2017年12月05日

海の王国 ジョーン・エイキン

海の王国
海の王国

タイトルからなんとなく手に取って、中身をパラパラと見るにヤン・ピアンコフスキーの影絵の様な、切り絵のおうなシルエットのみで表した絵に惹かれて、次に文章をざっと眺めたらスラヴ民話っぽい。

後書きなどを見るにロシア,バルカン諸国の昔話をイギリスの児童文学作家が再話したものとのこと。

>海の王国 - 岩波書店
https://www.iwanami.co.jp/book/b255343.html

スラヴ民話に出てくる民俗の存在って、この本にも掲載されてるバーバ・ヤーガとかの他はメガテンで覚えたベロボーグ 、チェルノボグ、トリグラフ3神とか、ルサルカとかしかパッとは出てこないなと思って読んでみた。

組曲《展覧会の絵》: 鶏の足の上に立つバーバ・ヤーガの小屋
組曲《展覧会の絵》: 鶏の足の上に立つバーバ・ヤーガの小屋

ドヴォルザーク:歌劇《ルサルカ》パリ・オペラ座2002年 [DVD]
ドヴォルザーク:歌劇《ルサルカ》パリ・オペラ座2002年 [DVD]

11編しかなく、海の話も最初のだけで、でてくるのは主に太陽神らしきもの多い。

夜明けの乙女ゾラ・ジュヴォイカとは多分にゾリャー(Zorya)の事だろうオーロラの神格化されたものらしい
https://en.wikipedia.org/wiki/Zorya

太陽神ダジボーグ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%B8%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%B0

太陽の育ての親、沼の魔女モコシュ(地母神)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%B3%E3%82%B7

他に出て来た天使ガブリエルや、聖ペテロと共に出てきている「神」は当然キリスト教の神だ。

読んで先ず思ったのがアラビアンナイトの影響である。
アラビアンナイトの原型成立が9世紀。
キエフ大公ウラジーミル1世が作らせた6体の神像の中にダジボーグやモコシュがあり、ウラジーミル1世の即位が978年なので、超ザックリだがアラビアンナイトの大元の方が100年近くは早い。
となると・・・伝播して現地の話にアレンジされたと考える方が普通かなと。
ジョーゼフ・キャンベルの比較神話学だと、遠く離れた所の話が何故か似てる!これは人間の根源がうんちゃらだのって説だけど、如何考えたって伝播が殆どだろって位に人間の移動力なめんなと、こういう事例を見つける度に思う。

神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

アラビアンナイトの影響が顕著なのが「王子様の嫁探し」で、王子が苦労して探したのに好奇心からバカな事を繰り返してしまうのは、現代の子供だろうが、昔の大人だろうが、其処で「あーあ。バカだね。」って思わせる効果は時代を経ても同じなのだろうなあと感慨深い。

浦島太郎が玉手箱をあけてしまう行為とかも、影響があるのではなかろうか?

とはいうものの、昔話をそのまま収録してくれた方がそういう意味での価値は高いのだが、再話と呼ばせた改竄が酷い様子なのも多い。

1話目の「海の王国」は
アラビアンナイトによく出てくる貧乏漁師と、
浦島太郎の竜宮城と、
真面目に勤めを果たしていた奥さんが報われる話
という構成は、多分にラストは特に作者が付け足した感が凄い。

ここで私が思い出すのはグリム童話の「漁師とおかみ」なのだが
http://hukumusume.com/douwa/pc/world/05/24.htm
多分にジョーン・エイキンは、おかみさんがそういう役回りだったのが「個人的に不満」だったのだろう(苦笑)

話というものは昔の原型に遡るほど、教訓めいたラストとかはなくて、
割と変わった内容を伝えるのが主体&投げっぱなしエンドも多いものだ。
なので改竄が何処でされてるかとかは割と解り易い。

伝播とアレンジといえば、「ババ・ヤガーの娘」という話は
継母と二人の姉にいじめられる末娘。となるともうお分かりですねという感じだし、
その娘が夜、外に出て火をかりてくる話からは、大歳の火を思い出した。
イギリスの「ジャックと豆の木」に加え、グリム童話の「親指小僧」「怪鳥グライフ」などからこまごまと引っ張ってきた後に、
「ヘンゼルとグレーテル」とは別のテクニックでババヤガをかまどの中に放り込むのだが、このババヤガは強くて更に追ってくる!
ここで、出て来たのが呪的逃走だ!
日本では「三枚のお札」や、イザナギがヨモツシコメやヨモツイクサに追われて髪飾りや櫛を投げるって話があるが、
ババヤガ相手には
・ブラシを投げたら藪になる
・櫛を投げたら樫の林になる
・金糸銀糸の布を投げたら沼になって、ババヤガは其処でみえなくなる。
というスタイルだった。

「三枚のお札」の相手は山姥で、
トイレの中で小僧の代わりに代返をする札の後は、
追っかけてきた山姥を阻む為に、河になったり、火の山になったりするが、
別パターンだと砂山になって登ろうとすると崩れてなかなか登れないという表現がある。

この本が1971年のものなので、
これはどこまではスラヴに伝わっていた話なのか?
何をどこから引っ張って来たのか?
とかを故人になる前に作者には残しておいてほしかった気分だが、
もうこうなってしまうと昔話を読んでいるというよりも、創作童話を読んでいるって感じに切り替えた方が良いと思ったのでそうした。

だってゾウまで出てきちまう話まであるんだもの。

さいごの「がちょう番のむすめ」というのは、タイトルだけみて「あー。ここでもグリムか…」って思ったんだけど。

初版グリム童話集(4) (白水uブックス 167)
初版グリム童話集(4) (白水uブックス 167)

意外や意外、笑い小話だった!
しかも、神様とか聖ペテロをネタにした内容という。

逆にコレを読んでまた俺はグリム童話の「漁師とおかみ」を想起した。

あまりに短い話なのでネタバレというか、あらすじを書いてしまうと。

聖ペテロが短時間でも神様やってみたいなーと神に言う。
じゃ、今から半日交代ね!と神様。
ガチョウ番の娘が祭に出掛けようとガチョウをホッタラカシにするのを見るペテロ。
ペテロが、お前が面倒みない間は誰がガチョウをみるんだ?と娘に聴く。
娘は「私の代わりに神様が番をするんだよ」(多分に運任せという意味)
神様は祭に出かけるが留守番させられるペテロ。
ペテロは神様になりたいとは二度と言わなかった。

これ、洒落てる!
軽い教訓話でもあり、神様が任せた!って言ったのが祭の当日だったって事は思し召しというか、むしろ「計画通り」な罠にはめた状態じゃねえかWWW

この人は短編創作の方が向いてるんだろうな。

既にこの本は絶版状態なわけだけど、今でも在庫がある「しずくの首飾り」についてちょっと調べたら、教科書で読んだことがある「三人の旅人たち」は当然に俺も知ってたわ!
砂漠の過疎駅の駅員3人がそれぞれ旅に出て土産話をきかせる話。
あれを書いたのがエイキンだったのか。物語の概要は覚えてるが流石に作者名とかは忘却の彼方だったよ。

しずくの首飾り (岩波ものがたりの本)
しずくの首飾り (岩波ものがたりの本)

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2017年11月29日

統計でウソをつく法  数式を使わない統計学入門 ブルーバックス

統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)
統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)

中二の時に図書委員長だったのを良い事に、文庫や新書系で少しでも興味があるのを目録を眺めて片っ端から購入依頼を出した事がある。
日本がまだ豊かな時代だったので呆れる位に全部を司書が買ってくれた。
のだが俺は受験勉強というものを全くしないで高校に進んだけど、2年で読める本の冊数は明らかに超えていた。

その中にこの本があった。

其れから数十年が経過し、何度も図書館でも見かけはしても他の本を借りる方に枠を使ったりで読んでこなかった。

1954年に書かれた本なので今の若い世代からすると「キンゼイレポート?何それ?」だろうけど、

キンゼイ報告と日本女性の性行動 (1954年)
キンゼイ報告と日本女性の性行動 (1954年)

(へー。コッポラが監督してリーアム・ニーソンが主演したキンゼイの映画なんてあったんだ。10年以上も前に。)

愛についてのキンゼイ・レポート [DVD]
愛についてのキンゼイ・レポート [DVD]

なので執筆当時にタイムリーだったネタも今となっては「何それ?」ではあるけど、数字はかわらないし、取り上げられている事例の問題点も変わらない。

新書らしく文体も軽妙で、多分に中学生の時に読んでおいてもいいだろう。
とはいえ、当時の俺が読んでも何ら目新しい事もなく、まあねで済む内容でもある。

とはいえ原題でもビッグデータだ、AI解析だってバズワードを商売のネタにしようとしてるのに踊らされてるような連中は読んでおいた方がいい。

NHKっていう政府御用メディアのビッグデータ特番は噴飯ものだった。

>「ひとり暮らしの40代が日本を滅ぼす」NHKが作ったAIの分析が冷たすぎる
http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/22/nhk-ai-made-shocking-analysis_n_17510952.html

因果が数理論理に従ってなければ風は吹いても桶屋は儲からない。取らぬ狸と昔から言われている。

見せかけ相関問題は現在でもニコラスケイジ事例などでネタにされているが。

>ニコラス・ケイジの映画が増えるとプールで溺死する人も増えるのか?
http://gigazine.net/news/20170403-correlation-causation/

この本の時代でも

「マサチューセッツ州の長老派教会の司祭の給料」と
「ハバナのラム酒の値段」には高い相関関係がある、という話があるが、
大きい視点から見たら全体的な物価上昇ってのがあるでは?とか言えたりする例も書かれている。

原因と結果が前後してしまっていたり、無関係のものをこじつけても因果や相関にはなりえない。

「大学を出れば高収入が得られるのか?」
との話も、
大学生には2通りある。「頭のいい学生」と「金持ちの子供の学生」で、
金持ちの子供は金が金を産むのだから、大学へ行こうが行くまいが大金持ちの子供は低額所得者の中には見当たらない、とのサンプリングの歪みなどを例示している。

・少ない母数やサンプリングの偏り
・平均として出されている数は算術平均なのか、中央値なのか、最頻値なのか
・グラフや絵での心象操作や誇張
・原因と結果の非論理的なこじつけ


など、データとされるものの問題事例が次々と例示されているが、これは現代でも多くのメディアや企業や政府がやってる誤魔化しテクニックとしてよく見られる。

とはいえ、この筆者や訳者も大概で、俺は鵜呑みにはしない。

叩くデータの時は「共和党」という党名をあげつつ、大統領名の時はリンカーンともしているが、
褒めている時だけセオドア・ルーズベルトがウィリアム・マッキンリーの諸政策を大改革だの書いてやがる。
リンカーンもルーズベルトもマッキンリーも共和党であり、民主党の提示したデータについては一切の掲載が無い。明らかに偏った書き方による印象操作だ。
多分にダレル・ハフ自身の支持政党が有利になるように片方だけをdisっているバランス欠如もサンプリングから良く解る。

そして訳者の高木秀玄があとがきに
「まともな人間をいくら分析してみても人間の本当の性格はわからないが、
どこか狂った人間を分析してこそ本当の人間というものがわかるように。」

などと、統計学の元教授とされている人物が
「まともな人間」
「人間の本当の性格」
「狂った人間」
「本当の人間」
など、ふざけた言葉を吐いていやがるが、これらは比較の問題でしかなく、
「まともな人間」や「本当の人間」が定義されない事には何をどうしようと結果は出ないので、鶏が先か卵が先かで「狂った人間」も定義は出来ない筈だ。
また「人間の本当の性格」というのも、本来「性格」というものには個体差があってしかるべきものに対して、「人間」という種としての括りをする事自体があまりに非論理、非数理すぎて、
こんなのに生徒として金を払って教鞭を執られた人々は一体何を学んだんだろうねえと。
あー、だから元教授なのか(察し)。

そんななので、翻訳の内容や書き方も彼方此方に首をかしげたくなるところもままある。
これ、多分に翻訳しなおした方が良い。

そんな翻訳内容でもあるのだが、めんどくさければ若いうちに最後の10章目だけでもこの本に目を通しておくと数理論理的に物事を判断できるできないの差は大きいと思う。

ウソを見破る統計学―退屈させない統計入門 (ブルーバックス)
ウソを見破る統計学―退屈させない統計入門 (ブルーバックス)

posted by wolf_howling at 16:21 | Comment(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月17日

ジム・ボタンの機関車大旅行

ジム・ボタンの機関車大旅行 (岩波少年文庫)
ジム・ボタンの機関車大旅行 (岩波少年文庫)

ミヒャエル・エンデのデビュー作。

来年にドイツ映画がワーナー系で公開らしいけど、全然そういう情報ってネット使わないと日本には入ってこないよねえ、話題にすら挙がらない。



ジムボタンといえば私にとってはエイケンアニメだったわけだが。

エイケン THE BEST
エイケン THE BEST

ネバーエンディングストーリーのラストに激怒して訴訟起こす程のミヒャエル・エンデが、

ネバーエンディング・ストーリー [DVD]
ネバーエンディング・ストーリー [DVD]

♪ ぼたん ぱーんち ぱーんち ぱんちぱんちぱーんち

だったり、「魔神ドリンガー?誰?」みたいな作品を目にした時の心境や如何にってのは想像するだけで笑ってしまうのだがWWW

もう少年の名前がジムで、機関車の名前がエマで、機関士がルーカスって名称だけが同じで「何処が原作ミハエル・エンデ?WWW」って位に潔く別物。
だけど、アニメ版の1話はいきなり襲ってきた海賊によって母親は攫われ、恋人は鳥にされ、ジムを庇ったルーカスは石化されるという子供にとってはトラウマレベルのインパクトある展開で引き込みが凄い!

Wikipediaにもジムが黒人じゃないとか書いてあるけど
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A0%E3%83%9C%E3%82%BF%E3%83%B3

別物だけどジムがボタン投げたり黒人じゃないってのは全く気にならない位に子供番組の物語としての出来はハードな出来で子供心には良い作品だったと思う。大人の妙な都合関係なく。
30年位前には再放送とかもされてたんだけど、メディアに全く収録されてなくて勿体なさすぎる。

そも、ルグウィンがゲド戦記TV版の主人公が白人だったので肌の色がそうじゃないとかdisってたみたいに、有色人種を優遇したらそれはそれで差別じゃないの?と。

ゲド~戦いのはじまり~ [DVD]
ゲド~戦いのはじまり~ [DVD]

エンデもジムが機関士の仕事について「この仕事が肌の色に好つごう」とか2章目早々に問題発言かいてあるので、上辺で反差別とかやっても細部に本音は現れる。

マンダラ国ってのも元々は中国って書いてたのを後から改変したそうなので、書籍は2つのバージョンが残ってるらしい。ソースはドイツ語版wikipedia。

>Jim Knopf und Lukas der Lokomotivführer
https://de.wikipedia.org/wiki/Jim_Knopf_und_Lukas_der_Lokomotivführer

多分に元々は中国って書いたものの、実在する中国人の視点からすれば妙なファンタジー国家扱いは妙に受け取られるだろうってエンデ自身が気づいたからこその改変じゃないの?

マンダラ国のファンタジーぶりを強調する演出のつもりだったんだろうけど、耳そうじ屋は現代日本には存在しちゃってるのでエンデの考えた法螺話はリアルでビジネスとして成立してるというW

ツカミはやや子供だましを意識しすぎてたせいかかったるいけど、ファンタジー冒険作品としてはどんどん加速していく。
ファンタジー描写の勢いに波がある点が気になったけど、記法をあとがきで読んで納得した。

「ストーリー構成というものを考えず、一行ずつ冒頭から書き足していった結果の作品」だからだ。

連載作品での作話もだが行き当たりばったりで辻褄を合わせたり、ピンチを切り抜けるアイディアを出すのは才能と言っても良いと思う。

エンデがノリでピンチにしてしまった後に、どうしたらいいだろう?と思って次の1行を書くまでに1か月考え続けたという事からも判る。

俺も原作知らずに死んでいくのも何だから読んでみるかって感じだったのだが、あのシーンは「これじゃたすからねえW」って思ったもの。
そして「そうきたか!」と。

荒木飛呂彦がジョジョ4部で吉良吉影に思い入れすぎて
「やべえ・・・。これ主人公達が勝てない・・・。」ってなってしまったのをなんとかしたってのを思い出した。

ジョジョの奇妙な冒険 吉良吉影 ネクタイ 4色 (紫)
ジョジョの奇妙な冒険 吉良吉影 ネクタイ 4色 (紫)

児童書なので難解な文体もなく、短い話なので、あらすじを書いてしまうとネタバレ直結してしまうのが勿体ないと思うので書かないけど、結構にレビューはしづらい。

素晴らしいのはラインハルト・ミヒル Reinhard Michl氏の挿絵!

Jim Knopf und die Wilde 13. ( Bd. II)
Jim Knopf und die Wilde 13. ( Bd. II)

機関車のエマがドラゴンに変装するってどんなだよ?とか思ったけど、あの挿絵で「あー、こんな感じW」って思ったし、竜どものいやらしい感じとかが凄く良く出てる絵があって想像を助けてくれる。

トゥートゥーさんの雰囲気とか、ピンポンのかわいらしさとか、素敵なスケッチ。

初期の挿絵は大どろぼうホッツェンプロッツの絵を描いていたフランツ・ヨーゼフ・トリップが描いていたようだけど。

大どろぼうホッツェンプロッツ(全3巻)
大どろぼうホッツェンプロッツ(全3巻)

このサイトを見るに、ジムボタンと空飛ぶ絨毯とかエンデ原作なのかな?みたいな絵本も結構ある様子。

>F. J. Tripp
http://www.thienemann-esslinger.de/thienemann/autoren-illustratoren/autordetail-seite/f-j-tripp-232/

Jim Knopf und der fliegende Teppich
Jim Knopf und der fliegende Teppich

となると

♪ ぼたん ぱーんち ぱーんち

も別に許されてるんじゃねえの?とかも思った。
エイケンアニメ版もなんか続きの一つみたいな二次創作って捉えればいいような気もしなくもない。
家族や恋人との関係どうするのかとかはあるけどW

エンデがデビューとして書いた時はリアリズム主体で出版社10社以上に見向きもされなかったのに出してみたら大ヒットして、これを読んだ世代が後々にモモや「はてしない物語」みたいな説教臭いファンタジー作品に辿り着いた流れには納得。

モモ (岩波少年文庫(127))
モモ (岩波少年文庫(127))

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)
はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

ハリウッドはハリポのヒット後にファンタジー作品をやりすぎて飽きられて、今度は「実話系」が溢れているんだろうけど。実話が下地になってる取材は必要だけど、それより脚本家側が面白いフィクションが書けなくなってるのもあるかもなーと。何処も原作不足みてえな感じだし。

ハリー・ポッター 8フィルムコレクション<4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(16枚組) [Blu-ray]
ハリー・ポッター 8フィルムコレクション<4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(16枚組) [Blu-ray]

この作品は元々エンデが500ページ超えで書いちゃったのを出版社が分冊にする条件で出版したらしいので、好評だったから続きをって作品とも違うから久々に続きが楽しみ。

あと、タイトルの翻訳についてだけど、
原題は「Jim Knopf und Lukas der Lokomotivführer」で、
「ジムボタンとルーカスは機関士」って日本語だとパッとしないけど、
作中ではあんまりジムは大活躍という感じでなく、むしろルーカスのが主人公みたいな感じだし、
機関車「大旅行」っていうと安全な観光してるみたいな誤解されるだろうから、
「ジムボタンとルーカスの機関車大冒険」ていう方が良かったんじゃねえのかなーとか。

キャッチーなタイトルは売れる為には必須だし、内容が伝わる事も大切。

でも、手紙の謎とかの翻訳技量については恐れ入るレベルで感心した。
子供達もアレは納得するだろう。

それとTRPGのCD&Dで魔法のネタ等は聖書等を参考にしているのも多いのだが、ゴールドドラゴンがローフルな存在である事とか、ドラゴンの服従ってのは何の伝承が元なんだろう?ってのは長年の疑問だったのだが、この話が遠い元ネタだったりする?とかも思った。

ダンジョンズ&ドラゴンズ プレイヤーズ・ハンドブック第5版
ダンジョンズ&ドラゴンズ プレイヤーズ・ハンドブック第5版

エンデ全集〈1〉ジム・ボタンの機関車大旅行
エンデ全集〈1〉ジム・ボタンの機関車大旅行

posted by wolf_howling at 11:45 | Comment(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月04日

ビッケのとっておき大作戦 最終巻

ビッケのとっておき大作戦 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケのとっておき大作戦 (評論社の児童図書館・文学の部屋)

シリーズを読み進め終わる最終巻の段で今更に調べてみたが、
作者のルーネル・ヨンソンって日本語版のwikipediaには
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%A8%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3
>児童文学作家、ファンタジー作家。

だの書かれてて何も触れられてないけど、
スウェーデン語の方をみたら職業はJournalist=ジャーナリストとある。
https://sv.wikipedia.org/wiki/Runer_Jonsson

そして著述家としては詩集で1946年にデビューしたとも。
ビッケを書いたのは1963年から。

くどくどしい詩人ウルメとか、皮肉な一言を挟まずにはいられないチューレはこの作者だからかと凄く納得した。

今回のフラーケの敵は暴君なんだけど、
<平等>と名乗っているのを悪としてるのは、これ多分に共産主義批判だろう。
訳者は<住民の友>ってやってるけど、要は「同志」って事だろうってのもソ連を知ってる大人が読むと判る。

そしてVicke Vikingについてスウェーデン語wikipediaを見ると
https://sv.wikipedia.org/wiki/Vicke_Viking

政治漫画家EWK(Ewert Karlsson)って人が挿絵を描いてるらしいことが判明。
これイラスト描いてる人が2004年に亡くなってるとはいえ、掲載してる日本語版の書籍に誰が描いたかを記載しなくてもいいの?

そしてスウェーデン語が解らない俺はgoogle翻訳に流し込んでみる訳だが

「Vicke Vikingの物語にもとづく漫画の子供向けの映画は、ドイツのテレビチャンネルZDFの代わりに、1974-75年のテレビシリーズとして1972年に制作されました。」

って書いてあって、おいおい!スウェーデン人ども。
ZDFは衣アリの共同「製作」側であって制作は実質ズイヨーがやったのに全く書いてねえぞと思ったが、

「1970年代と80年代には日本、ドイツ、オーストリア、スイス、スペイン、イギリスで大好評を博しましたが、スウェーデンのテレビではずっと後には見せられませんでした。 したがって、Vicke Vikingはスウェーデンではあまり有名ではありません。

ってのを読んで、でたー「フランダースの犬現象」WWWって。

世界名作劇場・完結版 フランダースの犬 [DVD]
世界名作劇場・完結版 フランダースの犬 [DVD]

イギリス作家ウィーダが書いた小説で全然イギリスでは有名じゃないし評価もされてない。
舞台をベルギーにしてるのもののイギリス人が勝手に書いた話でベルギー人は全然知らなかった。
なのに日本人観光客がきて「フランダースの犬の舞台は何処?」だの散々やったせいで、
遂にはアントワープにネロとパトラッシュの銅像まで立つことに(苦笑)

>フランダースの犬は地元では不人気?
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091178537634.html

>地元ベルギーの方たちは ”子供一人を空腹で亡くすような残酷なことを私たちは決してしない” といった批判的な意見さえあるようだ。


菊池寛の翻訳版があって、(ちなみにネロは清(きよし)パトラッシュは斑(ぶち)アロアは綾子(あやこ)ってアレンジが…。)

その後、日本でアニメ化された事で世界に知られるようになるという奇妙な経緯があるんだけど、
ビッケもルーネル・ヨンソンもスウェーデン人は「誰?」てなもんなんだなWWW


評論社新版としては最終巻なんだけど、ルーネル・ヨンソンは1975年にコレを書いた後に、1994年にVicke tar overというのを書いてるので、実は続きがある。
(この本の終わり方も作中でもわざわざ書かれてるように「めでたしめでたし」じゃないし。)
作者は2巻以降は毎年1冊ペースで書いていたのに、それは5巻までで、この巻までは6年も間がある。

Vicke Viking (1963)
Vicke Viking lurar de rodogda (1965)
Vicke Viking Hederskung (1966)
Vicke Viking i Vinland (1967)
Vicke Viking och burduserna (1969)
Vicke Viking stortar tyrannerna (1975)
Vicke tar over (1994)

多分に1972年のアニメがヒットしたので打ち切りだったのに急に追加したのだろう。
そのせいか、急にフラーケ族の中にファクセが登場する!
原作のゴルムとスノーレの役割の両方を兼ねている様な感じがアニメ版のファクセだが、ここまで読んで結局、ウローブ爺さんは出てこなかった。
つまりはズイヨー版のアニメで生まれたキャラだという事の裏が取れた。
ちなみにビッケのガールフレンドのチッチも全く原作には出てこない。でも実写版にも3DCG版にもそれに該当するキャラが出てくる。ってことはアニメありきの作品なのだ。

TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第1弾 ビッケ/ウローブ/ファクセル (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)
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小さなバイキング ビッケ [DVD]
小さなバイキング ビッケ [DVD]

ビッケのアニメ公式サイトは「リンクを勝手に貼るな」ルールとか注記してあるので気軽な引用すらやる気がしない。ITリテラシが空っぽの誰かが関わってるせいなのか?
だったらWeb公開やめちまえば?、SEO的にも勝手に埋もれて自業自得で消えてって貰えば良いしと思う訳だが、

参考資料として見るに

1963年のVicke Vikingの後に
「ビッケと青い騎士たち」
「ビッケと大きなたこ」

があった事が書かれてるので、それらは時系列的には評論社版の2冊目以前の話となる。
多分に著作権でも切れて誰かが訳すとかでもない限りは日本語で目にする機会はなさそう。

俺はスウェーデン語は解らないので、この先を欲り下げたり読んだりは早々に諦める。

というより、スウェーデン人も碌に知らない作品だから、スウェーデン語の文献を入手するにも相当に苦労するだろうし、
日本で面白くアレンジされてのアニメ化があった事によって世界的な知名度を得ている事の裏が十二分にとれたので良しとする。
だって原作の方は面白くねえんだもん。

そしてドイツの実写版やアメリカのwikipediaでの紹介等を見るに

https://en.wikipedia.org/wiki/Vicke_Viking

フラーケ族の外見デザイン著作権って二次著作にせよ本来は日本の方のものなんじゃねえの?って。

トランスフォーマーもCG映画化だのされたところで

トランスフォーマー/最後の騎士王 ブルーレイ+DVD+特典ブルーレイ ※初回限定生産 [Blu-ray]
トランスフォーマー/最後の騎士王 ブルーレイ+DVD+特典ブルーレイ ※初回限定生産 [Blu-ray]

版権持ってるハズブロが何ができるわけでもなく、いまだにタカラトミーが設計デザインしてるわけだし。

トランスフォーマー TFアンコール ゴッドファイヤーコンボイ
トランスフォーマー TFアンコール ゴッドファイヤーコンボイ

ディズニーがジャングル大帝をパクってるのに、それを劇団四季の舞台が〜とかありがたがってる連中は結局、クールジャパンとかって掛け声だけのもので、実際にクリエイティビティを発揮した人間側を踏みつけにしてるんだよ。

ジャングル大帝 Complete BOX [DVD]
ジャングル大帝 Complete BOX [DVD]

ディズニー ライオンキング ミュージカル <劇団四季>
ディズニー ライオンキング ミュージカル <劇団四季>

そういう点では翻訳にもクリエイティビティってのがあって翻訳が良ければ売れるけど、ダメなら売れないはある。

学研版を読んだ時は楽しかったので、Halvarを「遥々」を想起させる「ハルバル」って訳した大塚勇三氏の訳はやはり上手だったのだろうと。
やはり、長くつ下のピッピ(宮崎駿がアニメ化したかったんだけど、ゲド戦記と同様に版権が取れなかったのでアニメ化できなかった作品)や、スプーンおばさんを訳している方は流石と。

長くつ下ピッピの冒険物語 [DVD]
長くつ下ピッピの冒険物語 [DVD]

想い出のアニメライブラリー 第4集 スプーンおばさん DVD-BOX デジタルリマスター版 上巻
想い出のアニメライブラリー 第4集 スプーンおばさん DVD-BOX デジタルリマスター版 上巻

様々な書籍やゲームで「何でこんな人を翻訳担当に選んだの?」ってのは非常に多い。

そして英語教育が浸透し、機械翻訳の精度もAIなどで上がって来ると猶更「よくもまあこんな酷い翻訳や字幕で金とってるよね」ってネット上で袋叩きに合う時代な訳で。

児童書の翻訳書籍をここのところずっと眺めてて、出版社や編集者が丸投げで何もしてない様子が非常に良く解る。

言葉の壁というものはあるものの、解りやすく訳せるかとか、子供ですら変に思う数理論理破たんを書いてないかは児童書では重要だと思う。

この本の36ページには

>イギリス人は自国民にえこひいきをするものですから、イギリス人二人が同時に一位で、私は二位になってしまいました。


とある。

順位ならば「同時」ではなく「同率」だ。
しかも、同率一位が二人ならば、その次は「三位」だ。


作者、翻訳家、編集者、出版社、それぞれが非常識な事がこれだけでも判る。

正しい日本語が判りもしない者には作家も訳者も編集者もない。
正誤判断の基準がまだ整ってない子供達に間違った言葉や知識を広めるなど以ての外だ。


ちゃんと仕事をしている人こそがプロで代金を受け取れる。
そのプロが創った物だけが商品と呼ばれる価値あるものではなかろうか?

ビッケのとっておき大作戦 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケのとっておき大作戦 (評論社の児童図書館・文学の部屋)

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2017年10月25日

「ビッケと木馬の大戦車」 この本は児童書として明らかに不適切

ビッケと木馬の大戦車 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと木馬の大戦車 (評論社の児童図書館・文学の部屋)

いまだに子供向けと子供だましを勘違いしている作家や大人は多い。

この作品も人気が出て無理やりシリーズにしたことでのネタギレからか、破たんしてしまっている。
原作を一部しか参照してないアニメ版のビッケが面白かっただけに、楽しみにして読んだ原作シリーズが構成的に失敗作であることを知るのは複雑な気分だ。

小さなバイキング ビッケ DVD-BOX1
小さなバイキング ビッケ DVD-BOX1

ビッケが現代チート的な発明で人を助けたり、あっと言わせるのは面白いと思った子供もいただろう。
しかし、ビッケが敵の安否も気遣う妙な偽善をみせる一方で、作品の中では戦争ネタが増えて、挙句が作家の脳内での一人相撲が連綿と続く駄文となってしまっている。
ビッケのひらめきも御都合主義の限りだし。
そのアイディアについてのくどくどしい説明シーンの繰り返しも増えてページ稼いでいるのもバレバレ。

>「はっきりいったらどうなんだ」

>「おれをいらいらさせるな!もったいぶった話を聞いているひまはないんだ」


って思うのはブルレットだけじゃねえだろ。

現代チートの挙句がP.73が失笑モノで、原文ではなんとあるかは知らないが、バイキングと同時代で「野球」が存在してしまっている。

ヴァイキング時代=Viking Ageってざっくりとだけど800年〜1050年位の間なんだけど。
https://en.wikipedia.org/wiki/Viking_Age

野球=ベースボールの元となったクリケットですら16世紀のイギリス南部で始まったんだけど。

Amberスポーツクラブクリケットバット ? Kashmir Willow
Amberスポーツクラブクリケットバット ? Kashmir Willow

児童文学において誇張してあるのが明確なフィクション以外を混在させる事は非常に危険である。
知識として子供が其れを蓄えてしまったらどうするのだろう?
また、その後に事実を知った際には「作家に騙された!」と思うだろうし。

バカな大人なら「バイキングが野球をやっていた事知ってる?」とかって冗談に騙されてしまう者もいるかもしれない。
むしろ知ったかぶりして「知ってるとも!」とかいう奴までいるかもしれない。

そういう点でも文面の上では偽善だらけだが、実際には子供の事を全く気遣ってはいない書籍なのがバレバレでもある。

ココナッツオイルとラードで作った「すべり液」に、滑り止めである松脂を混ぜている愚かさとかも史実だけでなく科学的な知識にも作者が乏しい事があまりにも解りやすい。

WHITE BEAR(ホワイトベア) 野球 投球用 チームロジン No85 [並行輸入品]
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BERNARDEL(ベルナルデル) バイオリン用松脂
BERNARDEL(ベルナルデル) バイオリン用松脂

竹馬部隊を弓で射殺してしまえという名案の否定理由が、

>暑さで、弓のつるがたるんでしまっているから、弓をひきしぼることができない


って言いながら、すべり液をつめた樽を開ける方法として

>ひもをつけた矢を、樽にうちこんでおけばいいんだもの。


とかいってる。

チューレでなくとも「ビッケと作者のルーネル・ヨンソンは論理思考能力が欠如してるから、平気で矛盾した安っぽい戯言をぬかすんだな」って言うだろう。

ビッケと木馬の大戦車 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと木馬の大戦車 (評論社の児童図書館・文学の部屋)

そしてルーネル・ヨンソンの考えた破城槌への対策が、馬で動かす防壁の補強装置だそうだが、
「レンガを詰んだ防壁を馬でひかせて丸太で動かす」って噴飯物の子供だまし。
確かに家や城ごと枕木に乗せて動かす曳家って技術は存在するけど、それって移動にどれだけ時間かかると思ってんの?
何より積んだばかりのレンガ塀を移動させるとか、モルタルで突っ込んできた破城槌を固めてしまえとか、固まるまでの時間舐めすぎ!

セメントやモルタルって固まるまでに5、6時間かかるけど、
その間ずっとブルドゥース人は待っててくれたのかよ?

その補強装置ってのは9m×9m×(高さは明記されてないが破城槌の荷台の高さだけでも最低でも50cmとあるので)50cm=9m立方の容積の中に、単位体積重量2.14t/m3のものを流し込んで、できたてのレンガ塀が9*2.14=19.26トンもの横からの荷重を支えられるとでも?
ルーネル・ヨンソンの主張通り、ブルガリア人のレンガの強度が大理石並だったとしてみよう。
しかし、硬度は全くこの場合意味をなさない。
だって地面の上に置いてあるだけの塀なんて板だろうか石塀だろうが関係ない。
モルタル流し込んだら逆に必ず倒壊する。
何故ならば動ける壁=基礎工事がされていないからである。
ブロック塀などはちゃんとした工事なら鉄骨を入れてそれを基礎に刺してあるから「倒れにくい」のだ。
どんなに強度があろうと詰んだだけのレンガで、丸太で移動可能=基礎工事をしていない壁の中に約20トンの液体を流し込んでみよう。何が起こるかはどんなお馬鹿さんでも解ると思う。

何より攻城戦で破城槌を使う対象は普通は門だよね。
出入りできない所で暮らしてる筈もないから、門が無い城はないし。

進撃の巨人 ねんどろいど 超大型巨人 & 進撃のプレイセット (ノンスケール ABS&PVC塗装済み可動フィギュア)
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ということで、オツムの足りないルーネル・ヨンソンがたてた作戦だと確実に失敗するので、ビッケとフラーケ族は皆殺しだな。

そして現代チートや、お粗末な自作アイディアの後はウルメにさとすように言ってもらえば

>「アイディアを盗用したってことになるな」


アカイア人もアイディア泥棒の作家に非難されるいわれはないだろうよ。

そして、作家として。
ゴルムと類されてはいる力持ちの筈が名前だけで何ら活躍しなかったブレーデ。
流石にわざとやってるんだろうと思ったが、ラスト近くで遂に行動をしてしまった。
こういう点でも、作家の表現としてすらもブレブレなんだよ。


最悪なのは後書きがまた上辺だけの偽善だけが伝わる。

敵で出てる悪党がこらしめられた後は幸せに暮らしましたってのを

>すばらしい点のひとつ


とか言ってるが、

スベルケルは殺人を繰り返していた事が書かれているし、その恨みへの復讐をビッケが恐れていた事も作中で書かれている。
ブルレットも幼少期から責任転嫁やワガママでの迷惑を周囲にずっとかけてきた人物と書かれている。
なのにソイツラが頭をぶつけたり、贈り物=贈賄した程度で幸せに暮らしましたってのは、
家族を殺された被害者側の事とかを完全に無視してる偽善だよね?!
(どんな人でも生死離別は別にして両親にあたる存在は居る訳だし。)

これを子供が読んだら「後で謝罪したフリでもすれば何やってもいい」って風に受け取る可能性については考えない大人はフラーケのバイキングよりもバカだと思う。

この本は児童書として明らかに不適切だ。

原作を程良く無視してるアニメ版の方を強くお勧めします。

小さなバイキング ビッケ DVD-BOX II
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悪役ブルレットがブルーレットってなっててトイレの芳香洗剤みたいになってるけどW

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2017年10月08日

「ビッケと弓矢の贈りもの」偽善と心根に潜む差別

ビッケと弓矢の贈りもの (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと弓矢の贈りもの (評論社の児童図書館・文学の部屋)

冒頭から違和感がひどい。

急に雲や風を擬人化したばかりでなく、ビッケと雲や風が会話しだして、
挙句がアザラシのヤルマルやフルダともビッケは言葉でコミュニケーションしてしまっている。だったら水上スキーしてた段ではなんでできなかったんだ?
普段から気象とコミュニケーションできるならば船の推進力を借りたり、荒れ海とも交渉できる事で事故を避けられそうなもんだが?

作者のオツムのレベルを超えた頭のいいキャラはできない訳だから、ビッケの知恵は全て他所からの借り物=パクリで、作者のルーネル・ヨンソンは論理思考能力もロクにないってのがあまりに明確になってしまっている。
塗り固めた嘘を紡ぐと必ず破たんするように出来てはいるし。
そもそもフィクションだけどこれは子供でもガッカリするレベルだろう。

イメージを自ら破壊してイメージチェンジしようとして大爆死する自称アーチストとか、自称クリエイターっているよなーと。
まあ気分で色々したいから月給を稼ぐ仕事でなく物書きとか絵描きやってるって人も多いだろうけど。
当時の外国ですら編集者というものが全く機能していない事も判る。
古今東西、肩書きに書いてある仕事すらもしないのなら本来は給料も要らないだろうって事だ。

ところが唐突にこの巻だけ幼児に媚びるかのような設定変更をしてたのに、それももう中盤には完全消失する。
元インカ人のビンカ人と設定されている人々は、フィクションとしての開き直りは妙な偏見への気遣いだかは判らないけど、

人か野獣か?!密林から来た凄い奴!
人か野獣か?!密林から来た凄い奴!

「ニュース版」ではスポーツ欄、新しい料理の家庭欄、言いたい事を載せる投書欄、おもしろい話が載る(コラムとかの事?)なんでも欄は人気なのに、酋長たちは所謂、政治欄が不人気なのが気がかりとか、これまた唐突に大人向けの皮肉を入れている。
だからトータル的な印象がバラバラだ。

子供に解りやすいメルヘン作品があっても当然構わないと思うし、
大人が読んでクスリと笑える深い童話があってもいいだろう。
でも、それを同じ作品、しかも読み進めて繋がってるのの中でやっちゃあダメだ。
やりたいなら別の本でやれ!って話で。


フラーケ族についてはゴルムが力持ちの上に大男で、チューレが嫌な奴ってキャラ立てはどんどん深まってきたが

>それにブレーデも!

とまで書いてありながら、作中ではほぼ何もしない空気キャラに名前って要るのか?W
P,147にはゴルムに比類する位の勇士らしいことが書かれていrけど、全く活躍せず、
ビッケのアイディアを聴いて面白がって地面にのびただけ…。
要るの?


一方でスベンの部下には綽名を含めて10人以上が名前を貰って戦った様子が個々にある。
そういう無意味な事に力を入れる事で印象付ける技法もゼロではないけれどもね。

そしてバイキングの名前と言えばレイフ・エリクソンが書いてあるわけだが、

エレール 1/60 レイフ エリクソン & ソルフィン カルルセフニ 帆船2艘 プラモデル FF0853
エレール 1/60 レイフ エリクソン & ソルフィン カルルセフニ 帆船2艘 プラモデル FF0853

後書きに翻訳者は

>アメリカ大陸を発見


とか書いちゃってる後に平然と

>おたがいによい影響をあたえあいます。これがほんとうの国際交流だとおもいませんか。


だの歯の浮くような綺麗事まで書いてやがる。

「元々、人が住んでいた所」を「発見」だの平気で書くような白人至上主義者が何言ってんだと!

偽善を塗り固めようとする心にもない嘘っぱちはこうやってボロが出るんだよ!

そして、評論社の編集も機能してないから、児童書としてそういう差別を平然と行ってる感覚で自然と差別主義者から出た言葉を掲載して印刷して金までとって売ってる状態な訳だろ。

異常な言葉に違和感を持たない差別主義者かどうかはTwitterだけでなく、書籍も普通に発見機として機能するってもんだ。

ビッケと弓矢の贈りもの (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと弓矢の贈りもの (評論社の児童図書館・文学の部屋)

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2017年10月04日

ビッケと空とぶバイキング船 

ビッケと空とぶバイキング船 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと空とぶバイキング船 (評論社の児童図書館・文学の部屋)

会話が多いと文字数少なくても行数は増えるからか、ページ数稼いでるんじゃねえの?って位にくどい所もこの巻は多い。

子供向けの平易な書き方にしてるのに、これだけくどくどしい感じがするのは、リフレイン技法というよりも下手くそかよって感じを受ける。


原作とアニメ作中のフラーケ族の比較だが、
原作側で力持ちとされているゴルムの役回りがアニメ版だと大きなファクセがしていた活躍にあたるような気もする。

TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第1弾 ビッケ/ウローブ/ファクセル (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)
TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第1弾 ビッケ/ウローブ/ファクセル (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)

アニメのゴルムは「かーんげきー!」って口癖のキャラだし。
原作のウルメは敵として出てくる王にたいしてゴマすりな詩を詠んでおだてる事などで活躍したりはしてる。

オーガニック TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第3弾
オーガニック TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第3弾

原作のチューレはビッケやハルバルの批判もするけど自分で代案を出せないタイプの人間として描かれているが、アニメ版ではチューレと仲が悪くてケンガばかりしているスノーレの方が滝口順平さんの声でチクチクと嫌味を言ってた印象もあるので、コレもキャラが逆転している感じがある。
原作のスノーレはビッケの親友でピンチを体力側で救ったりもしてる。

TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第2弾 チッチ/スノーレ/チューレ (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)
TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第2弾 チッチ/スノーレ/チューレ (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)

原作ではブレーデって名前のついてるフラーケ族が出てきてるけど、アニメにはレギュラーキャラでは存在しない。原作側も少なくともこの巻までの間では二言台詞があるあけで、ほぼモブ。

ビッケと空とぶバイキング船 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと空とぶバイキング船 (評論社の児童図書館・文学の部屋)

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2017年10月01日

ビッケと赤目のバイキング

ビッケと赤目のバイキング (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと赤目のバイキング (評論社の児童図書館・文学の部屋)

学研版の「小さなバイキング」は大昔に読んだんだけど

小さなバイキング (1967年) (少年少女・新しい世界の文学〈1〉)
小さなバイキング (1967年) (少年少女・新しい世界の文学〈1〉)

評論社が復刊したあと、全六巻で出したのがある事はしってたけど、読みそびれてたのをふとした機会で見つけて読んだ。

短い話を複数収録してる形式なんだけど、章の見出しによって、複数の章で一つの話だったり、1つの章だけだったりバラバラなのは原作がそうだから?
学研の方はそんなよみづらい構成や章立てでなかった気もするんだけど。

ページ数の関係でだかは知らないが、ラストに短い話をねじ込んでる構成だと、ラストが一番盛り上がらない小話って事になる。

でもまあ話や言い回しが面白いので、そんなには気にならないけど、一般的にはちょっと違和感がある構成だなと。
巻末に売れなかった読み切りだのをねじ込む事でページ数を稼いでる昔の少女漫画単行本とか思い出す。

素で笑ったのはハルバルの弟が鬼嫁にイビられてて、怒ってテーブルを叩こうとしたところを引っ込められて腕を折ってしまった後に、

>フラーケの女の人だったら、テーブルをひょっとどかすなんてことは、けっしてしないにちがいありません。

かのじょたちは、おこって、刃物を持ち出すかもしれないし、パンを焼くときに使う棒や、バーベキューに使う鉄のくしを使う事はあるかもしれません。


って、そっちのが刃傷沙汰だよ!WWW

原作読んでみて驚いたのがアニメOPテーマの「ビッケは小さなバイキング」の2番で、
スベンはいいけど、スベルケルって誰よ?って思いながら長年、カラオケで歌ってたのだが、

>ビッケは小さなバイキング 栗葉子/ザ・バイキング 歌詞情報 - うたまっぷ
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=T00438

この本で「ダブリンのスベルケル」ってのが出てきて「お前かよ!」って長年の謎が解けたW

ZUIYOアンソロジー
ZUIYOアンソロジー

それとハルバルのセリフに

お前が考えると、火花がとびちるところを見せてやるがいい


ってのがP.200書いてあって、原語ではどういう記述なのかは知らないが、アニメも実写もCG版も例の一頻花の下を人差し指でこすった後に「そうだ!」ってアレはこのことだなと。

多くの方々がそうであるように私もビッケをアニメから認知した訳だが、フラーケ族の面子は2巻目になったらボチボチ出てきてる感じだけど、アニメの印象が強すぎで逆に違和感がW

アニメ版だと滝口順平さんが声をあててたスノーレが原作では副官なのね。
チューレといつもいがみあってケンカしてるイメージしかなかったW

ウルメは此方でも詩人だけど。

一番印象が違うのがゴルム。
勇者のゴルムって書かれてるけど、イメージかわかない。
だって「かーんげきーーー!」って八代駿さんの声で言ってジャンプして足の裏同士をパチンと打つってあのリアクションの印象が強すぎる。実写映画版でもやってた位だし。

実写版や3DCG版ですら彼らは関修一さんがキャラクターデザインしたのを踏襲してる見た目で、行動もそう。

小さなバイキング ビッケ DVD-BOX1
小さなバイキング ビッケ DVD-BOX1

小さなバイキング ビッケ [DVD]
小さなバイキング ビッケ [DVD]



実写版は特殊メイク使ってまでアニメのキャラデザインに似せてるからね。

原作側の脇役たちは、名前はあるけど挿絵でも見た目の区別つかないもの!

ビッケと赤目のバイキング (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと赤目のバイキング (評論社の児童図書館・文学の部屋)

posted by wolf_howling at 22:51 | Comment(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月21日

アラビア物語〈4〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

アラビア物語〈4〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈4〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

既に同じ底本だかの既刊があるとはいえ、

>アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/453501901.html

アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

この本の殆どが「わがままな王と、それを諫める農夫や裁判官とかの話ばっかり」で、もう少しバラエティに富ませたピックアップをするって「編集」とかは機能しねえもんかねと。

全4巻で、何故か「みどりの文庫」と「ジュハーおじさんのお話」を互い違いに偶数奇数巻で出す意味が解らねえ上に、先をどうするって全く考えてないでやってるから似たような話ばっかりなんて採話になるんだろと。

しかも、この巻でも翻訳でなくて不自然極まりない創作改変をしてると思しい箇所だらけなので、猶更行き当たりばったりで底本に対しても失礼極まりない事をしてると思う。

しかも最終巻のラストの話が「猿の生肝」類話って・・・。

猿の生肝―土佐の昔話 (1976年)
猿の生肝―土佐の昔話 (1976年)

クラゲは出てこないので「くらげ骨なし」にはならないものの、亀の甲羅の話とか妙な改変してるせいで全然ないし。

まんが日本昔ばなし 「クラゲの骨なし」/「おさん狐」
まんが日本昔ばなし 「クラゲの骨なし」/「おさん狐」

多分に成立年代が3世紀と更に古いインドのパンチャタントラから、アラビアや日本に伝播したのだろう。

パンチャタントラ物語―古代インドの説話集
パンチャタントラ物語―古代インドの説話集

ともあれ、本来の目的は、この訳者と称する創作屋でなくて、天野喜孝の挿絵だった訳だけど、
89年で90年になる前位が、雑な絵も少なくて天野喜孝のイラストは一番良い時期だったんだなというのは判った。

これでこのシリーズを読む苦行も終わり!(苦笑)

天野喜孝名画ものがたり 眠れるレタス姫
天野喜孝名画ものがたり 眠れるレタス姫

posted by wolf_howling at 04:50 | Comment(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月18日

アラビア物語〈3〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)

アラビア物語〈3〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈3〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)

前巻レビューで

>アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/453501901.html

>区別するためのサブタイだろうに、サブタイが全く同じものなんて、この世に存在させていいのかよ!


って書いたが、これも1巻と同じサブタイじゃねえか。

>アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452961689.html

ソースを明示する意味なら、1巻おきに互い違いに別の原作にする意味も全くわかんねえし。
ホントに訳者と称する作者と編集者は碌に仕事してねえな。


「火打ち石は恋の魔術師」
なんだこのダサいラノベみたいなタイトル。センスねえ!

この話ってアンデルセンの「火うち箱」まんまで、実際アンデルセンの方がパクってるんだけど、

火打ち箱 (こんなアンデルセン知ってた?)
火打ち箱 (こんなアンデルセン知ってた?)

考えるにアラビア語の原本が存在しない事でアラビアンナイトに厳密には含まれない「アラジン」についても、元々はこの話が底本なのかもしれない。

アラジン ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
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「王子マンスールと孔雀の女王の物語」

「の物語」って要るか?センスねえ!

この話から想起したのは羽衣伝説と

羽衣・竹取の説話 (総研シンポジウム)
羽衣・竹取の説話 (総研シンポジウム)

「鶯長者」や「見るなの座敷」だ。

みるなのくら (日本傑作絵本シリーズ)
みるなのくら (日本傑作絵本シリーズ)

wikipediaには

>東日本に多く分布する話だが、あらすじには土地ごとに若干の差異がある。上記のものは越後地方で最も一般的な話であり、これが原型とされる


だの書いてあるが。

>見るなの座敷
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8B%E3%82%8B%E3%81%AA%E3%81%AE%E5%BA%A7%E6%95%B7

日本の謎と不思議大全 東日本編 (ものしりミニシリーズ)
日本の謎と不思議大全 東日本編 (ものしりミニシリーズ)

これは多分にアラブだか何処かの海外にあった話がシルクロード流入したんじゃねえの?
日本の国内だけで情報分析が完結するとでも思い込んでるんじゃねえの?

マンスールが魚や狐や鷲を助けて、恩返しで助けてもらうくだりはグリム童話の蜜蜂の女王を思い出す。

>ミツバチの女王
http://hukumusume.com/douwa/pc/world/09/13.htm

多分にこれも比較神話学でジョゼフ・キャンベルの主張する同時多発的なものではなく、多分に伝播したと考える方が自然だろう。

神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

何より、大国主と因幡の白兎や、スサノオに放火された際の鼠の「内はほらほら、外はすぶすぶ」とか、スサノオが寝てる間にスセリビメを連れ帰るくだりとか、魔人を酔わせて姫を救い出すくだりとか諸々がもうね。

ナムジ―大国主 (1) (中公文庫―コミック版)
ナムジ―大国主 (1) (中公文庫―コミック版)

「死の網」
これはひどい!

作中でこの訳者を名乗る改悪者はアラーアラーと書きまくりだが、一神教の筈なのに、
誕生の神バラフマー、その妻サビトリ、死の神ヤーマーが出てくる。

これってヒンドゥー教のブラフマー、サラスヴァティー、ヤマじゃねえか!

つまりはインド神話の話なのだ。それを無理やりにコーランだなんだって、誰の目から見ても破綻してる。

薄っぺらい上辺だけの矛盾しまくりの文章で誤魔化せるとでも思ったか?

あまりにもあさはか!!!

インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)
インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)

posted by wolf_howling at 02:01 | Comment(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月16日

アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

日本で言う一休や彦一とか吉四六みたいな頓智話っぽい要素も少しある感じ。

一休さん (寺村輝夫のとんち話 1)
一休さん (寺村輝夫のとんち話 1)

彦一とんちばなし(上) (偕成社文庫2040)
彦一とんちばなし(上) (偕成社文庫2040)

吉四六さん (寺村輝夫のとんち話)
吉四六さん (寺村輝夫のとんち話)

だけど、例によって訳者と名乗る人の改変が酷い気がする。

「金のガチョウ」という話は頓智に加えて、説話集の要素もあり、その中の一つに海の中の精霊たちが暮らす宮殿で女王と楽しい時を過ごすが、陸に帰りたくなって・・・という、言うまでもなく浦島そっくりな話がある。

海の声
海の声

「はじめに」の項目で「ジュハーおじさんは7世紀の人物」と説明直後に「ジュハーおじさんが急行列車に乗った時の話」を事例にして現代含め時代ごとの話が混じっていると説明がされているが、
これは日本書紀の浦嶋子の話がアラビアまで伝わったのだろうか?
それとも日本書紀は720年、つまり8世紀の初めに成立したものなので、7世紀中頃のイラクのクーファから、シルクロードを経て既に日本に伝わっていたのだろうか?
(他所の場所を開始点とした古い話で、日本とイラクにそれぞれ似たような時期に伝わったものなのかもしれないが。)

日本書紀〈1〉 (岩波文庫)
日本書紀〈1〉 (岩波文庫)

「ファルークのろば」という話が如何にもとってつけな改変っぽいラスト。
笑いを誘う為の粗忽話なのに、唐突に神罰とか馬鹿じゃねえの?
だったら、再犯する前に事前に対処する能力もない無能な神様って話になるだろ。
論理思考能力が備わっていれば子供にも判る。
つまりに、子供向けの本としながら、訳者と称する作者と編集者の論理思考能力は、普通の子供にも劣るんじゃねえの?

「ハウハウ物語」
これ昔も今も裁判が関わってキチガイなら無罪みたいな対応自体が愚かだって証拠だよなー。
作中のジュハー曰く、キチガイのふりして借金を逃れようとしてる奴より、それを吹き込んだお前が悪い!って指摘。
統合失調症のフリしろとか吹き込んで、責任能力がないだの主張する弁護方法とか、ホント糞すぎる。
そういう汚い罪状逃れを使用とする奴も一緒に、この説話みたいに残りの人生をずっと犬扱いで構わねえと思う。

ただ、この話のオチも改変されてる可能性が強い気もするけどな。


「マラードカは半人前」
多分にアラジンの話の成立以降にパロディとして書かれたものだろう。

アラジン ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
アラジン ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

笑い話としてもそれなりに描写が面白い。落語みたい。
ただ、自称訳者の雑さや自称編集者が仕事してなさが細々と見えてイラつく。
貧しい主人公が光源としてランプを使ってる描写をした次のページで光源が蝋燭になっている。
記憶力どうのってレベルじゃなく、現に書いてあるページの隣に文字となってる形で、全く一貫性がない事に普通の感覚があれば気づくというか、違和感あってアタリマエなレベル。

そして、作者も編集者もサボりすぎだろと思うのは、全4巻のこのシリーズの4冊目のサブタイも「ジュハーおじさんのお話」なのだ。
区別するためのサブタイだろうに、サブタイが全く同じものなんて、この世に存在させていいのかよ!

アラビア物語〈4〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈4〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

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2017年08月25日

アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)



1984年のムフシン・マフディーの研究で明確にされたが
アラジンと魔法のランプ、
シンドバッドの冒険、
アリババと40人の盗賊、
空飛ぶ絨毯、
などはアラビア語写本が存在しない。
つまりは原本のアラビアンナイトには含まれていない。
フランス人のガランが千夜一夜物語=1001話に無理やりするために、別の話を無理やり混ぜたものというのが現在の専門家の通説だ。

The Thousand and One Nights
Posted with Amakuri
Muhsin Mahdi
Brill Academic Pub


だが川真田純子が講談社 青い鳥文庫で「アラビアンナイト」と称していたものを出しだしたのが1987年。



事前に準備をしている期間もあっただろうから引っ込みがつかないからか、そのあと死ぬ前年の1992年まで7冊をアラビアンナイトと称して出してた。



とはいえ、アラビア語も数語しか知らない俺でも、それは変だろうと思うわけだから、
そのまま何でもかんでも混ぜて出すのはマズイって事は「専門家」なら普通は思うはず。

だからか知らないが、この本はアラビア物語と称して1989年に出していて、ソースも「みどりの文庫」という「アラビアンナイトは別の物語集」とソース明示をしている。

「髪の木」はしゃべる鳥に呪われて長い金髪が抜けだし、そよ風が吹くのにも怯える事になる女王の呪いをとく話。その描写からして、やはり「翻訳」ではなく川真田純子の「脚色」が非常に強い感じが解る。

「知恵の糸」に関しては翻訳者の論理思考能力が問われる位に酷いお粗末で、理屈が通っていない。
この翻訳版と称しているものだとスカラベに細い糸、アリに絹糸をそれぞれ結び付けている。
が、そうしたら2本の糸が塔の上部に到達する流れだけど、別に絹糸→木綿糸→ロープって切り替えて引っ張り上げるだけだったら絹糸1本が最上部までゴールすればいいだけだよな?
スカラベから糸を受け取ったって書いてあるが、アリの方に下から結ばせた糸には何の意味が?そして何処に消えちゃってんの?と。
これ訳者がまったくパズル的な思考ができてないで出鱈目に訳して子供に読ませる本にしてるし、挙句は編集者も明らかに変な事に気づかずに放置して販売してるって誰もマトモに仕事していないな。

知恵がない誰かさん達に代わってトリックを解き明かすに、
多分に準備したのは
・蜜を塗ったスカラベ、
・絹糸を結んだアリ、
・絹糸に結ぶ木綿糸、
・木綿糸に結ぶロープ
だろう。

蜜を塗ったスカラベは下からアリに追い立てられるので上へ上る。
絹糸を結んだアリは蜜(とスカラベ)を追いかけて上へ上る。
後は絹糸→木綿糸→ロープの順に手繰ればロープを塔の最上部に到達させられるってトリックだろ。
だから

・アリが絹糸を運んでくるならスカラベには糸を結ぶ必要はない。
・アリに追われたスカラベに糸を引かせるのならアリに結ぶ必要はない。


という事に普通のオツムがあれば気づくだろ。

多分に「小さくて力の強いアリに運ばせる案」の方が元の童話なのだろうが、
この訳者と名乗る作者は、到達したのがスカラベの方が見栄えがすると思ったのだろう。
かくてこの話だと糸は2本しか準備させてないのに、何故かそれぞれ2本とも塔の上に運ばせてしまっている。
意味ねえ!
ばっかじゃねえの?

ちゃんとした読解力があって正しい内容を把握できる翻訳能力がないのではないだろうか?
もしくは例え小さな子供でも論理思考能力さえあれは「内容がおかしい」事に気づくのに、原稿にして活字にして印刷して店頭に並べ販売してたわけだ。
そんなのを子供に読ませるだって?
何考えてんだ講談社?何も考えてないとしか思えない。


この頃の天野喜孝の挿絵は美しくカッコイイのや、綺麗で丁寧な作品や、可愛らしいタッチのバリエーションもあって良いだけに、非常に勿体ない。


「レモン娘」は、なりすましの話なんだけど、これ多分、川真田純子がラストは改変してんじゃねえのかな?
というのも魔法でこの見た目にされたといって姫と入れ替わった女が嘘を言ったものを「焼き殺せ」と言って「お前自身がそうなるのだ」って言われる下りの意味が通らない。
というのもイスラム教では火葬されただけで地獄行きとなる教えがあるので遺体は保存する。
なのでイスラム圏で「火刑」にしたとすれば死刑の中でも非常に重い罰し方なのが俺は判る。
なのに、この本の冒頭にコーランについてどうのまでかいておいて、そこをぼやかした挙句、助命までしてしまっている。

なりすましと厳罰での死罪というと簡単に想起できるのがグリム童話だ。



中でも「ガチョウ番の娘リーゼル」の内容が似ている。
王女になりすました侍女は自らが提案した罰で処刑される。

>がちょう番の女
https://www.grimmstories.com/ja/grimm_dowa/ga_choban_no_onna
>すっ裸に服をはぎ、中にとがった釘をうちこんだ樽にいれ、その樽を2頭の馬につなぎ、死ぬまで、あちこちの通りを引きずりまわす


これを子供向けの編集とみるか、宗教観についてわざわざ説明した挙句での身勝手な改ざんとするかってのはあるが、唐突過ぎて子供が読んでも違和感あるだろ。
むしろカタルシスもねえし、グリム童話の側程には日本人の子供達にとってもエグくはねえだろ。

グリム童話といえば、この本に収録されているのに似てるのが他にもある。

「グールの毛」という話がグリム童話の「金の毛が3本生えた鬼」や「怪鳥グライフ」だ。

>金の毛が3本生えた鬼
https://www.grimmstories.com/ja/grimm_dowa/kin_no_ke_ga_oni



>怪鳥グライフ
http://www.ab.auone-net.jp/~grimms/grimm125/griffin.html

怪鳥グライフの方は明らかに本来2つ以上あった話をくっつけたであろう、小人は何処行っちゃったの?って展開なのと、怪鳥グライフ=グリフォン、グリフィンの奥さんが人間(もしくは魔女?)なのは違和感ありまくりなので、多分にドイツに話が持ち込まれた際に人食い鬼のオーガや巨人をドイツ人にとってもっとインパクトがあるモンスターであるグライフに伝承されるうちに変化させたのだろう。
アラビアのグールの側は後だったか先だったかはもっと数多くの類話を集めて比較してみないと解らないが、D&Dなどではアンデッドとされているもののグールは元々のアラビアの伝承では変身が行える魔物で人に化けて人を襲って食べたりするものではあるものの「金髪」ってのを強調してある所に違和感がある。

ダンジョンズ&ドラゴンズ モンスター・マニュアル第4版 (ダンジョンズ&ドラゴンズ基本ルールブック)
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マイク ミアルス, スティーヴン シューバート, ジェームズ ワイアット
ホビージャパン


アラブ人は白人の奴隷も使っていたし、中には金髪の人もいただろう。
とはいえ、幾ら変身可能な化物であるグールにせよ、金髪グールにはやはり違和感があるので、
多分にヨーロッパの何処かにオーガを元にした話側が先にあって、それがドイツに入ってグライフになり、アラビアではグールとされたのではなかろうか?


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2017年08月17日

アラビアンナイト〈7〉 (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈7〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈7〉 (講談社 青い鳥文庫)


「ソロモンのつぼ」
「ライオンと大工の話」
「ペテン師の話」短編3話
「二人の男」
「カマル=ザマーン王子とブドゥル姫」
「バグダッドの幽霊屋敷」


「ソロモンのつぼ」はセンスオブワンダーな冒険旅行譚で良い!
この話の挿絵は天野喜孝が色々なタッチを試そうとしてる感じがある。

しかし、もうこの後は扉からして酷い!

「二人の男」の絵は多分に、やや先に描いたであろう線数だけど、後は筆での描き殴りみたいな酷さ!

作品って描いて金貰ってでオシマイって感覚に数こなしてればなるだろうけど、今日日なら紙だけで管理してた時代と違って風化しないでこのクオリティのものが永劫にのこるからな!

というか、シリーズ終了の最終巻で「やる気でねえ」みたいな事もあったかもしれないけど、それにしても酷い。

この本がでたのが92年で、訳者っていいながら脚色だらけの内容書いてた人が93年に死んでるんでこれで、このシリーズはしまい。

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062854238
>1948〜1993年

2002年以降の上下巻はピックアップして纏めなおしただけのものだし。
しかもこれまで何度も書いたが
アリババも、アラジンも、シンドバッドも
アラビアンナイトじゃねえだろって。


講談社、全く編集って機能してねえな。

アラジンと魔法のランプほか―新編アラビアンナイト〈上〉 (講談社青い鳥文庫)
アラジンと魔法のランプほか―新編アラビアンナイト〈上〉 (講談社青い鳥文庫)

新編アラビアンナイト〈下〉船乗りシンドバードの冒険ほか (講談社青い鳥文庫)
新編アラビアンナイト〈下〉船乗りシンドバードの冒険ほか (講談社青い鳥文庫)

そも作者の書き方が変なのは「カマル=ザマーン王子とブドゥル姫」って話でも判るし、編集者が仕事をしてないのも判る。

節のタイトルに「魔女神」って言葉使ってるし。
魔女や女神って言葉はあるけど「魔女神」なんて言葉は無いし、
魔神ジンの女性系ジンニヤーやジーニーなら「女魔神」だろ!
そういう方の常識もないし。



だけど、この最終巻を出して亡くなられる前に「みどりの文庫 アラビア物語」という全4冊書いてるので、続きとしてそっち読むかと。

アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)

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2017年08月09日

アラビアンナイト〈6〉 (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈6〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈6〉 (講談社 青い鳥文庫)

「アリ=ババの物語」
「ザイムと魔神の王の物語」
「三姉妹の物語」
の3話。

アラビアンナイト、千夜一夜物語とされる「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」には

・アリババと40人の盗賊
・シンドバッドの冒険
・アラジンと魔法のランプ
・空飛ぶ絨毯

などは入っていなかった事は先に何度も書いた通り。

>アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452474695.html

なのにブリタニカ国際大百科事典とやらには、いけしゃあしゃあとアリババ、アラジンが記されている上に、

https://kotobank.jp/word/%E5%8D%83%E4%B8%80%E5%A4%9C%E7%89%A9%E8%AA%9E-88988

アリババについては

https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%90%E3%81%A840%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%9B%97%E8%B3%8A-28072

>D.B.マクドナルドは,オックスフォード大学のボドリー図書館のアラビア語写本目録を検討中,この物語のアラビア語原典があることに気づき,イギリスの王立アジア協会雑誌でこれを公表 (1910) した。


とあるが、ムフシン・マフディーの研究では、これはフランス人の東洋学者が書いたアラビア語だと筆跡鑑定結果で分かった。

つまりは、フランス人のガランが書いたアラビアンナイトから、フランス人がアラビア語に訳して書いたものなので、アラビアンナイトに含まれないどころか、原典が何かという写本すら実存しない話だ。

必携アラビアン・ナイト―物語の迷宮へ
必携アラビアン・ナイト―物語の迷宮へ

千夜一夜物語と中東文化―前嶋信次著作選〈1〉 (東洋文庫)
千夜一夜物語と中東文化―前嶋信次著作選〈1〉 (東洋文庫)

そのせいか、この脚色の強い本でも話にブレはほぼなかった。

油壺の数を40ー2してあったり、盗賊の首領の分もちゃんとカウントして合計37になってるとか細かい帳尻合わせはしてあるのを感じたけど。


「ザイムと魔神の王の物語」
如何にも、この文化圏の極端な話。「約束を守ろう」はいいけど、女の人を犠牲にしても仕方ないって、文明社会ではアリエナイ感覚が・・・。だから連中はいまだに女性差別を続けて世界中から顰蹙買ってるんだろうなと。

「三姉妹の物語」
これは相当にツギハギ感がある。それとタイトルだけど三姉妹が出てくるのは最初と最後だけで、
ペローやグリム童話にもよくある三兄弟の末っ子もの(この話だと妹だけど)。
しかも宝の「話す鳥」「歌う木」「金色の水」を手に入れる時に振り向いたらダメってのは、お馴染みギリシャ神話のオルフェウスや、古事記のイザナギとイザナミの黄泉の話だし。

一冊でまるごとわかるギリシア神話 (だいわ文庫)
一冊でまるごとわかるギリシア神話 (だいわ文庫)

絵本古事記 よみがえり──イザナギとイザナミ
絵本古事記 よみがえり──イザナギとイザナミ

これ、無理やりに「3」って数を合わせる為に色々やってる感じがする。
鳥がいれば事件解決してるもの。
多分に最初はそういう話だったのを、盛りまくった結果がコレなんだろうなと。



さて、この本では3つしか無いので話についてはこの程度だが、
重大なのは天野喜孝の表紙以外のイラストが、筆で雑に描かれたものになってしまっている事。

ヘタウマなんてものもあったけど、湯村輝彦や蛭子能収の絵は、ただの「雑な絵」だろ。

ヘタウマな愛 (新潮文庫)
ヘタウマな愛 (新潮文庫)

天野喜孝が様々なタッチの絵が描けるって事は知ってるし、当人も特定の画風に縛られたくないって人なのも知ってる。

にしたって、子供が読む本でこんな抽象画モドキの雑な絵で挿絵でございってのはないわー。

講談社は何で事前に確認するか、ボツだって差戻ししないのか。
編集者が肩書きだけで仕事をしてないから!

湯村輝彦の本だってAmazonで検索したら、みんな古本はゴミみたいな価格になってる。

一過性のブームで売った物なんて文化として定着せずにそんなザマだわなー。

なりたがりやのくも (ele-king books)
なりたがりやのくも (ele-king books)

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2017年08月06日

アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)

「アラジンと魔法のランプ」
「船乗りシンドバードの物語」
短編「三つのリンゴ」

を収録。

これまでのエントリでも書いてきたが

>アラビアンナイト <4> ― 空飛ぶ馬ほか (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452401836.html

・シンドバッドの冒険
・アラジンと魔法のランプ
・アリババと40人の盗賊
・空飛ぶ絨毯

これらは全てアラビアンナイトではなく、元々は別の話だ。アラビア語の写本すら実存しない。


って事で、

アラビア語刊本の

・フランス人がフランス語で書いたガラン写本をベースにアラビア語にしたカルカッタ第一版

・イギリス人が英語で書いたマカン写本をベースにアラビア語にしたカルカッタ第二版

ってのが、このシリーズの底本っぽいんだけど、

ヘンリー・リーヴのレビューで「ガランは子ども部屋に」と言われた一方で、ガラン版の内容とは違う気がする。

すると、現存しない寄せ集め本のマカン写本を元に書かれたカルカッタ第二版側がベースなのかな?

と思ったのだが、カルカッタ第二版には「アラジンと魔法のランプ」「アリババと40人の盗賊」は含まれていない!

東洋文庫のでは「アラジンと魔法のランプ」「アリババと40人の盗賊」はわざわざ「別巻」としている位に本来は含まれない。

アラビアン・ナイト (別巻) (ワイド版東洋文庫 (443))
アラビアン・ナイト (別巻) (ワイド版東洋文庫 (443))

となるとこれ、様々な演出の加筆改変含めて、川真田純子って人がごちゃまぜの二次創作やってるって内容だな。
真面目に分析しようとして損した。

訳としながら妙なアラビア語への中途半端な拘りだかでの表記ゆれも煩わしいので、講談社の編集が例によって機能してないのも判る。
ある時にはヒンジャルって書いて、ある所では剣って書いてる。

で、その「ヒンジャル」について検索しても、日本語では1件しか出てこない。

>小麦粉をこねにきませんか?アゼルバイジャン 冬のパン・麺教室
http://www.nikikitchen.com/reservation/class.php?class_id=3670

>ヒンジャルという麺料理

>この麺料理は非常に薄いパン生地で作られている為「ヒンジャル」を「薄いパン」と訳されることがあります。


綴りとしては「KHINGAL」で「ヒンガル」とも書いてあるな。

アゼルバイジャン語はアルタイ系テュルク語群でトルコ語などの仲間だからアラビア語じゃないけど。

なので思いつく武器名や英語ベースで検索してみた。
シミター、シャムシール、カトラス、ファルシオン、ファルカタよりは短いものを指すのかもしれないけど。

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あー、ジャンビアの仲間で「Khanjar」ってのがある。これか。
https://en.wikipedia.org/wiki/Khanjar

下の画像のやたら曲がってる奴ね。

The Illustrated Directory of Knives, Daggers & Bayonets: A Visual Encyclopedia of Edged Weapons from Around the World, Including Knives, Daggers, Bayonets, Machetes and Khanjars, With over 530 Photographs
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とか、色々とめんどくさい裏もとってはみてるが、そもそもだけど

ソース明示しない翻訳なんて存在するの?

もし訳文の元が存在しないものを「訳」って銘打つのは虚偽にあたるんじゃねえの?



さて、ということで、気になった差分などをレビュー。

流石に有名な話なのでネタバレは構わないよね?

アラジンには様々なバリエーションがある。

短いのはランプを手に入れて毛ね持ちになったで終わり。

ガラン版はそれに近い。のだが、違和感がある点が2つ。

アラジンにランプを拾ってこいと言う魔法使いはアラジンを閉じ込めてそのまま帰っていしまうバージョンがある。
アラジンって長安に住む中国人で、アフリカのモロッコからわざわざ中国に来て、怒って帰るってのはあまりに違和感凄いよなー(苦笑)

それと、閉じ込められたアラジンがどうやって脱出するのかだが、ディズニーなどはランプのジーニーが助けてくれる。

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だが、多くの場合は指輪の精霊が先ずはアラジンを助けてくれるのだ。
しかも、この指輪は魔法使いが渡していた指輪で、更には使い方の説明もしないのにとりあえず渡しているという非論理の演出つき。
そしてわざわざ魔法的な脱出手段を与えておいて、何故かアフリカまで怒って帰ってしまう。
ガラン版のこの展開は子供にしても「バカだろ」って思う筈。

アラビアンもそう思った人は多かったのだろう。
これはわざわざアフリカまで帰った後に魔法使いが中国まで戻ってきてランプを手に入れようとする悪役らしい展開になる。

挙句に、ヴィラン魔法使いの兄貴までが登場して弟の仇を討とうとするW
昔から続編とか求められてgdgdになるんだなーと。

唯一「へー!」だったのは、ランプの魔人がアラジンに逆らった唯一の理由が
「大理石の白いチェス盤を魔人達が神聖視してて、それを持ち出した者は魔力を失う」
ってので、これを遂行しろと言われたらランプの主人を殺して城に火を放つとかまで言ってる。

魔法で様々な望みを叶えられる程のジン達が、チェス盤を恐れるのは「賢さの象徴」だからではなかろうか?
本当の知恵比べには魔力は通用しないって事とか。


シンドバッドの7つの航海だが、これはやたらと目的地や地理が明確な気がした。

1度目 バグダッド → バスラ
2度目 バグダッド → チグリス川 → ペルシャ湾 → インド
3度目 バグダッド → バスラ → ペルシャの端
4度目 バグダッド → バスラ → ペルシャ湾
5度目 バグダッド → バスラ
6度目 バグダッド → バスラ → ペルシャ湾 → インド
7度目 バグダッド → バスラ → イエメン → シン → プーシル

バリエーションとしては砂漠をラクダのキャラバンで行くってのも

人食い巨人はサイクロプスじゃなかった。
多分に黒人の大男的な描写が誇張されて、手のひらに人やカモシカを乗せて確認後に、床に叩きつけて殺して、串焼きにするってのにまでなったんだろうと思う。

あと、夫婦の片方が死んだら生きてる方も埋葬される話で、シンドバッドは生き残るために新たに地下に降ろされてきた人を殺して、お供えを奪ってた話もガランには書かれているんだけど、この本は多分に自称翻訳者の脚色で降ろされた女性がショック死みたいな不自然極まりないオブラートでの強引な隠蔽がある。


3つ目の話はハールーン・アル・ラシードはこれまでの巻にも何話か出てるけど、
他の話では有能な大臣ジャアファル・アル・バルマキーと、マスルール(護衛件、首切り役人)が出てくる話。
千夜一夜物語の中ではこの面子は割と何度も出てくるお馴染みメンバーなんだけどね。
でもまあ、この話のオチも酷いし、シリーズのラストはなー・・・。

そして、天野喜孝が描いてる絵の画風がそろそろ、雑に好き勝手やって荒れてる感じになってきてる。
91年かー。

俺が天野喜孝の絵はいいなあと思えてた時期って実際は80年代から90年にかけての割と短い間だけだったんだなあと。

グイン・サーガ外伝6 ヴァラキアの少年
グイン・サーガ外伝6 ヴァラキアの少年

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2017年08月04日

アラビアンナイト〈4〉 ― 空飛ぶ馬ほか (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト 4―空飛ぶ馬ほか (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト 4―空飛ぶ馬ほか (講談社 青い鳥文庫)

2巻目を読んだ時に早々に腑に落ちない感じがしていたが、

>アラビアンナイト〈2〉まだ知らないふしぎな国へ (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452210848.html

>訳者が何を底本にしたのかってこと。


については、この巻でやや判明。

冒頭の話が「空飛ぶ馬」つまりは有名な「空飛ぶ木馬」。
だから、これは厳密にはアラビアンナイト、千夜一夜物語ではない事が判った。

空飛ぶ木馬 (アラビアン・ナイト)
空飛ぶ木馬 (アラビアン・ナイト)

空飛ぶ木馬は元々「中国の話」だ。
http://hukumusume.com/douwa/pc/world/08/10.htm

そして相当な改悪がされているのでキャラクターやそれらが性格からとっているであろう行動への違和感があまりに酷い。
様々な国王が姫の面倒をみたのに王子が恩を仇で返す形で大口叩いた後に攫う事の繰り返しだし、
馬を発明した職人の扱いは酷すぎる。むしろ責められる対象は王子一人じゃねえか。
この点、訳者が妙に子供向けにぼかそうとして弄り回した結果、支離滅裂になっている感じも強い。

さて、そもそも。

千夜一夜物語はそもそも千話分は無かった。


「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」=アラビア語での千一夜は、お江戸八百八町とか、白髪三千丈と同じで「いっぱい」って事の「誇張表現」だ。

それをフランス人のアントワーヌ・ガランが直訳した挙句、アラビア語には写本が存在しない話が無理やり混ぜられた。

・シンドバッドの冒険、
・アラジンと魔法のランプ、
・アリババと40人の盗賊、
・空飛ぶ絨毯、

これらは全て元々は別の話だ。アラビア語の写本すら実存しない。

酷いものにはアリババ写本と言いながら偽写本だったり、そもそも写本自体が存在しないものまである。

つまりは多分にこの講談社の青い鳥文庫曰くのアラビアンナイトはガラン版か、元々関係ない話を含めて最も収録数が多いバートン版などがベースであろうと思われる。
ところがガラン版はフランス語で書かれており、バートン版は英語だ。

この訳者は
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062854238

>メキシコ大学でスペイン語を専攻ののち、1972年より京都外国語大学アラビア語科、田中四郎教授の研究室に学ぶ。その間、アラブの人々の生活・風俗習慣についてのエッセーを多数発表。


この方、「研究室に学ぶ」とだけあるから院卒どころか履修してるかすらもこれでは学位が明確じゃないから判らない。

もしアラビア語から訳したと想定すると、多分にアラビア語刊本としては

・ガラン写本をベースにしたカルカッタ第一版
(フランス人がフランス語で書いたものをアラビア語にした)

・バートンが本を出した後にマカン写本をベースにしたとされるカルカッタ第二版
(イギリス人が英語で書いたものをアラビア語にした)

の、どちらかではなかろうか。
にしても、写本と称したものの寄せ集めをヨーロッパ人が作って、それをアラビア語に戻したら、往復の二重翻訳な上に、それを更に日本語に訳したとしたら、もう原型なさすぎじゃねえのかと。
しかもマカン写本は現存すらしないって酷さなんだけど。

この点、岩波の方はガランのフランス版が底本って事は書いてはある。講談社、これでいいのか?

>アラビアン・ナイト ディクソン編 岩波少年文庫(上)
http://read.seesaa.net/article/450286476.html

調べてみたら、この訳者と天野喜孝のイラストで「アラビア物語」ってのが出てるなー。

アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)

「アラビア物語」ってのは88年刊行で、
ムフシン・マフディーがガラン写本の研究をしてガランが続編を勝手につぎ足す前の写本を訳したのが1984年だから、流石にやべえと思って「アラビアンナイト」って名称は外したのかな?
でも、アラビアンナイトのシリーズの方も、この4巻は88年刊行で、しかも7巻まで続いてて92年まで出されてるってのがなんなんだかねえ。

アラビアンナイト〈7〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈7〉 (講談社 青い鳥文庫)


という事で、子供向けとされている本だからこそ、ちゃんとしとけ!って話はこれ位にしてレビューへ。

「漁師と魔神の物語」
「ロバの知恵」
「空飛ぶ馬」
「アブダッラーと托鉢僧」
「キツネとオオカミ」
「くつ屋のアキーフの話」

の6編。

イソップ童話風の動物説話ですら、その中に複数の話を押し込むとか、どんだけ無理な継ぎ足し編集をしてたんだ昔のアラブ人って感じは毎度する。

イソップ寓話集 (岩波文庫)
イソップ寓話集 (岩波文庫)

やや長めの「漁師と魔神の物語」は、お馴染みの壺の魔人の話で終わるかと思いきや、まあ引っ張る引っ張るW

そして「くつ屋のアキーフの話」はこれも切り貼りしてツギハギをあてた感はするものの、逆に妙な超展開をみせている感じで、これは逆に感心した。

そういえばアラジンに出てくる魔人はランプの方が有名だけど、

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原典側では指輪の魔人の方が圧倒的に多い。

逆に壺から何度も出入りする魔人は公式側には居ない。

でも、日本人だとハクション大魔王のせいで魔人は壺の中からーって感じもあったりする?W

ハクション大魔王 ブルーレイBOX<8枚組> [Blu-ray]
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2017年07月30日

アラビアンナイト〈3〉―シャマルダルの宝ほか (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈3〉―シャマルダルの宝ほか (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈3〉―シャマルダルの宝ほか (講談社 青い鳥文庫)

「シャマルダルの宝」
「アブー・ハサンのおなら」
「アブー・ムハンマドの話」
「魔法の泉」
「うそつきブハイト」
「陸のアブダッラーと海のアブダッラー」

の6話。

前巻の

>アラビアンナイト〈2〉まだ知らないふしぎな国へ (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452210848.html

でイスラム教とはーとか、あとがきに説明してたのに

「ユダヤ人に化けてはいるが、イスラム教徒」なんてあんまりなデタラメ表記まである。
これ子供向けなら猶更、そんな滅茶苦茶な記載は許すべきじゃないと思うんだけど?

読んでて、なんか訳者のセンスが色々とズレてる感じがする。

何しろ88年の書籍なのに、訳者紹介の最後に現住所とか記載してあるし。何が目的なんだろう?

今では信じられないだろうけど、50年位前の雑誌とかはタレントの実名に加えて住所や実家を平然と記載してたり、
漫画家のファンレターの送り先としても、モロに住所記載してるから、そこに子供がおしかけるみたいな事が普通にあった。当時のマスゴミは個人情報やプライバシーなんて感覚がゼロだと解る。

にしたって88年には流石にそんなことしてる書籍は普通は無いし。
おくづけに出版社住所が書いてあるから作者のを記載する必要は皆無。
カマッテチャン?

「シャマルダルの宝」と「アブー・ムハンマドの話」は如何にもつけたしつけたしした話って感じ。

「魔法の泉」は王子が泉の水を飲んで性別が変わってしまう呪的泉の話。別の水飲んで元に戻るから、高橋留美子は元の話を何処か別ので読んでたとか?らんま1/2は87年からの連載だし。

らんま1/2 1 (少年サンデーコミックススペシャル)
らんま1/2 1 (少年サンデーコミックススペシャル)

「陸のアブダッラーと海のアブダッラー」は人魚や海中の生活が出てきてファンタジー的になかなか。

中でもダンダーンという巨大な魚の肝油を体に塗ると、人間が水中呼吸できるようになるってのは、
D&Dマジックアイテムのウォーターブリージングポーションのアイディアはここからだったのかと気づいた。

冒険者の宝物庫 ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 サプリメント
冒険者の宝物庫 ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 サプリメント

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2017年07月28日

アラビアンナイト〈2〉まだ知らないふしぎな国へ (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト―まだ知らないふしぎな国へ〈2〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト―まだ知らないふしぎな国へ〈2〉 (講談社 青い鳥文庫)

「バグダッドの漁師」
「ハーシブとクジャクの王子」
「秘密のとびら」
「ガラスのゆめ」
「イヌになった兄弟」

の5話。後書きはイスラム教について。

読んでて気になるのは、これ川真田純子って訳者が何を底本にしたのかってこと。

1987年の本なので1984年のマフディー版が底本になってる可能性も時系列的にはあるけど、

The Thousand and One Nights - Alf Layla Wa-layla, 2 Vols.: The Classic Edition by Muhsin S. Mahdi (1984-1994) With a New Introduction by Aboubakr Chranbi
The Thousand and One Nights - Alf Layla Wa-layla, 2 Vols.: The Classic Edition by Muhsin S. Mahdi (1984-1994) With a New Introduction by Aboubakr Chranbi

訳者が真アラビアン・ナイトってのを81年に出してるので、それを文庫化してる流れならマフディー版ではない。

真アラビアン・ナイト (1)
真アラビアン・ナイト (1)

てーとアラビア語刊本がベースならカルカッタ版もしくは他の写本なのかなー?
子供向けってだけでなく相当に脚色してあるから解り難い。
しかも、訳者は1993年に亡くなってるし。
アラビア語とスペイン語を学んだ人って事で、英語や仏語版からの翻訳とも思いづらい。
子供向けって事だとガラン版が多いと思うんだけど、あれはフランス語翻訳版なんだよね。
しかも

・アラジンと魔法のランプ、
・シンドバッドの冒険、
・アリババと40人の盗賊、
・空飛ぶ絨毯、


はガラン版には収録されているけど、
元々は「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」じゃない!
なので、それらが続刊の中で出てきたら、アラビア語の専門家と言いながら、何故かフランス語のガラン版つかってんじゃねえか!って判読ができる。
脚色があまりにつよいし、色んな違和感があるんだよなー。

ただ通貨単位のディナールやディルハムとか地名もバスラ、クーハ、カルフなど他の子供むけ版より詳しい。
それと、イスラム教の説話っぽい面が他よりも強い感じが比較的にする。

今昔物語が仏教説話として利用されたのと同じで、解りやすく伝える用途のエンタメでもあったんだろうけど、後書き含め、それを伝えたかったのだろうか?

今昔物語(上)―マンガ日本の古典 (8) 中公文庫
今昔物語(上)―マンガ日本の古典 (8) 中公文庫

あと、ピックアップや大幅なアレンジ脚色があるのなら、もう少しって感じもしなくもない。

「イヌになった兄弟」って話は1巻目の「商人と魔人の物語」の一部とも似ているので、

>アラビアンナイト〈1〉―王子と魔法の物語ほか (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452071133.html

実際には千夜一夜物語は千話はないものの古典ですらネタギレ、ネタカブリな上に、割と何度も何度も引っ張った形跡が見れる話。

そもそもが多くの人々に語り継がれた=ソーシャルフィルタリングとキュレーションを口伝の中で繰り返し、密度が濃くなって生き残ったものを収録してあるのだろうけど、パクリはされまくってただろうからねえ。

物語や連載ってのは長いから有難い訳でもなんでもなくて、巧妙な構成とキリのいいエンデイングの方が重要だと判る。

まあそれを言ったらアラビアンナイトの物語のエンデイングは割とめでたしめでたしではなくて、煮え切らない感じの終わり方の方が多い。それも元々がそういうものだって証拠でもあるのだけど。

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新編アラビアンナイト〈下〉船乗りシンドバードの冒険ほか (講談社青い鳥文庫)
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2017年07月24日

アラビアンナイト〈1〉―王子と魔法の物語ほか (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈1〉―王子と魔法の物語ほか (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈1〉―王子と魔法の物語ほか (講談社 青い鳥文庫)

今の青い鳥文庫のはコレ。

アラジンと魔法のランプ 新編 アラビアン ナイト (講談社青い鳥文庫)
アラジンと魔法のランプ 新編 アラビアン ナイト (講談社青い鳥文庫)

天野喜孝イラスト版は87年初版で既に絶版なんだけど、表紙だけでなく挿絵もみたくてわざわざそっちを探した。

これビジネスとしては難しい所だよね。
現代の子供向けだと天野喜孝のおどろおどろしい絵だと食いつきは当然悪いだろうし。
一方で、折角の絵を眠らせるのもなー。

挿絵なんて電子書籍で好きな方選べるようにして当然な位の時代だと思うんだけどね。

俺はアラビアンナイトは2歳から色々とこれまでも読み比べているので、子供向けの内容らしく平易な文体で、原作を伝えるという感じより、コミカルな誇張描写も加えてる感じがした。

ツカミとしてピックアップした話も有名な奴でなく、マイナーだけどインパクトがあるのを上手くチョイスしている感じがした。

子供向けだけあって流石に千夜一夜物語とは、浮気されて女性不信になった王様が毎晩、娘を殺してたのを、シェヘラザードが諫める意味も含めて千夜の間、ネタを引っ張る形で物語を連夜聞かせたものって設定からスタートはしてないW

だけど、あとがきにはちゃんと説明としても書いてあるんだけど、
何で妃の浮気相手が「黒人奴隷」ってのだけは詳しく明記してんのW
川真田純子さんには其処にこだわりがあった?W

割と、うっかりものの医者や商人としてユダヤ人ってのも作中で明記されている。

多分にそういうのを全部なくしてしまうと元々の原典にあった当時のものの考え方や価値観や文化などが薄れて、味も素っ気もない、もしくは甘ったるいだけの物語になってしまって、背景に何があったとか側が隠されてしまう事に対して、何かしらの抵抗があったのかなとも。

アラビアンナイトの内容での女性や子供や奴隷に対しては人命軽視してる容赦なさ、酷さについてはちゃんと書いてあって、そういう所は明確な態度が読み取れて良い。

格差やサツバツがあったからこその出世物語や冒険譚なので。

主人公達に超ラッキーみたいなのはあるけど、安全を保障されたチートではなく、逆に理不尽な不運からどうやってリカバリするかって話の方が多いし、山あり谷ありだから物語になってる事が引き込みとしては重要な事を再確認させてくれる。だからこそ様々なバリエーションにはなってるものの、悠久の時を超えて語り継がれてはいるんだろう。

この本は、
「王子と魔人の物語」
「アランダス」
「アブーシールとアブーキールの物語」
「ドゥバーン博士の首」
「お菓子やさんとオウム」
「商人と魔人の物語」

の6話。

大人なら超サクサク読めるので、残りの6冊も読み進めていく。

アラジンと魔法のランプほか―新編アラビアンナイト〈上〉 (講談社青い鳥文庫)
アラジンと魔法のランプほか―新編アラビアンナイト〈上〉 (講談社青い鳥文庫)

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2017年05月27日

アラビアン・ナイト ディクソン編 岩波少年文庫(上)

アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)
アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

ふと読んでみたのだが、これ子供向けにそのままでいいのか?って。

というのもディクソン編であり、冒頭にガランのフランス版が底本とあるが、ガラン版は確かに子供向けだけど、アラビア語の古写本→フランス語→英語→日本語って、あんまりな重訳だよね。

加えて、アントワーヌ・ガランは自身が入手した写本には282夜分しか無くて結末もない。なのにタイトルは「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」=「千夜一夜物語」って書いてあるからガランは「1001話に全然足りない!」ってので無理やり他の話を追加して盛った。嘘八百や八百八町が別に八百じゃ無いように「多い」って意味だろどう考えてもとは思わなかったんだろな。

つまり、ガランが先に書いていた「シンドバッド」と、追加した「アラジン」や「アリババ」は「千夜一夜物語」じゃなかったのだ。

シンドバッド 黄金の航海 [DVD]
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マギ シンドバッドの冒険 COMPLETE BOX(完全生産限定版) [DVD]
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アラジン ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
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なのに、この本は徐に「シンドバットの航海」からスタートしてる。

内容紹介も

>ゆたかな空想に色どられたお話の宝庫『千一夜物語』.長短あわせて264編もあるふしぎな話,こわい話,おもしろい話の中から,とりわけ名高い16編を選びました.上巻には「船乗りシンドバットの航海」「アラジンの魔法のランプ」など,下巻には「アリ・ババと40人の盗賊」「魔法の馬」などを収めました.[解説 西江雅之]


選集だからタイトルは「アラビアン・ナイト」にしたんだろうけど。

何言語も経由した伝言ゲーム重訳と、
近年の研究からそれは間違いってなってる事をそのまま子供に読ませていいものかね?


聖徳太子や源頼朝、足利尊氏や武田信玄、西郷隆盛の肖像は別人だとか、

なぜ偉人たちは教科書から消えたのか 【肖像画】が語る通説破りの日本史
なぜ偉人たちは教科書から消えたのか 【肖像画】が語る通説破りの日本史

鎌倉幕府は「いいくにつくろう」じゃなかったって状態を放置して子供に読ませ続けるみたいなもんじゃね?

ちなみに今は1185説が主流だから「いいはこ」。

こんなに変わった! 日本史教科書
こんなに変わった! 日本史教科書

俺の手元のは2001年のこの本自身の新版なんだけど、これアプデしなくていいの?

文庫とかもだけど、子供に夏休みに読めだのって作品の多くは古典だのの版権切れのでそれで稼ぐビジネスモデルをまだやってるみたいだけど、ネットや青空文庫がある時代にやろうってのは聊か限界があるんじゃね?

菊池寛が訳したのが回線費用と電気代だけで読めるし。

>アラビヤンナイト 01 アラジンとふしぎなランプ
http://www.aozora.gr.jp/cards/000083/card43122.html

>アラビヤンナイト 03 アリ・ババと四十人のどろぼう
http://www.aozora.gr.jp/cards/000083/card43123.html

>アラビヤンナイト 04 船乗シンドバッド
http://www.aozora.gr.jp/cards/000083/card43121.html

なのに、この本はアラジンに関しては姫と結婚して終わりって、一般に知られてるレベルより端折りすぎだろ!

そして、この本はシンドバッドとアラジン以外に何が載ってるかというと「ペルシア王と海の王女」「ベーデル王とジャウワーラ姫」って話なんだけど、これに思い当たる話がwikipediaの千夜一夜物語のあらすじ1000夜分の方に該当すると思しい話がない!(全部目を通した。)

>千夜一夜物語のあらすじ wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E5%A4%9C%E4%B8%80%E5%A4%9C%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98

加えて王様とか高貴な方々の発言の筈なのにP.228には「だもんで」とか、P.240には「かっさらって」とか、訳者のお里が知れる言葉遣いがそのまま掲載されてて、子供が読んでも違和感を普通は感じると思う。編集者って何の仕事してんの?

確かに、あらすじの方を参照頂ければ、脚色の多いバートン版やマルドリュス版の影響だか脚色だらけで、これだと不倫と人身売買の話ばっかりみたいな印象になりかねないから、底本どうするかは大きい。

フランス人やイギリス人が誇張したのでなく、なるべくアラビア語から訳した方が良いと思う。
まあそうすると、シンドバッドもアラジンもアリババも除外って事になるけどなW

アラビアン・ナイト〈下〉 (岩波少年文庫)
アラビアン・ナイト〈下〉 (岩波少年文庫)

posted by wolf_howling at 23:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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