2019年09月04日

藤子・F・不二雄大全集 [32]初期SF作品

初期SF作品 (藤子・F・不二雄大全集 第3期)
初期SF作品 (藤子・F・不二雄大全集 第3期)

絵柄を見てまだ手塚治虫の影響が抜けてない感じがしたので、読むのを一寸躊躇った。

手塚治虫のロストワールドが既存のマンガ技法に映画などのクローズアップやパンなどカメラアングルカット技法を取り入れて発表当時は画期的だと言われたものの、じゃあ読んでみるかと思ったのも30年前だけど、古臭すぎて読む気が起きなかった。

ロストワールド
ロストワールド

だけど、藤子F作品はターゲット年齢層が明確に打ち出されているので「そういうもの」として読めた。
というか、
現代のごちゃごちゃと不要な背景まで描きこんでわざわざ見苦しい画面にしてるマンガモドキが雑誌に溢れかえってる惨状からすると、
あまりにもスムーズに読みやすい!

漫画が嫌いだったのにマンガ編集者になったマシリトが解り易いマンガを求めて色々と比較した後に「おれは鉄兵」を参考にしたというのは彼方此方で言ってるけど、

>ジャンプ「伝説の編集長」がFGO誕生に関わった“黒子”、電ファミニコゲーマー編集長と語る「才能を“超一流”に育てる極意」
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1903/26/news037_5.html

>僕も研究しているうちに読みやすい漫画と読みにくい漫画があるのが分かってきました。読みやすいものを突き詰めて残ったのが、ちばてつやさんの『おれは鉄兵』(講談社)でした。

 19ページの漫画を50回考えながら読んでコマ割りを研究したのです。これを漫画家に指導したら漫画がめきめきうまくなりました。


おれは鉄兵 (1) (講談社漫画文庫)
おれは鉄兵 (1) (講談社漫画文庫)

今更過ぎるけど「藤子F不二雄マンガの読みやすさは徹底している。」

・シンプルで解り易い
・無駄コマがない
・可愛らしさとユーモア

乳幼児期用コンテンツとしては、やなせたかしのアンパンマンがあり、

あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)
あんぱんまん (キンダーおはなしえほん傑作選 8)

アンパンマンを卒業するとドラえもんへ、という流れはここ数十年のルートになっているように思う。

ドラえもん(1) (てんとう虫コミックス)
ドラえもん(1) (てんとう虫コミックス)

しかし「子供達がマンガの読み方が解らない」と言われる状態にあるのは、他メディアとの時間やフリークエンシー取り合いの中でも、マンガ自身のアーチスト気取りの読みづらさの影響は否めないと思う。

>コロコロ編集長に聞く“マンガを読めない子どもが増えている”の真偽
https://ddnavi.com/news/215595/a/

>「読めない子が増えているとは思いません。『コロコロ』1号あたりの発行部数は今年の年末号で130万部に達する見込みで、昨年の平均より約50万部の増加です。しかもより低学年の読者が増えている。小学生以下に関して言えば、“マンガ離れ”も感じませんね」(村上編集長)。

>「読者のリテラシーを低く見積もって、“より分かりやすく”という方向で変えたことはないですね。マンガ表現の流行による変遷はもちろんあるけど、1977年の創刊当時から基本的な表現方法は変わりません。編集方針としてお願いするのは『子どもはマンガを読むのが遅いので、一コマずつ背景までしっかり描くこと』くらい。かつては編集長も要らないとさえ思っていて、『コロコロ』を読んでいた当時の俺が満足する本を作れているのか? という気持ちで挑んでいました。子どもを舐めてはいけませんよ」。


で、角川ダヴィンチのライター曰く

>この出版不況下、1号あたり50万部の伸びは相当すごい。全盛期の150万部(1997年)と比べても遜色ないと言っていい。ご存じの通り、背景には13年1月号から連載を開始した『妖怪ウォッチ』の功績があるが、コンテンツ自体の人気に引っ張られただけではないだろう。『妖怪ウォッチ』のゲームソフトが発売されたのは13年7月、アニメ版開始が今年1月。つまりゲームやアニメより、『コロコロ』のマンガ連載が先だったのだ。


だからどうした!


逆にマンガから人気爆発したんじゃなくて
「アニメありき」で後から人気になった結果、マンガ側がアニメのおかげで売れたって証拠そのものだろ!

数理論理の思考能力無いの?


このライターの名前で検索しても検索結果2個しか出て来ねえ。つまりはそういうレベルと。

さて、では「その後」発行部数がどうなったか数字を見てみるか。

2013年
1〜3月  616,667 部
4〜6月  573,334 部
7〜9月  560,000 部
10〜12月 620,000 部

2014年
1〜3月  673,334 部
4〜6月  820,000 部
7〜9月  960,000 部
10〜12月 1,116,667 部

2015年
1〜3月  1,050,000 部
4〜6月  970,000 部
7〜9月  920,000 部
10〜12月 896,667 部

2016年
1〜3月  870,000 部
4〜6月  806,667 部
7〜9月  790,000 部
10〜12月 843,333 部

2017年
1〜3月  763,333 部
4〜6月  776,667 部
7〜9月  763,333 部
10〜12月 800,000 部

2018年
1〜3月  786,667 部
4〜6月  726,667 部
7〜9月  716,667 部
10〜12月 663,333 部

2019年
1〜3月 623,333 部

ブーム終焉と共に部数は約50万部ダウン、半減してるじゃねえか!
完全に「『妖怪ウォッチ』の功績で、コンテンツ自体の人気に引っ張られただけ」が明白!

妖怪ウォッチ4 ぼくらは同じ空を見上げている -Switch
妖怪ウォッチ4 ぼくらは同じ空を見上げている -Switch

コロコロ編集長と角川こそ
「子どもを舐めてはいけない」って事だろ。


検索したら、
>完売続出!話題の「幼稚園」企業コラボ付録 誕生秘話
https://hon-hikidashi.jp/enjoy/74474/
>2017年から「幼稚園」編集長


だとさ、そしてまた上記記事みても

>「企業コラボふろく」にシフトしたのは、9月号「かいてんずし つかみゲーム」から。それまでは、売上で苦戦が続いていました。なにより人気キャラがいないのが苦しくて。


何の事はない。この人はクロスメディアで「他所の力」で「物」として雑誌を売ってる。
つまりは雑誌の内容は関係ない状態になってる。

コンテンツ自体に訴求力もヒットさせる力もないって証拠。

そして、データの如く提示されている愚かしいものが。

>雑誌『幼稚園』企業コラボ付録で創刊以来初の重版
https://mag.sendenkaigi.com/kouhou/201909/from-field-of-media/016960.php

このグラフ。アンケに答えてる人だけのデータだよな。だって1歳児以下が自身で本屋に雑誌を買いにはいかねえし。
https://mag.sendenkaigi.com/kouhou/201909/images/054_08.jpg

なのに部数が重版かかったってのはどういうことか?

実態は「大きなお友達」が雑誌『幼稚園』を買ってるからだろう!

つまりは、部数は出ても「子供」という本来の読者を無視する愚行をここでも繰り返している。

少年誌を女性層に寄せて、幼稚園を大人をターゲットにした後はどうなるかはジャンプだのの有様をみれば明白だろう。
ターゲット層を広げた結果、本来の主要読者層が乖離して衰退にストップがかからなくなる。

やなせたかしや、藤子Fは本当に数十億いる人類の中でも稀な方々だったが、
出版社や編集者がそれに続く人を潰して来たんだろう。
まあスマホやタブレットが普及浸透すれば、新聞、ラジオ、テレビは役目を終える。
テキストや絵画というメディアが消失することは絶対に無いが、マンガという表現技法がこのままで良い筈がない。


さて、この書籍の収録作品は

海底人間メバル
暴風の奇術
幽霊ロケット
白魔洞の怪人
宇宙冒険児
恐怖のウラン島
あのロボットをうて
トピちゃん
宇宙鉱脈
ぼくは…うしろにつけた
さてほんとうに穴をでるには?…
ある日本人留学生からのローマ便り
星の子カロル
ふしぎなほしのぼうけん

星の子カロルは「たのしい三年生」掲載で藤子Aとの共著。
ふしぎなほしのぼうけんは「たのしい二年生」。

小学校低学年でも解り易い平易な台詞。大ゴマ使用。そしてコマの中に個々にノンブルがふってある。

見開きばかりのマンガで枠線も碌に使わずページ側のノンブルも潰してしまうような雑なのが近年非常に雑誌掲載モノで多い。
読む順番すら縦書き横書きによって見開き方向まで違う。雑に言えばアメコミとマンガは先ずそれが違う。
基本マナーすらも失えばそりゃあメディア自体が衰退するわ。
スマホやタブレットで読むマンガの作法は見開きを行って読む書籍掲載されているマンガ作法と共通個所もあれど「絶対に別物になる」筈なのだが、過渡期といってもマルチメディアだの言われた時代から電書もできてどんだけ経ってるんだよと言いたくもなるが、
出版がデジタルとの共存共栄でなく「目の敵として敵対」をしてきたm末路が現状なのだから酌量の余地なしだ。

ところで「あのロボットをうて」に「西海村」という原子力研究所があるフィクション地名が出てくる。69年2月掲載の作品だ。
東海村に日本原子力研究所ができたのが1956年。ウラン溶液をバケツで扱ってJCOが臨界事故を起こし被ばくで死者を出したのが1999年。

東海村「臨界」事故―国内最大の原子力事故・その責任は核燃機構だ
東海村「臨界」事故―国内最大の原子力事故・その責任は核燃機構だ

横山光輝マンガや、アニメ「アストロガンガー」(1972年)とかだと、原発を破壊して敵を倒すみたいな事を平気で結構描いてるんだけど、

アストロガンガー DVD-BOX 上巻
アストロガンガー DVD-BOX 上巻

この「あのロボットをうて」でも、巨大ロボット「ゴーレム」のエネルギー源としか表現されてなくて、最後に爆発するロボットの絵を見つつ
「ああ、この子や博士たちももう…」って思ってしまう。

その時代の人々の科学知識レベルを伺う資料にもなるけど、そのまんまを現代で子供達に読ませる前には、真面な科学知識がある事も前提だよなーと読みながら思った。


posted by wolf_howling at 06:28 | Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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