いた。

オーソン・ウェルズが監督・製作・脚本・主演で、ケーンの青年期にはバリバリの若さを出し、老年期にはヨボヨボと自然にしてみせる演技力は流石だと思った。しかも24歳の時ってのを調べて知って驚愕!
ケーンの二人目の妻を演じたドロシー・カミンゴアも、うら若い20代から、オペラ歌手役、おちぶれた後の酒場の歌姫まで演じ分けられていて演技力を特筆したい。

モノクロ作品なのだが、ライテイングが非常に綺麗で、デジタルだ高解像度だと言っても、こういう美しい見栄えのする映像はフィルムだろうがモノクロだろうが撮れる技量がものをいうのだ。

ケーンは当初は記事で企業の不正を暴き、労働者の権利を訴えたりしていたのだが、
新聞の売上を上げる為に過激な捏造記事を書かせるようになる。
歌が下手な妻の舞台を自分はこき下ろすレビューを書いたものの、その後は自分のメデイアグループをつかって宣伝をする。
ケーンは自分の正義に酔ったり、歌手が妻だという表記に固執して彼女を逆に追い詰めてしまう。

ケーンの話は良くできているのには理由があって、実在する新聞王ウィリアム・ハーストをモデルにしている。
「スペイン軍がキューバ人を強制収容所に入れ、彼らが疾病と飢えで苦しみ死んだ」という捏造記事で米西戦争を引き起こしたり、
下院議員やニューヨーク市長になるもニューヨーク州知事選挙で落選したり、
愛人を女優にする為に映画会社を作って失敗したり。

この映画はアカデミー賞の作品賞、主演男優賞、監督賞、撮影賞、ドラマ音楽賞、編集賞、録音賞、室内装置賞などにもノミネートされたが、
ハーストが圧力をかけ、ルエラ・パーソンズなどの提灯記者に酷評を書かせたため、脚本賞しか受賞できなかった。

正に映画によって描かれたマスゴミの捏造や圧力に皮肉にも、この作品は屈してしまう結果になった。
アカデミー賞だの言っても所詮、闇業界の出来レースな証拠。

しかし後年では名誉回復的な評価もされている。
オーソン・ウェルズとウィリアム・ハーストのこの戦いを描いた映画もある位だ。

ザ・ディレクター [市民ケーン]の真実 [DVD]
ザ・ディレクター [市民ケーン]の真実 [DVD]

フェイクニュースや情報操作や捏造、ヤラセ、でっち上げ、飛ばし記事、提灯記事などなど、ジャーナリズムや報道だのの自称が聴いてあきれるマスゴミや、炎上マーケも多々だが、身勝手な正義感や、話題にするために真実を歪めるなどの目的と手段が逆転してしまう本末転倒。

そういうクズどもは、死ぬ間際に「本当に大切なもの」を知る事も無くくたばってくんだろうけど。

市民ケーン [Blu-ray]
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posted by wolf_howling at 08:14 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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