映画「キング・アーサー」 (2004年)

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『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジェリー・ブラッカイマーがプロデュース。


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『バッドボーイズ』シリーズのジェリー・ブラッカイマーでもあるだけあって、円卓の騎士たちのノリは割とギャングやチンピラっぽい。


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1924年にケンプ・マローンが唱えた古代ローマの軍人ルキウス・アルトリウス・カストゥスがアーサー王のモデル説をとった映画。

なので、これから入ってしまうと相当に一般的な知識とズレてしまいそうなオリジナルストーリー。

まあアーサー女体化してるゲームが蔓延ってる国まであるけどなｗ


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ブリトン人のアーサーの敵はサクソン人だ。
なのでハリウッド映画を喜んで受け入れる筈のアングロ・サクソンどもには実はアーサーは都合が悪い主人公だ。
（実態のアングロ・サクソン諸国との血統性は薄いけど。）
更には本作ではサクソン人は冷酷残忍な描写をされている。

アーサーの敵がローマ設定はままある。
アーサー王大活躍設定だとローマ人は敵で、アーサーは大進撃してローマ皇帝になる童話もある位には。
でも、この映画ではアーサーは王でなくて単なるローマ属州の騎兵リーダー。

そしてキリスト教の宣伝の為に聖杯伝説と絡められたアーサー王と円卓の騎士たちが現状では最も有名だけど、
本作ではキリスト教が異教の信仰者に苛烈な虐待を加えている邪教的な描写をされている。

ミラノ勅令が出されてキリスト教がローマ帝国で国教化されたのが313年だからルキウス・アルトリウス・カストゥスの生きた時代は諸説あるが、2世紀後半から3世紀前半とのざっくり説をとれば既にローマにキリスト教が広がっていてもおかしくない時代背景ではある。

当然にプロテスタントとは違えどもWASPどもには都合が相当に悪い映画だなｗ

そのせいか興収はイマイチふるっていないが、一風変わったアーサー王映画としては個人的には面白かった。
バトルアクション的なものを期待するとガッカリする。会話ドラマが殆ど。
45分頃のサクソン人描写からでも話は繋がる。なんなら55分のサクソン人描写からでも話は繋がる。
＝それまでの描写は観なくてもストーリーが解る位には無駄。
なので構成力には相当に疑問があるが後半の撤退戦で湖でのバトルからはやや戦闘も見栄えがしてくる。

策略っぽい描写もあることにはあるんだけど「城門の開け閉めだれがやってんだよ。自動ドアかよ。」みたいなあまりにも基本的な論理思考能力での考察に問題があるのでファンタジーテイストを排除してリアルに徹したと制作サイドは主張してるけど、普通にツッコミ入れられるレベルの演出家を1億2千万ドルの製作費内で雇っておけばよかったのにねえと。

撮影に使った剣が300、斧が300、槍が750、衣装は2500着。
パイレーツオブカリビアンの衣装デザイナーであるペニー・ローズがデザインした衣装で見栄えはする。
ジェリー・ブラッカイマー曰く剣を使っても疲れない衣装をって事で革を主体に作ってるそうだけど、ローマの重装騎兵は当然に鉄を使用してるので演技や動きの軽さが逆にリアリティを削いでいる。活劇としてのアクションでない不器用さが見える一方で、本物の迫力が中途半端だ。
大河ドラマの「真田丸」で藤岡弘、が「鎧が軽すぎる」と言って30�sある鎧にわざわざしてもらって役作りしたのとは対照的。


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250人で4カ月かけて城壁作ったそうだけどCGでも変わらないと思う。
凍った湖のシーンは安全性の問題からして当然にマットペインティングだし。
サクソン人の大群も結局はCG。
でも炎や煙のシーンには大量のラードを燃やして撮影もしたらしい。
エキストラ1000人近くを実際に目の当たりにして解る雰囲気もあると監督のアントワーン・フークアは主張。

パイレーツオブカリビアンといえばグウィネヴィア役がキーラ・ナイトレイ。
トマス・マロリーだののせいでグウィネヴィア王妃の扱いはアーサー王伝説の中では酷いものだが、本作のグウィネヴィアは全然違う。
アーサーがローマに仕えている隊長設定だけあって意外な出会いをする女戦士だ。
ブリトン人設定ということもあってか、ラストバトルシーンではメル・ギブソンが「ブレイブハート」で演じたウィリアム・ウォレスみたいに青い刺青風の化粧をしてるんだけど、絵的にはアバターのナヴィ族っぽく見えるｗ


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俺は吹替版メインで観たのだけど（チェック含めて英語版音声の日本語字幕でも観た。）

アーサー役の東地宏樹は安定の出来。

ボース役が斎藤志郎さんでこういうコミカル面も立った役には最適。

マーリンが野沢那智さんだったのは一番最後の日本語キャストロール見るまで気づかなかった。

ラスト近くでやっと描かれているのは「ベイドン山の戦い」な事が解る。
岩波からでているせいで日本ではやたら普及している割に内容はそれほどでもないトマス・ブルフィンチの『中世騎士物語』だけど、それにも一応ベイドン山については触れられている。


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