2019年09月06日

藤子・F・不二雄大全集 Uボー

藤子・F・不二雄大全集 Uボー
藤子・F・不二雄大全集 Uボー

これが未単行本化作品だったとは思えない程に良作!
新聞社の感覚だと愚かにも「読み捨てられるもの」という感覚だったのだろう。

藤子・F・不二雄のフルカラー作品で2ページもの全179本!
子供達が漫画に触れる機会の作品として素晴らしすぎる!
後書きによると、連載された「毎日こどもしんぶん」のターゲットは小学生新聞より低学年。幼稚園年長から小学校2年生がターゲット層だったとのこと。
依頼する相手は藤子F先生しか思いつかないというのは仕方ないと思う。
現状でも、もし先生が御存命なら他者は相手にもされないと思う。
そういえば藤子不二雄デビュー作「天使の玉ちゃん」は毎日小学生新聞だったな!

藤子・F・不二雄大全集 UTOPIA 最後の世界大戦/天使の玉ちゃん
藤子・F・不二雄大全集 UTOPIA 最後の世界大戦/天使の玉ちゃん

毎日小学生新聞といえば、園山俊二デビュー作であり存命の間ずっと連載していた「がんばれゴンベ」が連載されていたけど、

がんばれゴンベ
がんばれゴンベ

小学1年生なら園山俊二もOKなんだけど、幼稚園年長がOKかどうかで藤子Fへの依頼判断になるのは良く解る。

連載当時の悪書追放運動だのに対して、藤子F曰く
「いいまんがは決して活字離れなんか起こしません。フキダシの中のセリフは全部活字です。活字になじむことが大切なので、まんがだって悪いことはないのです。ちゃんと読みながら字を覚えるんです。」「そういった意味で児童まんがは、ひとつの教育の場でもあるんです。」


つまりは「教育の場でない良くない児童まんが」が溢れてるから、子供がマンガ離れするんだよ!



さて、気を取り直して名作のレビュー解説。

宇宙から遊びに来て写真に写りたがる子供のUFOであるUボーが、地球人のすすむ(設定資料には天川進とある)の家に居候するマレビトもの。

開始時の5話

円ばんはともだち
花見にとんでゆけ
学校に行こう
ぼくはUびん屋
おるすばんはどろぼうと

までは、オバQのような地球についての非常識から奇妙な行動をとるギャップギャグ系列だった。
以下で試読できる範囲。
shogakukan.tameshiyo.me/9784091434449

6話目の「まいごのこいのぼり」からドラえもん同様の「すこしふしぎ」な力でメルヘンの世界に仲間を導く。

Uボーは人を乗せて高速飛行できる能力がある。
普段は尻尾を引っ張って子供位の大きさになり、家の中で共に遊んだり暮らしたりする。
アニマライトという光線を目から出せて、それが照射されたものは大型化し、自立稼働が可能になる。
「まいごのこいのぼり」「おもちゃでドライブ」「おもちゃの怪獣」などの回で使用される。

そしてUボーはドラえもんの「ひみつ道具」と同様のものを多数もっていて、しかも機能ばかりか、全く名称も同じものまで持っている!

オールカラー版 ドラえもん ひみつ道具ずかん (コロタン文庫)
オールカラー版 ドラえもん ひみつ道具ずかん (コロタン文庫)

「紙ひこうきにのって」の話を筆頭にスモールライトは頻繁に出てくる。(ビッグライトに当たるのは「デカライト」と呼ばれる。)

ドラえもん ひみつ道具マジック スモールライト
ドラえもん ひみつ道具マジック スモールライト

「どこでもドアー」という回があるが、ドラえもんの「どこでもドア」とは違って機能的には通り抜けフープ。

UDF どこでもドア(ノンスケール PVC製塗装済み完成品)
UDF どこでもドア(ノンスケール PVC製塗装済み完成品)

ドラえもん 通り抜けフープ ウォールライト 壁掛けセンサーライト
ドラえもん 通り抜けフープ ウォールライト 壁掛けセンサーライト

しかしUボーは「ぬけあなわ」という通り抜けフープ同様機能の道具も持っている。

Uボーの持つ「どこでも表札」が「どこでもドア」に類似した機能を持つ。

「万能きびだんご」は「桃太郎印きびだんご」と同様。

一番くじ ドラえもん ひみつ道具 チャームくじ 桃太郎印のきびだんご フィギュア ストラップ アクセサリー 藤子不二雄
一番くじ ドラえもん ひみつ道具 チャームくじ 桃太郎印のきびだんご フィギュア ストラップ アクセサリー 藤子不二雄

「ピストルクリーム」は12巻「けん銃王コンテスト」の「空気ピストル」

ドラえもん (12) (てんとう虫コミックス)
ドラえもん (12) (てんとう虫コミックス)

ドラえもんの「ホームメイロ」は「めいろつくり機」として類似した機能の物が出てくる。
「ホームメイロ」はドラム型だが、「めいろつくり機」は地球儀の様な球形。

Uボーの「ぼうけんめがね」はドラの「オーバーオーバー」に類似。

「入道雲をのぼろう」の回には名称が同じ「くもかためガス」が。ドラえもんでも度々出てくるので、雲に乗ってみたいという願望が藤子F先生は強かったんだろうなあ。

映画ドラえもん のび太と雲の王国【映画ドラえもん30周年記念・期間限定生産商品】 [DVD]
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「エレベーター豆」は「ジャック豆」と同様。この回も「くもかためガス」が活躍。

Uボーの「あたり矢」は本来はゆっくり飛行しながらも必ず目的物に命中する矢なのだが、ドラの「はこび矢」と同様の使用方法も可能。

ドラの「実用ミニカーセット」に似た物が、Uボーでは「ドライブごっこ」の回に出てくる。
でも、自動車教習所等のシミュレータシステムとドローンを組み合わせれば、これって今現在でも実現可能だよな。

「地図でひとさがし」回の道具のようにリアルタイムではまだ無理だが、Googleストリートビューとある意味では似ている。

道具の話からはやや外れるが「なんでもラジコン」の回にはボルテスVと思しき玩具が描かれている。
ボルテスVは77年作品で、この回は79年に掲載されたもの。まだ色々と五月蠅くなかった時代を感じさせる。

ACTION TOYS ミニディフォルメシリーズ ボルテスV 全高約130mm ABS製 塗装済み 可動フィギュア
ACTION TOYS ミニディフォルメシリーズ ボルテスV 全高約130mm ABS製 塗装済み 可動フィギュア

まあ本作中で観ているテレビ番組としてみたいな形でドラえもんやオバQも客演してたりはするんだけど。

藤子F作品は最終回に別れを描くものも多い。
俺が知ってる中では、一旦、打ち切りがあって後にファンからの苦情が小学館に押し寄せて復活した、ドラえもんを筆頭に

STAND BY ME ドラえもん
STAND BY ME ドラえもん

パーマン、

藤子・F・不二雄大全集 パーマン コミック 全8巻完結セット (藤子・F・不二雄大全集)
藤子・F・不二雄大全集 パーマン コミック 全8巻完結セット (藤子・F・不二雄大全集)

ジャングル黒べえ、

ジャングル黒べえ (藤子・F・不二雄大全集)
ジャングル黒べえ (藤子・F・不二雄大全集)

4じげんぼうPポコ

モッコロくん 4じげんぼうPポコ パパは天さい!ほか (藤子・F・不二雄大全集)
モッコロくん 4じげんぼうPポコ パパは天さい!ほか (藤子・F・不二雄大全集)

バウバウ大臣とか

藤子・F・不二雄大全集 みきおとミキオ/バウバウ大臣
藤子・F・不二雄大全集 みきおとミキオ/バウバウ大臣

バウバウ大臣は「数百年かけて星を買いに行く」というマレビトに「僕たちそんなに生きてられないよ」と笑う地球人一家だが、
「必ず皆さんは転生しているので、見つけに来ます」と言って去っていくという一風変わった終わり方だ。
(再開できる余地を残している感じもしなくもない。)

マレビト達は用事があって帰るという内容が多い中、Uボーもそうなのだが、
彼はすぐに戻って来れる糸電話をすすむくんに渡すので「さようなら」と言うものの「別れ」ではない形。

これも再開の余地を残していた感がある。

1979年に終了している理由も不人気だったわけではなく、多分に同年のテレビアニメ版ドラえもんの大ヒットと、

ドラえもん タイムマシンBOX 1979(12枚組) [DVD]
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それを受けての1980年からのコロコロコミックでの大長編ドラえもん等での多忙が、
週刊単位でのカラー作品制作が難しくなったことの理由だろうと思われる。
1979年に小学館とシンエイ動画が藤子Fにドラえもん長編映画化を持ちかけたからだ。

大長編ドラえもん (Vol.1) のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス)
大長編ドラえもん (Vol.1) のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス)

大ヒットしたオバQを玩具販売がやや下火になったとして打ち切ってしまった小学館と

オバケのQ太郎 1 (てんとう虫コミックス)
オバケのQ太郎 1 (てんとう虫コミックス)

その後なかなかヒット作に恵まれずスランプに陥った藤子fは、双方とも2度目の大ヒットを絶対に逃す訳にはいかなかったのだろう。

しかし長編作品よりも、「僕は短編作家」と自身でも断る藤子Fの真骨頂は、この2ぺージマンガであるUボーの方だと俺は思う。

藤子・F・不二雄大全集 Uボー (藤子・F・不二雄大全集 第2期) [ 藤子・F・ 不二雄 ] - 楽天ブックス
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posted by wolf_howling at 19:05 | Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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