2017年10月08日

「ビッケと弓矢の贈りもの」偽善と心根に潜む差別

ビッケと弓矢の贈りもの (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと弓矢の贈りもの (評論社の児童図書館・文学の部屋)

冒頭から違和感がひどい。

急に雲や風を擬人化したばかりでなく、ビッケと雲や風が会話しだして、
挙句がアザラシのヤルマルやフルダともビッケは言葉でコミュニケーションしてしまっている。だったら水上スキーしてた段ではなんでできなかったんだ?
普段から気象とコミュニケーションできるならば船の推進力を借りたり、荒れ海とも交渉できる事で事故を避けられそうなもんだが?

作者のオツムのレベルを超えた頭のいいキャラはできない訳だから、ビッケの知恵は全て他所からの借り物=パクリで、作者のルーネル・ヨンソンは論理思考能力もロクにないってのがあまりに明確になってしまっている。
塗り固めた嘘を紡ぐと必ず破たんするように出来てはいるし。
そもそもフィクションだけどこれは子供でもガッカリするレベルだろう。

イメージを自ら破壊してイメージチェンジしようとして大爆死する自称アーチストとか、自称クリエイターっているよなーと。
まあ気分で色々したいから月給を稼ぐ仕事でなく物書きとか絵描きやってるって人も多いだろうけど。
当時の外国ですら編集者というものが全く機能していない事も判る。
古今東西、肩書きに書いてある仕事すらもしないのなら本来は給料も要らないだろうって事だ。

ところが唐突にこの巻だけ幼児に媚びるかのような設定変更をしてたのに、それももう中盤には完全消失する。
元インカ人のビンカ人と設定されている人々は、フィクションとしての開き直りは妙な偏見への気遣いだかは判らないけど、

人か野獣か?!密林から来た凄い奴!
人か野獣か?!密林から来た凄い奴!

「ニュース版」ではスポーツ欄、新しい料理の家庭欄、言いたい事を載せる投書欄、おもしろい話が載る(コラムとかの事?)なんでも欄は人気なのに、酋長たちは所謂、政治欄が不人気なのが気がかりとか、これまた唐突に大人向けの皮肉を入れている。
だからトータル的な印象がバラバラだ。

子供に解りやすいメルヘン作品があっても当然構わないと思うし、
大人が読んでクスリと笑える深い童話があってもいいだろう。
でも、それを同じ作品、しかも読み進めて繋がってるのの中でやっちゃあダメだ。
やりたいなら別の本でやれ!って話で。


フラーケ族についてはゴルムが力持ちの上に大男で、チューレが嫌な奴ってキャラ立てはどんどん深まってきたが

>それにブレーデも!

とまで書いてありながら、作中ではほぼ何もしない空気キャラに名前って要るのか?W
P,147にはゴルムに比類する位の勇士らしいことが書かれていrけど、全く活躍せず、
ビッケのアイディアを聴いて面白がって地面にのびただけ…。
要るの?


一方でスベンの部下には綽名を含めて10人以上が名前を貰って戦った様子が個々にある。
そういう無意味な事に力を入れる事で印象付ける技法もゼロではないけれどもね。

そしてバイキングの名前と言えばレイフ・エリクソンが書いてあるわけだが、

エレール 1/60 レイフ エリクソン & ソルフィン カルルセフニ 帆船2艘 プラモデル FF0853
エレール 1/60 レイフ エリクソン & ソルフィン カルルセフニ 帆船2艘 プラモデル FF0853

後書きに翻訳者は

>アメリカ大陸を発見


とか書いちゃってる後に平然と

>おたがいによい影響をあたえあいます。これがほんとうの国際交流だとおもいませんか。


だの歯の浮くような綺麗事まで書いてやがる。

「元々、人が住んでいた所」を「発見」だの平気で書くような白人至上主義者が何言ってんだと!

偽善を塗り固めようとする心にもない嘘っぱちはこうやってボロが出るんだよ!

そして、評論社の編集も機能してないから、児童書としてそういう差別を平然と行ってる感覚で自然と差別主義者から出た言葉を掲載して印刷して金までとって売ってる状態な訳だろ。

異常な言葉に違和感を持たない差別主義者かどうかはTwitterだけでなく、書籍も普通に発見機として機能するってもんだ。

ビッケと弓矢の贈りもの (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと弓矢の贈りもの (評論社の児童図書館・文学の部屋)

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2017年10月04日

ビッケと空とぶバイキング船 

ビッケと空とぶバイキング船 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと空とぶバイキング船 (評論社の児童図書館・文学の部屋)

会話が多いと文字数少なくても行数は増えるからか、ページ数稼いでるんじゃねえの?って位にくどい所もこの巻は多い。

子供向けの平易な書き方にしてるのに、これだけくどくどしい感じがするのは、リフレイン技法というよりも下手くそかよって感じを受ける。


原作とアニメ作中のフラーケ族の比較だが、
原作側で力持ちとされているゴルムの役回りがアニメ版だと大きなファクセがしていた活躍にあたるような気もする。

TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第1弾 ビッケ/ウローブ/ファクセル (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)
TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第1弾 ビッケ/ウローブ/ファクセル (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)

アニメのゴルムは「かーんげきー!」って口癖のキャラだし。
原作のウルメは敵として出てくる王にたいしてゴマすりな詩を詠んでおだてる事などで活躍したりはしてる。

オーガニック TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第3弾
オーガニック TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第3弾

原作のチューレはビッケやハルバルの批判もするけど自分で代案を出せないタイプの人間として描かれているが、アニメ版ではチューレと仲が悪くてケンガばかりしているスノーレの方が滝口順平さんの声でチクチクと嫌味を言ってた印象もあるので、コレもキャラが逆転している感じがある。
原作のスノーレはビッケの親友でピンチを体力側で救ったりもしてる。

TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第2弾 チッチ/スノーレ/チューレ (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)
TINY HUGE LINE 小さなバイキング ビッケ 第2弾 チッチ/スノーレ/チューレ (ノンスケールソフトビニール塗装済み完成品)

原作ではブレーデって名前のついてるフラーケ族が出てきてるけど、アニメにはレギュラーキャラでは存在しない。原作側も少なくともこの巻までの間では二言台詞があるあけで、ほぼモブ。

ビッケと空とぶバイキング船 (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと空とぶバイキング船 (評論社の児童図書館・文学の部屋)

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2017年10月01日

ビッケと赤目のバイキング

ビッケと赤目のバイキング (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと赤目のバイキング (評論社の児童図書館・文学の部屋)

学研版の「小さなバイキング」は大昔に読んだんだけど

小さなバイキング (1967年) (少年少女・新しい世界の文学〈1〉)
小さなバイキング (1967年) (少年少女・新しい世界の文学〈1〉)

評論社が復刊したあと、全六巻で出したのがある事はしってたけど、読みそびれてたのをふとした機会で見つけて読んだ。

短い話を複数収録してる形式なんだけど、章の見出しによって、複数の章で一つの話だったり、1つの章だけだったりバラバラなのは原作がそうだから?
学研の方はそんなよみづらい構成や章立てでなかった気もするんだけど。

ページ数の関係でだかは知らないが、ラストに短い話をねじ込んでる構成だと、ラストが一番盛り上がらない小話って事になる。

でもまあ話や言い回しが面白いので、そんなには気にならないけど、一般的にはちょっと違和感がある構成だなと。
巻末に売れなかった読み切りだのをねじ込む事でページ数を稼いでる昔の少女漫画単行本とか思い出す。

素で笑ったのはハルバルの弟が鬼嫁にイビられてて、怒ってテーブルを叩こうとしたところを引っ込められて腕を折ってしまった後に、

>フラーケの女の人だったら、テーブルをひょっとどかすなんてことは、けっしてしないにちがいありません。

かのじょたちは、おこって、刃物を持ち出すかもしれないし、パンを焼くときに使う棒や、バーベキューに使う鉄のくしを使う事はあるかもしれません。


って、そっちのが刃傷沙汰だよ!WWW

原作読んでみて驚いたのがアニメOPテーマの「ビッケは小さなバイキング」の2番で、
スベンはいいけど、スベルケルって誰よ?って思いながら長年、カラオケで歌ってたのだが、

>ビッケは小さなバイキング 栗葉子/ザ・バイキング 歌詞情報 - うたまっぷ
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=T00438

この本で「ダブリンのスベルケル」ってのが出てきて「お前かよ!」って長年の謎が解けたW

ZUIYOアンソロジー
ZUIYOアンソロジー

それとハルバルのセリフに

お前が考えると、火花がとびちるところを見せてやるがいい


ってのがP.200書いてあって、原語ではどういう記述なのかは知らないが、アニメも実写もCG版も例の一頻花の下を人差し指でこすった後に「そうだ!」ってアレはこのことだなと。

多くの方々がそうであるように私もビッケをアニメから認知した訳だが、フラーケ族の面子は2巻目になったらボチボチ出てきてる感じだけど、アニメの印象が強すぎで逆に違和感がW

アニメ版だと滝口順平さんが声をあててたスノーレが原作では副官なのね。
チューレといつもいがみあってケンカしてるイメージしかなかったW

ウルメは此方でも詩人だけど。

一番印象が違うのがゴルム。
勇者のゴルムって書かれてるけど、イメージかわかない。
だって「かーんげきーーー!」って八代駿さんの声で言ってジャンプして足の裏同士をパチンと打つってあのリアクションの印象が強すぎる。実写映画版でもやってた位だし。

実写版や3DCG版ですら彼らは関修一さんがキャラクターデザインしたのを踏襲してる見た目で、行動もそう。

小さなバイキング ビッケ DVD-BOX1
小さなバイキング ビッケ DVD-BOX1

小さなバイキング ビッケ [DVD]
小さなバイキング ビッケ [DVD]



実写版は特殊メイク使ってまでアニメのキャラデザインに似せてるからね。

原作側の脇役たちは、名前はあるけど挿絵でも見た目の区別つかないもの!

ビッケと赤目のバイキング (評論社の児童図書館・文学の部屋)
ビッケと赤目のバイキング (評論社の児童図書館・文学の部屋)

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2017年09月21日

アラビア物語〈4〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

アラビア物語〈4〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈4〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

既に同じ底本だかの既刊があるとはいえ、

>アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/453501901.html

アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

この本の殆どが「わがままな王と、それを諫める農夫や裁判官とかの話ばっかり」で、もう少しバラエティに富ませたピックアップをするって「編集」とかは機能しねえもんかねと。

全4巻で、何故か「みどりの文庫」と「ジュハーおじさんのお話」を互い違いに偶数奇数巻で出す意味が解らねえ上に、先をどうするって全く考えてないでやってるから似たような話ばっかりなんて採話になるんだろと。

しかも、この巻でも翻訳でなくて不自然極まりない創作改変をしてると思しい箇所だらけなので、猶更行き当たりばったりで底本に対しても失礼極まりない事をしてると思う。

しかも最終巻のラストの話が「猿の生肝」類話って・・・。

猿の生肝―土佐の昔話 (1976年)
猿の生肝―土佐の昔話 (1976年)

クラゲは出てこないので「くらげ骨なし」にはならないものの、亀の甲羅の話とか妙な改変してるせいで全然ないし。

まんが日本昔ばなし 「クラゲの骨なし」/「おさん狐」
まんが日本昔ばなし 「クラゲの骨なし」/「おさん狐」

多分に成立年代が3世紀と更に古いインドのパンチャタントラから、アラビアや日本に伝播したのだろう。

パンチャタントラ物語―古代インドの説話集
パンチャタントラ物語―古代インドの説話集

ともあれ、本来の目的は、この訳者と称する創作屋でなくて、天野喜孝の挿絵だった訳だけど、
89年で90年になる前位が、雑な絵も少なくて天野喜孝のイラストは一番良い時期だったんだなというのは判った。

これでこのシリーズを読む苦行も終わり!(苦笑)

天野喜孝名画ものがたり 眠れるレタス姫
天野喜孝名画ものがたり 眠れるレタス姫

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2017年09月18日

アラビア物語〈3〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)

アラビア物語〈3〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈3〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)

前巻レビューで

>アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/453501901.html

>区別するためのサブタイだろうに、サブタイが全く同じものなんて、この世に存在させていいのかよ!


って書いたが、これも1巻と同じサブタイじゃねえか。

>アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452961689.html

ソースを明示する意味なら、1巻おきに互い違いに別の原作にする意味も全くわかんねえし。
ホントに訳者と称する作者と編集者は碌に仕事してねえな。


「火打ち石は恋の魔術師」
なんだこのダサいラノベみたいなタイトル。センスねえ!

この話ってアンデルセンの「火うち箱」まんまで、実際アンデルセンの方がパクってるんだけど、

火打ち箱 (こんなアンデルセン知ってた?)
火打ち箱 (こんなアンデルセン知ってた?)

考えるにアラビア語の原本が存在しない事でアラビアンナイトに厳密には含まれない「アラジン」についても、元々はこの話が底本なのかもしれない。

アラジン ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
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「王子マンスールと孔雀の女王の物語」

「の物語」って要るか?センスねえ!

この話から想起したのは羽衣伝説と

羽衣・竹取の説話 (総研シンポジウム)
羽衣・竹取の説話 (総研シンポジウム)

「鶯長者」や「見るなの座敷」だ。

みるなのくら (日本傑作絵本シリーズ)
みるなのくら (日本傑作絵本シリーズ)

wikipediaには

>東日本に多く分布する話だが、あらすじには土地ごとに若干の差異がある。上記のものは越後地方で最も一般的な話であり、これが原型とされる


だの書いてあるが。

>見るなの座敷
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8B%E3%82%8B%E3%81%AA%E3%81%AE%E5%BA%A7%E6%95%B7

日本の謎と不思議大全 東日本編 (ものしりミニシリーズ)
日本の謎と不思議大全 東日本編 (ものしりミニシリーズ)

これは多分にアラブだか何処かの海外にあった話がシルクロード流入したんじゃねえの?
日本の国内だけで情報分析が完結するとでも思い込んでるんじゃねえの?

マンスールが魚や狐や鷲を助けて、恩返しで助けてもらうくだりはグリム童話の蜜蜂の女王を思い出す。

>ミツバチの女王
http://hukumusume.com/douwa/pc/world/09/13.htm

多分にこれも比較神話学でジョゼフ・キャンベルの主張する同時多発的なものではなく、多分に伝播したと考える方が自然だろう。

神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

何より、大国主と因幡の白兎や、スサノオに放火された際の鼠の「内はほらほら、外はすぶすぶ」とか、スサノオが寝てる間にスセリビメを連れ帰るくだりとか、魔人を酔わせて姫を救い出すくだりとか諸々がもうね。

ナムジ―大国主 (1) (中公文庫―コミック版)
ナムジ―大国主 (1) (中公文庫―コミック版)

「死の網」
これはひどい!

作中でこの訳者を名乗る改悪者はアラーアラーと書きまくりだが、一神教の筈なのに、
誕生の神バラフマー、その妻サビトリ、死の神ヤーマーが出てくる。

これってヒンドゥー教のブラフマー、サラスヴァティー、ヤマじゃねえか!

つまりはインド神話の話なのだ。それを無理やりにコーランだなんだって、誰の目から見ても破綻してる。

薄っぺらい上辺だけの矛盾しまくりの文章で誤魔化せるとでも思ったか?

あまりにもあさはか!!!

インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)
インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)

posted by wolf_howling at 02:01 | Comment(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月16日

アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈2〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

日本で言う一休や彦一とか吉四六みたいな頓智話っぽい要素も少しある感じ。

一休さん (寺村輝夫のとんち話 1)
一休さん (寺村輝夫のとんち話 1)

彦一とんちばなし(上) (偕成社文庫2040)
彦一とんちばなし(上) (偕成社文庫2040)

吉四六さん (寺村輝夫のとんち話)
吉四六さん (寺村輝夫のとんち話)

だけど、例によって訳者と名乗る人の改変が酷い気がする。

「金のガチョウ」という話は頓智に加えて、説話集の要素もあり、その中の一つに海の中の精霊たちが暮らす宮殿で女王と楽しい時を過ごすが、陸に帰りたくなって・・・という、言うまでもなく浦島そっくりな話がある。

海の声
海の声

「はじめに」の項目で「ジュハーおじさんは7世紀の人物」と説明直後に「ジュハーおじさんが急行列車に乗った時の話」を事例にして現代含め時代ごとの話が混じっていると説明がされているが、
これは日本書紀の浦嶋子の話がアラビアまで伝わったのだろうか?
それとも日本書紀は720年、つまり8世紀の初めに成立したものなので、7世紀中頃のイラクのクーファから、シルクロードを経て既に日本に伝わっていたのだろうか?
(他所の場所を開始点とした古い話で、日本とイラクにそれぞれ似たような時期に伝わったものなのかもしれないが。)

日本書紀〈1〉 (岩波文庫)
日本書紀〈1〉 (岩波文庫)

「ファルークのろば」という話が如何にもとってつけな改変っぽいラスト。
笑いを誘う為の粗忽話なのに、唐突に神罰とか馬鹿じゃねえの?
だったら、再犯する前に事前に対処する能力もない無能な神様って話になるだろ。
論理思考能力が備わっていれば子供にも判る。
つまりに、子供向けの本としながら、訳者と称する作者と編集者の論理思考能力は、普通の子供にも劣るんじゃねえの?

「ハウハウ物語」
これ昔も今も裁判が関わってキチガイなら無罪みたいな対応自体が愚かだって証拠だよなー。
作中のジュハー曰く、キチガイのふりして借金を逃れようとしてる奴より、それを吹き込んだお前が悪い!って指摘。
統合失調症のフリしろとか吹き込んで、責任能力がないだの主張する弁護方法とか、ホント糞すぎる。
そういう汚い罪状逃れを使用とする奴も一緒に、この説話みたいに残りの人生をずっと犬扱いで構わねえと思う。

ただ、この話のオチも改変されてる可能性が強い気もするけどな。


「マラードカは半人前」
多分にアラジンの話の成立以降にパロディとして書かれたものだろう。

アラジン ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
アラジン ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

笑い話としてもそれなりに描写が面白い。落語みたい。
ただ、自称訳者の雑さや自称編集者が仕事してなさが細々と見えてイラつく。
貧しい主人公が光源としてランプを使ってる描写をした次のページで光源が蝋燭になっている。
記憶力どうのってレベルじゃなく、現に書いてあるページの隣に文字となってる形で、全く一貫性がない事に普通の感覚があれば気づくというか、違和感あってアタリマエなレベル。

そして、作者も編集者もサボりすぎだろと思うのは、全4巻のこのシリーズの4冊目のサブタイも「ジュハーおじさんのお話」なのだ。
区別するためのサブタイだろうに、サブタイが全く同じものなんて、この世に存在させていいのかよ!

アラビア物語〈4〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈4〉ジュハーおじさんのお話 (講談社 青い鳥文庫)

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2017年08月25日

アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)



1984年のムフシン・マフディーの研究で明確にされたが
アラジンと魔法のランプ、
シンドバッドの冒険、
アリババと40人の盗賊、
空飛ぶ絨毯、
などはアラビア語写本が存在しない。
つまりは原本のアラビアンナイトには含まれていない。
フランス人のガランが千夜一夜物語=1001話に無理やりするために、別の話を無理やり混ぜたものというのが現在の専門家の通説だ。

The Thousand and One Nights
Posted with Amakuri
Muhsin Mahdi
Brill Academic Pub


だが川真田純子が講談社 青い鳥文庫で「アラビアンナイト」と称していたものを出しだしたのが1987年。



事前に準備をしている期間もあっただろうから引っ込みがつかないからか、そのあと死ぬ前年の1992年まで7冊をアラビアンナイトと称して出してた。



とはいえ、アラビア語も数語しか知らない俺でも、それは変だろうと思うわけだから、
そのまま何でもかんでも混ぜて出すのはマズイって事は「専門家」なら普通は思うはず。

だからか知らないが、この本はアラビア物語と称して1989年に出していて、ソースも「みどりの文庫」という「アラビアンナイトは別の物語集」とソース明示をしている。

「髪の木」はしゃべる鳥に呪われて長い金髪が抜けだし、そよ風が吹くのにも怯える事になる女王の呪いをとく話。その描写からして、やはり「翻訳」ではなく川真田純子の「脚色」が非常に強い感じが解る。

「知恵の糸」に関しては翻訳者の論理思考能力が問われる位に酷いお粗末で、理屈が通っていない。
この翻訳版と称しているものだとスカラベに細い糸、アリに絹糸をそれぞれ結び付けている。
が、そうしたら2本の糸が塔の上部に到達する流れだけど、別に絹糸→木綿糸→ロープって切り替えて引っ張り上げるだけだったら絹糸1本が最上部までゴールすればいいだけだよな?
スカラベから糸を受け取ったって書いてあるが、アリの方に下から結ばせた糸には何の意味が?そして何処に消えちゃってんの?と。
これ訳者がまったくパズル的な思考ができてないで出鱈目に訳して子供に読ませる本にしてるし、挙句は編集者も明らかに変な事に気づかずに放置して販売してるって誰もマトモに仕事していないな。

知恵がない誰かさん達に代わってトリックを解き明かすに、
多分に準備したのは
・蜜を塗ったスカラベ、
・絹糸を結んだアリ、
・絹糸に結ぶ木綿糸、
・木綿糸に結ぶロープ
だろう。

蜜を塗ったスカラベは下からアリに追い立てられるので上へ上る。
絹糸を結んだアリは蜜(とスカラベ)を追いかけて上へ上る。
後は絹糸→木綿糸→ロープの順に手繰ればロープを塔の最上部に到達させられるってトリックだろ。
だから

・アリが絹糸を運んでくるならスカラベには糸を結ぶ必要はない。
・アリに追われたスカラベに糸を引かせるのならアリに結ぶ必要はない。


という事に普通のオツムがあれば気づくだろ。

多分に「小さくて力の強いアリに運ばせる案」の方が元の童話なのだろうが、
この訳者と名乗る作者は、到達したのがスカラベの方が見栄えがすると思ったのだろう。
かくてこの話だと糸は2本しか準備させてないのに、何故かそれぞれ2本とも塔の上に運ばせてしまっている。
意味ねえ!
ばっかじゃねえの?

ちゃんとした読解力があって正しい内容を把握できる翻訳能力がないのではないだろうか?
もしくは例え小さな子供でも論理思考能力さえあれは「内容がおかしい」事に気づくのに、原稿にして活字にして印刷して店頭に並べ販売してたわけだ。
そんなのを子供に読ませるだって?
何考えてんだ講談社?何も考えてないとしか思えない。


この頃の天野喜孝の挿絵は美しくカッコイイのや、綺麗で丁寧な作品や、可愛らしいタッチのバリエーションもあって良いだけに、非常に勿体ない。


「レモン娘」は、なりすましの話なんだけど、これ多分、川真田純子がラストは改変してんじゃねえのかな?
というのも魔法でこの見た目にされたといって姫と入れ替わった女が嘘を言ったものを「焼き殺せ」と言って「お前自身がそうなるのだ」って言われる下りの意味が通らない。
というのもイスラム教では火葬されただけで地獄行きとなる教えがあるので遺体は保存する。
なのでイスラム圏で「火刑」にしたとすれば死刑の中でも非常に重い罰し方なのが俺は判る。
なのに、この本の冒頭にコーランについてどうのまでかいておいて、そこをぼやかした挙句、助命までしてしまっている。

なりすましと厳罰での死罪というと簡単に想起できるのがグリム童話だ。



中でも「ガチョウ番の娘リーゼル」の内容が似ている。
王女になりすました侍女は自らが提案した罰で処刑される。

>がちょう番の女
https://www.grimmstories.com/ja/grimm_dowa/ga_choban_no_onna
>すっ裸に服をはぎ、中にとがった釘をうちこんだ樽にいれ、その樽を2頭の馬につなぎ、死ぬまで、あちこちの通りを引きずりまわす


これを子供向けの編集とみるか、宗教観についてわざわざ説明した挙句での身勝手な改ざんとするかってのはあるが、唐突過ぎて子供が読んでも違和感あるだろ。
むしろカタルシスもねえし、グリム童話の側程には日本人の子供達にとってもエグくはねえだろ。

グリム童話といえば、この本に収録されているのに似てるのが他にもある。

「グールの毛」という話がグリム童話の「金の毛が3本生えた鬼」や「怪鳥グライフ」だ。

>金の毛が3本生えた鬼
https://www.grimmstories.com/ja/grimm_dowa/kin_no_ke_ga_oni



>怪鳥グライフ
http://www.ab.auone-net.jp/~grimms/grimm125/griffin.html

怪鳥グライフの方は明らかに本来2つ以上あった話をくっつけたであろう、小人は何処行っちゃったの?って展開なのと、怪鳥グライフ=グリフォン、グリフィンの奥さんが人間(もしくは魔女?)なのは違和感ありまくりなので、多分にドイツに話が持ち込まれた際に人食い鬼のオーガや巨人をドイツ人にとってもっとインパクトがあるモンスターであるグライフに伝承されるうちに変化させたのだろう。
アラビアのグールの側は後だったか先だったかはもっと数多くの類話を集めて比較してみないと解らないが、D&Dなどではアンデッドとされているもののグールは元々のアラビアの伝承では変身が行える魔物で人に化けて人を襲って食べたりするものではあるものの「金髪」ってのを強調してある所に違和感がある。

ダンジョンズ&ドラゴンズ モンスター・マニュアル第4版 (ダンジョンズ&ドラゴンズ基本ルールブック)
Posted with Amakuri
マイク ミアルス, スティーヴン シューバート, ジェームズ ワイアット
ホビージャパン


アラブ人は白人の奴隷も使っていたし、中には金髪の人もいただろう。
とはいえ、幾ら変身可能な化物であるグールにせよ、金髪グールにはやはり違和感があるので、
多分にヨーロッパの何処かにオーガを元にした話側が先にあって、それがドイツに入ってグライフになり、アラビアではグールとされたのではなかろうか?


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2017年08月17日

アラビアンナイト〈7〉 (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈7〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈7〉 (講談社 青い鳥文庫)


「ソロモンのつぼ」
「ライオンと大工の話」
「ペテン師の話」短編3話
「二人の男」
「カマル=ザマーン王子とブドゥル姫」
「バグダッドの幽霊屋敷」


「ソロモンのつぼ」はセンスオブワンダーな冒険旅行譚で良い!
この話の挿絵は天野喜孝が色々なタッチを試そうとしてる感じがある。

しかし、もうこの後は扉からして酷い!

「二人の男」の絵は多分に、やや先に描いたであろう線数だけど、後は筆での描き殴りみたいな酷さ!

作品って描いて金貰ってでオシマイって感覚に数こなしてればなるだろうけど、今日日なら紙だけで管理してた時代と違って風化しないでこのクオリティのものが永劫にのこるからな!

というか、シリーズ終了の最終巻で「やる気でねえ」みたいな事もあったかもしれないけど、それにしても酷い。

この本がでたのが92年で、訳者っていいながら脚色だらけの内容書いてた人が93年に死んでるんでこれで、このシリーズはしまい。

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062854238
>1948〜1993年

2002年以降の上下巻はピックアップして纏めなおしただけのものだし。
しかもこれまで何度も書いたが
アリババも、アラジンも、シンドバッドも
アラビアンナイトじゃねえだろって。


講談社、全く編集って機能してねえな。

アラジンと魔法のランプほか―新編アラビアンナイト〈上〉 (講談社青い鳥文庫)
アラジンと魔法のランプほか―新編アラビアンナイト〈上〉 (講談社青い鳥文庫)

新編アラビアンナイト〈下〉船乗りシンドバードの冒険ほか (講談社青い鳥文庫)
新編アラビアンナイト〈下〉船乗りシンドバードの冒険ほか (講談社青い鳥文庫)

そも作者の書き方が変なのは「カマル=ザマーン王子とブドゥル姫」って話でも判るし、編集者が仕事をしてないのも判る。

節のタイトルに「魔女神」って言葉使ってるし。
魔女や女神って言葉はあるけど「魔女神」なんて言葉は無いし、
魔神ジンの女性系ジンニヤーやジーニーなら「女魔神」だろ!
そういう方の常識もないし。



だけど、この最終巻を出して亡くなられる前に「みどりの文庫 アラビア物語」という全4冊書いてるので、続きとしてそっち読むかと。

アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)

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2017年08月09日

アラビアンナイト〈6〉 (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈6〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈6〉 (講談社 青い鳥文庫)

「アリ=ババの物語」
「ザイムと魔神の王の物語」
「三姉妹の物語」
の3話。

アラビアンナイト、千夜一夜物語とされる「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」には

・アリババと40人の盗賊
・シンドバッドの冒険
・アラジンと魔法のランプ
・空飛ぶ絨毯

などは入っていなかった事は先に何度も書いた通り。

>アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452474695.html

なのにブリタニカ国際大百科事典とやらには、いけしゃあしゃあとアリババ、アラジンが記されている上に、

https://kotobank.jp/word/%E5%8D%83%E4%B8%80%E5%A4%9C%E7%89%A9%E8%AA%9E-88988

アリババについては

https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%90%E3%81%A840%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%9B%97%E8%B3%8A-28072

>D.B.マクドナルドは,オックスフォード大学のボドリー図書館のアラビア語写本目録を検討中,この物語のアラビア語原典があることに気づき,イギリスの王立アジア協会雑誌でこれを公表 (1910) した。


とあるが、ムフシン・マフディーの研究では、これはフランス人の東洋学者が書いたアラビア語だと筆跡鑑定結果で分かった。

つまりは、フランス人のガランが書いたアラビアンナイトから、フランス人がアラビア語に訳して書いたものなので、アラビアンナイトに含まれないどころか、原典が何かという写本すら実存しない話だ。

必携アラビアン・ナイト―物語の迷宮へ
必携アラビアン・ナイト―物語の迷宮へ

千夜一夜物語と中東文化―前嶋信次著作選〈1〉 (東洋文庫)
千夜一夜物語と中東文化―前嶋信次著作選〈1〉 (東洋文庫)

そのせいか、この脚色の強い本でも話にブレはほぼなかった。

油壺の数を40ー2してあったり、盗賊の首領の分もちゃんとカウントして合計37になってるとか細かい帳尻合わせはしてあるのを感じたけど。


「ザイムと魔神の王の物語」
如何にも、この文化圏の極端な話。「約束を守ろう」はいいけど、女の人を犠牲にしても仕方ないって、文明社会ではアリエナイ感覚が・・・。だから連中はいまだに女性差別を続けて世界中から顰蹙買ってるんだろうなと。

「三姉妹の物語」
これは相当にツギハギ感がある。それとタイトルだけど三姉妹が出てくるのは最初と最後だけで、
ペローやグリム童話にもよくある三兄弟の末っ子もの(この話だと妹だけど)。
しかも宝の「話す鳥」「歌う木」「金色の水」を手に入れる時に振り向いたらダメってのは、お馴染みギリシャ神話のオルフェウスや、古事記のイザナギとイザナミの黄泉の話だし。

一冊でまるごとわかるギリシア神話 (だいわ文庫)
一冊でまるごとわかるギリシア神話 (だいわ文庫)

絵本古事記 よみがえり──イザナギとイザナミ
絵本古事記 よみがえり──イザナギとイザナミ

これ、無理やりに「3」って数を合わせる為に色々やってる感じがする。
鳥がいれば事件解決してるもの。
多分に最初はそういう話だったのを、盛りまくった結果がコレなんだろうなと。



さて、この本では3つしか無いので話についてはこの程度だが、
重大なのは天野喜孝の表紙以外のイラストが、筆で雑に描かれたものになってしまっている事。

ヘタウマなんてものもあったけど、湯村輝彦や蛭子能収の絵は、ただの「雑な絵」だろ。

ヘタウマな愛 (新潮文庫)
ヘタウマな愛 (新潮文庫)

天野喜孝が様々なタッチの絵が描けるって事は知ってるし、当人も特定の画風に縛られたくないって人なのも知ってる。

にしたって、子供が読む本でこんな抽象画モドキの雑な絵で挿絵でございってのはないわー。

講談社は何で事前に確認するか、ボツだって差戻ししないのか。
編集者が肩書きだけで仕事をしてないから!

湯村輝彦の本だってAmazonで検索したら、みんな古本はゴミみたいな価格になってる。

一過性のブームで売った物なんて文化として定着せずにそんなザマだわなー。

なりたがりやのくも (ele-king books)
なりたがりやのくも (ele-king books)

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2017年08月06日

アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈5〉 (講談社 青い鳥文庫)

「アラジンと魔法のランプ」
「船乗りシンドバードの物語」
短編「三つのリンゴ」

を収録。

これまでのエントリでも書いてきたが

>アラビアンナイト <4> ― 空飛ぶ馬ほか (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452401836.html

・シンドバッドの冒険
・アラジンと魔法のランプ
・アリババと40人の盗賊
・空飛ぶ絨毯

これらは全てアラビアンナイトではなく、元々は別の話だ。アラビア語の写本すら実存しない。


って事で、

アラビア語刊本の

・フランス人がフランス語で書いたガラン写本をベースにアラビア語にしたカルカッタ第一版

・イギリス人が英語で書いたマカン写本をベースにアラビア語にしたカルカッタ第二版

ってのが、このシリーズの底本っぽいんだけど、

ヘンリー・リーヴのレビューで「ガランは子ども部屋に」と言われた一方で、ガラン版の内容とは違う気がする。

すると、現存しない寄せ集め本のマカン写本を元に書かれたカルカッタ第二版側がベースなのかな?

と思ったのだが、カルカッタ第二版には「アラジンと魔法のランプ」「アリババと40人の盗賊」は含まれていない!

東洋文庫のでは「アラジンと魔法のランプ」「アリババと40人の盗賊」はわざわざ「別巻」としている位に本来は含まれない。

アラビアン・ナイト (別巻) (ワイド版東洋文庫 (443))
アラビアン・ナイト (別巻) (ワイド版東洋文庫 (443))

となるとこれ、様々な演出の加筆改変含めて、川真田純子って人がごちゃまぜの二次創作やってるって内容だな。
真面目に分析しようとして損した。

訳としながら妙なアラビア語への中途半端な拘りだかでの表記ゆれも煩わしいので、講談社の編集が例によって機能してないのも判る。
ある時にはヒンジャルって書いて、ある所では剣って書いてる。

で、その「ヒンジャル」について検索しても、日本語では1件しか出てこない。

>小麦粉をこねにきませんか?アゼルバイジャン 冬のパン・麺教室
http://www.nikikitchen.com/reservation/class.php?class_id=3670

>ヒンジャルという麺料理

>この麺料理は非常に薄いパン生地で作られている為「ヒンジャル」を「薄いパン」と訳されることがあります。


綴りとしては「KHINGAL」で「ヒンガル」とも書いてあるな。

アゼルバイジャン語はアルタイ系テュルク語群でトルコ語などの仲間だからアラビア語じゃないけど。

なので思いつく武器名や英語ベースで検索してみた。
シミター、シャムシール、カトラス、ファルシオン、ファルカタよりは短いものを指すのかもしれないけど。

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Uniton シャムシール(刀剣)
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パイレーツ カトラス コスチューム用小物 男女共用 50cm 1589
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あー、ジャンビアの仲間で「Khanjar」ってのがある。これか。
https://en.wikipedia.org/wiki/Khanjar

下の画像のやたら曲がってる奴ね。

The Illustrated Directory of Knives, Daggers & Bayonets: A Visual Encyclopedia of Edged Weapons from Around the World, Including Knives, Daggers, Bayonets, Machetes and Khanjars, With over 530 Photographs
The Illustrated Directory of Knives, Daggers & Bayonets: A Visual Encyclopedia of Edged Weapons from Around the World, Including Knives, Daggers, Bayonets, Machetes and Khanjars, With over 530 Photographs

とか、色々とめんどくさい裏もとってはみてるが、そもそもだけど

ソース明示しない翻訳なんて存在するの?

もし訳文の元が存在しないものを「訳」って銘打つのは虚偽にあたるんじゃねえの?



さて、ということで、気になった差分などをレビュー。

流石に有名な話なのでネタバレは構わないよね?

アラジンには様々なバリエーションがある。

短いのはランプを手に入れて毛ね持ちになったで終わり。

ガラン版はそれに近い。のだが、違和感がある点が2つ。

アラジンにランプを拾ってこいと言う魔法使いはアラジンを閉じ込めてそのまま帰っていしまうバージョンがある。
アラジンって長安に住む中国人で、アフリカのモロッコからわざわざ中国に来て、怒って帰るってのはあまりに違和感凄いよなー(苦笑)

それと、閉じ込められたアラジンがどうやって脱出するのかだが、ディズニーなどはランプのジーニーが助けてくれる。

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だが、多くの場合は指輪の精霊が先ずはアラジンを助けてくれるのだ。
しかも、この指輪は魔法使いが渡していた指輪で、更には使い方の説明もしないのにとりあえず渡しているという非論理の演出つき。
そしてわざわざ魔法的な脱出手段を与えておいて、何故かアフリカまで怒って帰ってしまう。
ガラン版のこの展開は子供にしても「バカだろ」って思う筈。

アラビアンもそう思った人は多かったのだろう。
これはわざわざアフリカまで帰った後に魔法使いが中国まで戻ってきてランプを手に入れようとする悪役らしい展開になる。

挙句に、ヴィラン魔法使いの兄貴までが登場して弟の仇を討とうとするW
昔から続編とか求められてgdgdになるんだなーと。

唯一「へー!」だったのは、ランプの魔人がアラジンに逆らった唯一の理由が
「大理石の白いチェス盤を魔人達が神聖視してて、それを持ち出した者は魔力を失う」
ってので、これを遂行しろと言われたらランプの主人を殺して城に火を放つとかまで言ってる。

魔法で様々な望みを叶えられる程のジン達が、チェス盤を恐れるのは「賢さの象徴」だからではなかろうか?
本当の知恵比べには魔力は通用しないって事とか。


シンドバッドの7つの航海だが、これはやたらと目的地や地理が明確な気がした。

1度目 バグダッド → バスラ
2度目 バグダッド → チグリス川 → ペルシャ湾 → インド
3度目 バグダッド → バスラ → ペルシャの端
4度目 バグダッド → バスラ → ペルシャ湾
5度目 バグダッド → バスラ
6度目 バグダッド → バスラ → ペルシャ湾 → インド
7度目 バグダッド → バスラ → イエメン → シン → プーシル

バリエーションとしては砂漠をラクダのキャラバンで行くってのも

人食い巨人はサイクロプスじゃなかった。
多分に黒人の大男的な描写が誇張されて、手のひらに人やカモシカを乗せて確認後に、床に叩きつけて殺して、串焼きにするってのにまでなったんだろうと思う。

あと、夫婦の片方が死んだら生きてる方も埋葬される話で、シンドバッドは生き残るために新たに地下に降ろされてきた人を殺して、お供えを奪ってた話もガランには書かれているんだけど、この本は多分に自称翻訳者の脚色で降ろされた女性がショック死みたいな不自然極まりないオブラートでの強引な隠蔽がある。


3つ目の話はハールーン・アル・ラシードはこれまでの巻にも何話か出てるけど、
他の話では有能な大臣ジャアファル・アル・バルマキーと、マスルール(護衛件、首切り役人)が出てくる話。
千夜一夜物語の中ではこの面子は割と何度も出てくるお馴染みメンバーなんだけどね。
でもまあ、この話のオチも酷いし、シリーズのラストはなー・・・。

そして、天野喜孝が描いてる絵の画風がそろそろ、雑に好き勝手やって荒れてる感じになってきてる。
91年かー。

俺が天野喜孝の絵はいいなあと思えてた時期って実際は80年代から90年にかけての割と短い間だけだったんだなあと。

グイン・サーガ外伝6 ヴァラキアの少年
グイン・サーガ外伝6 ヴァラキアの少年

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2017年08月04日

アラビアンナイト〈4〉 ― 空飛ぶ馬ほか (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト 4―空飛ぶ馬ほか (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト 4―空飛ぶ馬ほか (講談社 青い鳥文庫)

2巻目を読んだ時に早々に腑に落ちない感じがしていたが、

>アラビアンナイト〈2〉まだ知らないふしぎな国へ (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452210848.html

>訳者が何を底本にしたのかってこと。


については、この巻でやや判明。

冒頭の話が「空飛ぶ馬」つまりは有名な「空飛ぶ木馬」。
だから、これは厳密にはアラビアンナイト、千夜一夜物語ではない事が判った。

空飛ぶ木馬 (アラビアン・ナイト)
空飛ぶ木馬 (アラビアン・ナイト)

空飛ぶ木馬は元々「中国の話」だ。
http://hukumusume.com/douwa/pc/world/08/10.htm

そして相当な改悪がされているのでキャラクターやそれらが性格からとっているであろう行動への違和感があまりに酷い。
様々な国王が姫の面倒をみたのに王子が恩を仇で返す形で大口叩いた後に攫う事の繰り返しだし、
馬を発明した職人の扱いは酷すぎる。むしろ責められる対象は王子一人じゃねえか。
この点、訳者が妙に子供向けにぼかそうとして弄り回した結果、支離滅裂になっている感じも強い。

さて、そもそも。

千夜一夜物語はそもそも千話分は無かった。


「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」=アラビア語での千一夜は、お江戸八百八町とか、白髪三千丈と同じで「いっぱい」って事の「誇張表現」だ。

それをフランス人のアントワーヌ・ガランが直訳した挙句、アラビア語には写本が存在しない話が無理やり混ぜられた。

・シンドバッドの冒険、
・アラジンと魔法のランプ、
・アリババと40人の盗賊、
・空飛ぶ絨毯、

これらは全て元々は別の話だ。アラビア語の写本すら実存しない。

酷いものにはアリババ写本と言いながら偽写本だったり、そもそも写本自体が存在しないものまである。

つまりは多分にこの講談社の青い鳥文庫曰くのアラビアンナイトはガラン版か、元々関係ない話を含めて最も収録数が多いバートン版などがベースであろうと思われる。
ところがガラン版はフランス語で書かれており、バートン版は英語だ。

この訳者は
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062854238

>メキシコ大学でスペイン語を専攻ののち、1972年より京都外国語大学アラビア語科、田中四郎教授の研究室に学ぶ。その間、アラブの人々の生活・風俗習慣についてのエッセーを多数発表。


この方、「研究室に学ぶ」とだけあるから院卒どころか履修してるかすらもこれでは学位が明確じゃないから判らない。

もしアラビア語から訳したと想定すると、多分にアラビア語刊本としては

・ガラン写本をベースにしたカルカッタ第一版
(フランス人がフランス語で書いたものをアラビア語にした)

・バートンが本を出した後にマカン写本をベースにしたとされるカルカッタ第二版
(イギリス人が英語で書いたものをアラビア語にした)

の、どちらかではなかろうか。
にしても、写本と称したものの寄せ集めをヨーロッパ人が作って、それをアラビア語に戻したら、往復の二重翻訳な上に、それを更に日本語に訳したとしたら、もう原型なさすぎじゃねえのかと。
しかもマカン写本は現存すらしないって酷さなんだけど。

この点、岩波の方はガランのフランス版が底本って事は書いてはある。講談社、これでいいのか?

>アラビアン・ナイト ディクソン編 岩波少年文庫(上)
http://read.seesaa.net/article/450286476.html

調べてみたら、この訳者と天野喜孝のイラストで「アラビア物語」ってのが出てるなー。

アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)
アラビア物語〈1〉みどりの文庫 (講談社 青い鳥文庫)

「アラビア物語」ってのは88年刊行で、
ムフシン・マフディーがガラン写本の研究をしてガランが続編を勝手につぎ足す前の写本を訳したのが1984年だから、流石にやべえと思って「アラビアンナイト」って名称は外したのかな?
でも、アラビアンナイトのシリーズの方も、この4巻は88年刊行で、しかも7巻まで続いてて92年まで出されてるってのがなんなんだかねえ。

アラビアンナイト〈7〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈7〉 (講談社 青い鳥文庫)


という事で、子供向けとされている本だからこそ、ちゃんとしとけ!って話はこれ位にしてレビューへ。

「漁師と魔神の物語」
「ロバの知恵」
「空飛ぶ馬」
「アブダッラーと托鉢僧」
「キツネとオオカミ」
「くつ屋のアキーフの話」

の6編。

イソップ童話風の動物説話ですら、その中に複数の話を押し込むとか、どんだけ無理な継ぎ足し編集をしてたんだ昔のアラブ人って感じは毎度する。

イソップ寓話集 (岩波文庫)
イソップ寓話集 (岩波文庫)

やや長めの「漁師と魔神の物語」は、お馴染みの壺の魔人の話で終わるかと思いきや、まあ引っ張る引っ張るW

そして「くつ屋のアキーフの話」はこれも切り貼りしてツギハギをあてた感はするものの、逆に妙な超展開をみせている感じで、これは逆に感心した。

そういえばアラジンに出てくる魔人はランプの方が有名だけど、

アラジン ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
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原典側では指輪の魔人の方が圧倒的に多い。

逆に壺から何度も出入りする魔人は公式側には居ない。

でも、日本人だとハクション大魔王のせいで魔人は壺の中からーって感じもあったりする?W

ハクション大魔王 ブルーレイBOX<8枚組> [Blu-ray]
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2017年07月30日

アラビアンナイト〈3〉―シャマルダルの宝ほか (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈3〉―シャマルダルの宝ほか (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈3〉―シャマルダルの宝ほか (講談社 青い鳥文庫)

「シャマルダルの宝」
「アブー・ハサンのおなら」
「アブー・ムハンマドの話」
「魔法の泉」
「うそつきブハイト」
「陸のアブダッラーと海のアブダッラー」

の6話。

前巻の

>アラビアンナイト〈2〉まだ知らないふしぎな国へ (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452210848.html

でイスラム教とはーとか、あとがきに説明してたのに

「ユダヤ人に化けてはいるが、イスラム教徒」なんてあんまりなデタラメ表記まである。
これ子供向けなら猶更、そんな滅茶苦茶な記載は許すべきじゃないと思うんだけど?

読んでて、なんか訳者のセンスが色々とズレてる感じがする。

何しろ88年の書籍なのに、訳者紹介の最後に現住所とか記載してあるし。何が目的なんだろう?

今では信じられないだろうけど、50年位前の雑誌とかはタレントの実名に加えて住所や実家を平然と記載してたり、
漫画家のファンレターの送り先としても、モロに住所記載してるから、そこに子供がおしかけるみたいな事が普通にあった。当時のマスゴミは個人情報やプライバシーなんて感覚がゼロだと解る。

にしたって88年には流石にそんなことしてる書籍は普通は無いし。
おくづけに出版社住所が書いてあるから作者のを記載する必要は皆無。
カマッテチャン?

「シャマルダルの宝」と「アブー・ムハンマドの話」は如何にもつけたしつけたしした話って感じ。

「魔法の泉」は王子が泉の水を飲んで性別が変わってしまう呪的泉の話。別の水飲んで元に戻るから、高橋留美子は元の話を何処か別ので読んでたとか?らんま1/2は87年からの連載だし。

らんま1/2 1 (少年サンデーコミックススペシャル)
らんま1/2 1 (少年サンデーコミックススペシャル)

「陸のアブダッラーと海のアブダッラー」は人魚や海中の生活が出てきてファンタジー的になかなか。

中でもダンダーンという巨大な魚の肝油を体に塗ると、人間が水中呼吸できるようになるってのは、
D&Dマジックアイテムのウォーターブリージングポーションのアイディアはここからだったのかと気づいた。

冒険者の宝物庫 ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 サプリメント
冒険者の宝物庫 ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版 サプリメント

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2017年07月28日

アラビアンナイト〈2〉まだ知らないふしぎな国へ (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト―まだ知らないふしぎな国へ〈2〉 (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト―まだ知らないふしぎな国へ〈2〉 (講談社 青い鳥文庫)

「バグダッドの漁師」
「ハーシブとクジャクの王子」
「秘密のとびら」
「ガラスのゆめ」
「イヌになった兄弟」

の5話。後書きはイスラム教について。

読んでて気になるのは、これ川真田純子って訳者が何を底本にしたのかってこと。

1987年の本なので1984年のマフディー版が底本になってる可能性も時系列的にはあるけど、

The Thousand and One Nights - Alf Layla Wa-layla, 2 Vols.: The Classic Edition by Muhsin S. Mahdi (1984-1994) With a New Introduction by Aboubakr Chranbi
The Thousand and One Nights - Alf Layla Wa-layla, 2 Vols.: The Classic Edition by Muhsin S. Mahdi (1984-1994) With a New Introduction by Aboubakr Chranbi

訳者が真アラビアン・ナイトってのを81年に出してるので、それを文庫化してる流れならマフディー版ではない。

真アラビアン・ナイト (1)
真アラビアン・ナイト (1)

てーとアラビア語刊本がベースならカルカッタ版もしくは他の写本なのかなー?
子供向けってだけでなく相当に脚色してあるから解り難い。
しかも、訳者は1993年に亡くなってるし。
アラビア語とスペイン語を学んだ人って事で、英語や仏語版からの翻訳とも思いづらい。
子供向けって事だとガラン版が多いと思うんだけど、あれはフランス語翻訳版なんだよね。
しかも

・アラジンと魔法のランプ、
・シンドバッドの冒険、
・アリババと40人の盗賊、
・空飛ぶ絨毯、


はガラン版には収録されているけど、
元々は「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」じゃない!
なので、それらが続刊の中で出てきたら、アラビア語の専門家と言いながら、何故かフランス語のガラン版つかってんじゃねえか!って判読ができる。
脚色があまりにつよいし、色んな違和感があるんだよなー。

ただ通貨単位のディナールやディルハムとか地名もバスラ、クーハ、カルフなど他の子供むけ版より詳しい。
それと、イスラム教の説話っぽい面が他よりも強い感じが比較的にする。

今昔物語が仏教説話として利用されたのと同じで、解りやすく伝える用途のエンタメでもあったんだろうけど、後書き含め、それを伝えたかったのだろうか?

今昔物語(上)―マンガ日本の古典 (8) 中公文庫
今昔物語(上)―マンガ日本の古典 (8) 中公文庫

あと、ピックアップや大幅なアレンジ脚色があるのなら、もう少しって感じもしなくもない。

「イヌになった兄弟」って話は1巻目の「商人と魔人の物語」の一部とも似ているので、

>アラビアンナイト〈1〉―王子と魔法の物語ほか (講談社 青い鳥文庫)
http://read.seesaa.net/article/452071133.html

実際には千夜一夜物語は千話はないものの古典ですらネタギレ、ネタカブリな上に、割と何度も何度も引っ張った形跡が見れる話。

そもそもが多くの人々に語り継がれた=ソーシャルフィルタリングとキュレーションを口伝の中で繰り返し、密度が濃くなって生き残ったものを収録してあるのだろうけど、パクリはされまくってただろうからねえ。

物語や連載ってのは長いから有難い訳でもなんでもなくて、巧妙な構成とキリのいいエンデイングの方が重要だと判る。

まあそれを言ったらアラビアンナイトの物語のエンデイングは割とめでたしめでたしではなくて、煮え切らない感じの終わり方の方が多い。それも元々がそういうものだって証拠でもあるのだけど。

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新編アラビアンナイト〈下〉船乗りシンドバードの冒険ほか (講談社青い鳥文庫)
新編アラビアンナイト〈下〉船乗りシンドバードの冒険ほか (講談社青い鳥文庫)

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2017年07月24日

アラビアンナイト〈1〉―王子と魔法の物語ほか (講談社 青い鳥文庫)

アラビアンナイト〈1〉―王子と魔法の物語ほか (講談社 青い鳥文庫)
アラビアンナイト〈1〉―王子と魔法の物語ほか (講談社 青い鳥文庫)

今の青い鳥文庫のはコレ。

アラジンと魔法のランプ 新編 アラビアン ナイト (講談社青い鳥文庫)
アラジンと魔法のランプ 新編 アラビアン ナイト (講談社青い鳥文庫)

天野喜孝イラスト版は87年初版で既に絶版なんだけど、表紙だけでなく挿絵もみたくてわざわざそっちを探した。

これビジネスとしては難しい所だよね。
現代の子供向けだと天野喜孝のおどろおどろしい絵だと食いつきは当然悪いだろうし。
一方で、折角の絵を眠らせるのもなー。

挿絵なんて電子書籍で好きな方選べるようにして当然な位の時代だと思うんだけどね。

俺はアラビアンナイトは2歳から色々とこれまでも読み比べているので、子供向けの内容らしく平易な文体で、原作を伝えるという感じより、コミカルな誇張描写も加えてる感じがした。

ツカミとしてピックアップした話も有名な奴でなく、マイナーだけどインパクトがあるのを上手くチョイスしている感じがした。

子供向けだけあって流石に千夜一夜物語とは、浮気されて女性不信になった王様が毎晩、娘を殺してたのを、シェヘラザードが諫める意味も含めて千夜の間、ネタを引っ張る形で物語を連夜聞かせたものって設定からスタートはしてないW

だけど、あとがきにはちゃんと説明としても書いてあるんだけど、
何で妃の浮気相手が「黒人奴隷」ってのだけは詳しく明記してんのW
川真田純子さんには其処にこだわりがあった?W

割と、うっかりものの医者や商人としてユダヤ人ってのも作中で明記されている。

多分にそういうのを全部なくしてしまうと元々の原典にあった当時のものの考え方や価値観や文化などが薄れて、味も素っ気もない、もしくは甘ったるいだけの物語になってしまって、背景に何があったとか側が隠されてしまう事に対して、何かしらの抵抗があったのかなとも。

アラビアンナイトの内容での女性や子供や奴隷に対しては人命軽視してる容赦なさ、酷さについてはちゃんと書いてあって、そういう所は明確な態度が読み取れて良い。

格差やサツバツがあったからこその出世物語や冒険譚なので。

主人公達に超ラッキーみたいなのはあるけど、安全を保障されたチートではなく、逆に理不尽な不運からどうやってリカバリするかって話の方が多いし、山あり谷ありだから物語になってる事が引き込みとしては重要な事を再確認させてくれる。だからこそ様々なバリエーションにはなってるものの、悠久の時を超えて語り継がれてはいるんだろう。

この本は、
「王子と魔人の物語」
「アランダス」
「アブーシールとアブーキールの物語」
「ドゥバーン博士の首」
「お菓子やさんとオウム」
「商人と魔人の物語」

の6話。

大人なら超サクサク読めるので、残りの6冊も読み進めていく。

アラジンと魔法のランプほか―新編アラビアンナイト〈上〉 (講談社青い鳥文庫)
アラジンと魔法のランプほか―新編アラビアンナイト〈上〉 (講談社青い鳥文庫)

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2017年05月27日

アラビアン・ナイト ディクソン編 岩波少年文庫(上)

アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)
アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

ふと読んでみたのだが、これ子供向けにそのままでいいのか?って。

というのもディクソン編であり、冒頭にガランのフランス版が底本とあるが、ガラン版は確かに子供向けだけど、アラビア語の古写本→フランス語→英語→日本語って、あんまりな重訳だよね。

加えて、アントワーヌ・ガランは自身が入手した写本には282夜分しか無くて結末もない。なのにタイトルは「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」=「千夜一夜物語」って書いてあるからガランは「1001話に全然足りない!」ってので無理やり他の話を追加して盛った。嘘八百や八百八町が別に八百じゃ無いように「多い」って意味だろどう考えてもとは思わなかったんだろな。

つまり、ガランが先に書いていた「シンドバッド」と、追加した「アラジン」や「アリババ」は「千夜一夜物語」じゃなかったのだ。

シンドバッド 黄金の航海 [DVD]
シンドバッド 黄金の航海 [DVD]

マギ シンドバッドの冒険 COMPLETE BOX(完全生産限定版) [DVD]
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アラジン ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
アラジン ダイヤモンド・コレクション MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

なのに、この本は徐に「シンドバットの航海」からスタートしてる。

内容紹介も

>ゆたかな空想に色どられたお話の宝庫『千一夜物語』.長短あわせて264編もあるふしぎな話,こわい話,おもしろい話の中から,とりわけ名高い16編を選びました.上巻には「船乗りシンドバットの航海」「アラジンの魔法のランプ」など,下巻には「アリ・ババと40人の盗賊」「魔法の馬」などを収めました.[解説 西江雅之]


選集だからタイトルは「アラビアン・ナイト」にしたんだろうけど。

何言語も経由した伝言ゲーム重訳と、
近年の研究からそれは間違いってなってる事をそのまま子供に読ませていいものかね?


聖徳太子や源頼朝、足利尊氏や武田信玄、西郷隆盛の肖像は別人だとか、

なぜ偉人たちは教科書から消えたのか 【肖像画】が語る通説破りの日本史
なぜ偉人たちは教科書から消えたのか 【肖像画】が語る通説破りの日本史

鎌倉幕府は「いいくにつくろう」じゃなかったって状態を放置して子供に読ませ続けるみたいなもんじゃね?

ちなみに今は1185説が主流だから「いいはこ」。

こんなに変わった! 日本史教科書
こんなに変わった! 日本史教科書

俺の手元のは2001年のこの本自身の新版なんだけど、これアプデしなくていいの?

文庫とかもだけど、子供に夏休みに読めだのって作品の多くは古典だのの版権切れのでそれで稼ぐビジネスモデルをまだやってるみたいだけど、ネットや青空文庫がある時代にやろうってのは聊か限界があるんじゃね?

菊池寛が訳したのが回線費用と電気代だけで読めるし。

>アラビヤンナイト 01 アラジンとふしぎなランプ
http://www.aozora.gr.jp/cards/000083/card43122.html

>アラビヤンナイト 03 アリ・ババと四十人のどろぼう
http://www.aozora.gr.jp/cards/000083/card43123.html

>アラビヤンナイト 04 船乗シンドバッド
http://www.aozora.gr.jp/cards/000083/card43121.html

なのに、この本はアラジンに関しては姫と結婚して終わりって、一般に知られてるレベルより端折りすぎだろ!

そして、この本はシンドバッドとアラジン以外に何が載ってるかというと「ペルシア王と海の王女」「ベーデル王とジャウワーラ姫」って話なんだけど、これに思い当たる話がwikipediaの千夜一夜物語のあらすじ1000夜分の方に該当すると思しい話がない!(全部目を通した。)

>千夜一夜物語のあらすじ wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E5%A4%9C%E4%B8%80%E5%A4%9C%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98

加えて王様とか高貴な方々の発言の筈なのにP.228には「だもんで」とか、P.240には「かっさらって」とか、訳者のお里が知れる言葉遣いがそのまま掲載されてて、子供が読んでも違和感を普通は感じると思う。編集者って何の仕事してんの?

確かに、あらすじの方を参照頂ければ、脚色の多いバートン版やマルドリュス版の影響だか脚色だらけで、これだと不倫と人身売買の話ばっかりみたいな印象になりかねないから、底本どうするかは大きい。

フランス人やイギリス人が誇張したのでなく、なるべくアラビア語から訳した方が良いと思う。
まあそうすると、シンドバッドもアラジンもアリババも除外って事になるけどなW

アラビアン・ナイト〈下〉 (岩波少年文庫)
アラビアン・ナイト〈下〉 (岩波少年文庫)

posted by wolf_howling at 23:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月15日

美女と野獣の「野獣」イメージの移り変わり2

美女と野獣 オリジナル・サウンドトラック デラックス・エディション(日本語版)
美女と野獣 オリジナル・サウンドトラック デラックス・エディション(日本語版)

>美女と野獣の「野獣」イメージの移り変わり
http://read.seesaa.net/article/449892060.html

続き。

http://mjoseph.comminfo.rutgers.edu/Images_Beauty_Beast.html
上記のだとウォルター・クレイン版の挿絵が1870年。

La Belle Et La Bete
La Belle Et La Bete

御覧の通り、野獣の頭部はイノシシである。
なんかベルが野獣を絞め殺してる構図みたいにみえなくもねえけどw

インターネットアーカイブに本の全部が収録公開されてた。
https://archive.org/details/beautybeast00cra

80年代後半は猪、獅子とか悪魔から遠ざかって動物モチーフだらけになる。

1910年を過ぎるとラヴェルのピアノ連弾マ・メール・ロワ第4曲 美女と野獣の対話がバレエになるなどで、

Bolero / Ma Mere L'Oye / La Valse
Bolero / Ma Mere L'Oye / La Valse

ブームがリバイバルしたせいか作品点数が増えるが、割と好き勝手な野獣のデザインが増える。

それでも割と猪が人気で驚くw

俺、ヘンリーフォードの猪みたいな象みたいなデザインの好き。

merchant-caught-by-the-beast.jpg

イタリア版のZelinda and the Monsterを含むともう「バケモノ」前提なのでデザインは超好き勝手。

>Zelinda and the Monster – The Italian Beauty and the Beast.
http://www.pookpress.co.uk/zelinda-and-the-monster-story/

そんな感じでアン・アンダーソン画とかモンスター風デザインの表紙絵も多いんだけど、

9781473326323_BeautyAndTheBeast_Origins_19.png

何のモチーフもないデザインだとデータ的に収拾つかなくなることは見えてるので、
もう他人が纏めてくれて解ってる時系列は無視して、逆にフランスの原典La Belle et la Bête側に遡ってみる事とする。

とかいっても検索してみるとこういうページが既に

>The History of Beauty and the Beast
http://www.pookpress.co.uk/project/beauty-and-the-beast-history/

これを見ると1885年のは猪。

BeautyandtheBeast_PeterThompson_3.jpg

1875年のは黒いサーベルタイガーみたいなの。

BeautyandtheBeast_VBoyle_4.jpg

なんかこのサイトで紹介されてるブログを纏めたみたいな書籍の表紙の象さんが超気になるW

Madame de Villeneuve's Original Beauty and the Beast - Illustrated by Edward Corbould and Brothers Dalziel
Madame de Villeneuve's Original Beauty and the Beast - Illustrated by Edward Corbould and Brothers Dalziel

http://www.pookpress.co.uk/shop/villeneuves-original-beauty-beast/

アーサーラッカムだのの版権切れの絵とか、文章を纏めて売ってるみたいね。
http://www.pookpress.co.uk/project/beauty-beast-illustration-gallery/

でも、ギャラリーに表紙の象のは載ってないという・・・

しかも、画像検索したが邪魔臭いPinterestのばっかかかって結局、原典が解らず。
こういう点、ソース側でないフェイクニュースだの、ただのまとめサイトをSEOだので上位に持ってくるGoogleは検索としてもうオワコンって事が非常に良く解る。

仕方ないので放置。

色んな時代のを纏めた記事がコレ

>The Beast
http://nydamprintsblackandwhite.blogspot.jp/2012/11/the-beast.html

古い方は猪より狼な様子と見とったのはあってる模様。

そしてコレ。

Beauty and the beast
https://www.kb.nl/themas/kinderboeken-en-strips/sprookjes-in-de-kb/beauty-and-the-beast

読み通り、先ずは悪魔や狼が野獣のイメージで

xke425_p_34.jpg

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次に猪ブーム。

Beauty And The Beast (Two Versions) (Golden Deer Classics) (English Edition)
Beauty And The Beast (Two Versions) (Golden Deer Classics) (English Edition)



その次に何故か、熊ブームが到来する!w

Beauty and the Beast: The Ultimate Collection
Beauty and the Beast: The Ultimate Collection

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La Belle et la bête, livret et cassette audio
La Belle et la bête, livret et cassette audio

で、その後に映画の影響だかでライオンブームが来るんだけど、

The Singing, Springing Lark (First Edition): The Brothers Grimm 'Beauty & The Beast' Fairytale (English Edition)
The Singing, Springing Lark (First Edition): The Brothers Grimm 'Beauty & The Beast' Fairytale (English Edition)

La belle et la bête
La belle et la bête

俺が調べてて一番面白くおもったのは1969年のEric Winter画版。

Vintage Ladybird Book BEAUTY AND THE BEAST Well Loved Tales Series 606d Matte Hardback 1970 https://www.arranalexander.co.uk/vintage-ladybird-book-beauty-and-the-beast-well-loved-tales-series-606d-matte-hardback-1969-5990-p.asp

美女と野獣

美女と野獣

美女と野獣

アメリカンパルプなイラストテイストも懐かしくて良いですけど、

野獣は「イケメンゴリラ」ですよ!
でも、逆にゴリラって怒らせなければ怖くは無いから言いえて妙。

イケメンゴリラ 君の瞳に乾杯!
イケメンゴリラ 君の瞳に乾杯!

そして2017年ペーパーバックの表紙をみたら、また猪になってる。
それで気づいたのは多分に野獣のキャラはイメージが定着しちゃうと、本来、ツカミに必須な外見の怖さが薄れてしまうのではなかろうか?

ぱっと見に「え!?」って思ってもらうデザインにする事の試行錯誤であの手この手を300年間、それぞれの時代の挿絵描きやデザイナー達がしてきた結果、飽きたら変える&浮きすぎないってのを意識した結果が、猪、熊、獅子などの一過性ながらも纏まってたり偏ったブームがある理由なのかもしれない。

Beauty and the Beast
Beauty and the Beast

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美女と野獣の「野獣」イメージの移り変わり

美女と野獣 オリジナル・サウンドトラック - デラックス・エディション-<英語版[2CD]>
美女と野獣 オリジナル・サウンドトラック - デラックス・エディション-<英語版[2CD]>

日本科学未来館の「ディズニー・アート展 いのちを 吹き込む魔法」でデザインスケッチやコンセプトアートが多く展示されているのだが、

ディズニー黄金期の幻のアート作品集: THEY DREW AS THEY PLEASED Vol.1 1930年代に活躍した4人のアーティストの人生と、その素晴らしき作品たち (THEY DRAW AS THEY PLEASED)
ディズニー黄金期の幻のアート作品集: THEY DREW AS THEY PLEASED Vol.1 1930年代に活躍した4人のアーティストの人生と、その素晴らしき作品たち (THEY DRAW AS THEY PLEASED)

そういえば美女と野獣ので、デザイン中の野獣の顔はマンドリルだったなと思い出した。

シュライヒ ワイルドライフ マンドリル (オス) フィギュア 14715
シュライヒ ワイルドライフ マンドリル (オス) フィギュア 14715

以前、洋書の画像検索をしていて、ふとした事から美女と野獣の「野獣」イメージの移り変わりに興味を持ったことがある。

絵を纏めてる方も海外にはいたんだけど、
http://mjoseph.comminfo.rutgers.edu/Images_Beauty_Beast.html

これはBeauty and The Beastの歴史で1800年代の作品であって、より原作は古いんだよね。

1740年にガブリエル=スザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ夫人が書いた「La Belle et la Bête」が最初。

なのでフランス語の方をあたる。

https://lesmondesdeblanche.wordpress.com/2015/08/03/une-romance-intemporelle-la-belle-et-la-bete-17401757/

このエントリの一番古い挿絵の写真はフランク・ラウが書いたものだそうで、書籍の年数を拡大して見ると「1756年」とある。

https://lesmondesdeblanche.files.wordpress.com/2015/08/img_4079.jpg

「1756年」なのでこれは所謂、ボーモン夫人として知られるジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモン版だと判る。

La Belle et la bête (Classics To Go) (German Edition)
La Belle et la bête (Classics To Go) (German Edition)

ビーストって言葉が悪魔を意味するものでもあるので、この画像だと、狼の容貌で足が鳥みたいな感じ。

この本の表紙と同じ画像がエントリにも載ってるので多分にこの本から撮影したんだろうけど。
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/815yOF2FQ9L.jpg

La Belle et la Bête



収録されている画像を見るに、これなんてまんま狼だね。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51xgAoXpBPL.jpg

La Belle et la Bête

てことで、大元に遡るとイメージは「悪魔」、後に「狼」。

じゃあ何で今はライオンみてえなのが多いんだ?って事だけど、
ディズニーが白雪姫やシンデレラ、アリスの服装含めてイメージ固定をしてしまっている影響はあるけど、

白雪姫 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
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シンデレラ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
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ふしぎの国のアリス MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
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多分にこの1946年のジャン・コクトーのモノクロ映画のデザインパクリなんじゃねえのかなと。

美女と野獣 [DVD]
美女と野獣 [DVD]

舞台含め着ぐるみなり特殊メイクをせざるを得ないのでそれに無理のないデザイン含めてこれにジャン・コクトーの場合はおちついたんだろうなってわけだけど。

絵なら関係ねえよなあー!でぃずにー!(苦笑)

ホントはこういうパターンがあるって版権切れの画像やペーパーバックの表紙をAmazonのエンベッドで纏めるだけのつもりだったんだけど、なんか長くなったからとりあえずここまでで区切る。

続きはこちら

>美女と野獣の「野獣」イメージの移り変わり2
http://read.seesaa.net/article/449893390.html

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2017年05月04日

『新・日本の経営』(日本経済新聞社, 2004年)

新・日本の経営
新・日本の経営

唐突だが、俺は週間予報とか3か月予報というムダは辞めた方が良いと数十年前から思っている。
というのも半日後の天気ですらいまだに当たらない精度で、数日先はおろか数か月先などを読む事自体に意味がない。それを大々的にばらまく風説の流布に何のいみがあるのだろう?
というか、多くの一般人にとって天気の主な問題は「雨が降るかどうか」であって「随時。折り畳み傘を持っていれば別に何ら問題はなくなる」

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他人の占いに自分の行動判断をおもねても誰に責任転嫁できることもない自己判断なのだから雨が降ろうと傘を持っていれば大抵は問題なくなるのだから天気予報というものを見る時間の無駄もなくなり、有効に時間を使える。
但し、現在何処に雨が降っているかの情報は有用だ。
https://weather.yahoo.co.jp/weather/raincloud/13/
所詮、人間は予知より、今何が起きているかをどれだけ早く情報取得するかの方が必要なのだ。

ということで、天気予報だのは的中度だのを出してみれば全くの無駄ということも更に解ると思うのだが、
経済占いについても同じことが言える。
ニュース番組の解説者が言った占いの結果はどうだったのかを後から検証すれば誰が大外れというか意図的な飛ばしをやってたかどうかまでわかる。
読み捨てられる新聞や、刹那的な生放送だった時代と誓って今は録画までできアーカイブできるから、誰が嘘吐きか良く解る。

結果論という言葉があるが、そもそも全ては結果次第だろう。

この本は「終身雇用」という言葉の生みの親、ジェームズ・アベグレンの最後の著書で、既に日本の「終身雇用」というものは崩壊して現在のアホノミクス、黒田バーカの混迷経済の続くばかりの現状だ。

どアホノミクスとトラパンノミクス どっちも「アホ」たる30の理由
どアホノミクスとトラパンノミクス どっちも「アホ」たる30の理由

1991年のバブル崩壊後に

バブル:日本迷走の原点
バブル:日本迷走の原点

2008年にリーマンショックがあったわけだが、

リーマンショック以後―変貌する資本主義
リーマンショック以後―変貌する資本主義

この本は2004年に「失われた10年はなかった」だのたわけた事を書いている。
実際は失われた20年の後も更に失われた時代が続いている。

作者はリーマンショックをみるまでもなく2007年に他界しているのだが、この時の占い師の戯言がどういう結果になったかを見てやろうと思って読んでみた。

ただ占いというのは全て嘘で固めるわけでなく、ある程度の本当を混ぜておかないと誰も騙される人間が居なくなる。そういう所含めて、都合のいい数字のデータだけ引っ張ってきてる陳腐な占いだなと思いながら読んだ。

のだが、日本的なクライマックス技法で書かれる書籍と違って、合理的に結論ファーストで書かれているレポート技法である構成は時間の無駄が無くて良いと思った。(こんな古本読んでるだけで相当に時間の無駄だが、そういう余裕こそ「遊び」だからそれはいいのだW)

加えて、「日本が何を失ったから衰退したのか」がこの本を読んでなんとなく俺は再確認できた。

既にそれは1章に書かれている。

それはジェームズ・アベグレンが「日本的経営」と呼んでいたものの一部だ。

日本的雇用制度はどこへ向かうのか
日本的雇用制度はどこへ向かうのか

P.22 >日本の企業は社会組織、社会の共同体であり、共同体の全員が将来にわたって幸福に生活できるようにすることを目標にするとともに、十分な成績を達成しようと努力している。


この後にジェームズ・アベグレン曰くの「日本的経営」として、合意に基づく意思決定、「終身雇用」、「年功序列」、「労働組合」と続くのだが、

今、日本の企業の中で会社という「共同体の全員が将来にわたって幸福に生活できるようにすることを目標にする」企業がいったいどれだけあるだろうか?

その後に第4章で「終身雇用制は終わったのか」との内容で大企業だけの数字をピックアップして下らない当時の現状擁護をしてもいるのだが、この書籍は『新・日本の経営』であって、雇用されてる側の事は考えてない偏りが、あまりにも正確な事実をとららえることができなかった最大の欠点だと其処からも良く解る。

偏った物の見方は当然、誤った読みを齎す。

其れの最たるものが欧米という衰退国家のやり方を模倣した様々な事で、その行き詰まりが現在の衆愚政治の末路に現れている。

この書籍には欧米の猿真似が危険である事は述べられており、様々な海外進出やM&A失敗例も挙げられているが、中でも悪質なのが「アメリカ型経営」である。

アメリカ型の経営は経営者と株主の為に企業があり、それらの利潤追求からすれば労働者は敵対関係に必然的になる。
日本の経営者は当時猿真似も極まって、経営責任も碌にとらないのに肩書だけCEOなどと変更したりもしていた。

そのCEOのストックオプションや年金を「コスト」として計上する一方で、CEOは労働者の数百倍の給与をもらいつつ、リストラも経費と称して労働者を切り捨てたのが欧米流のやり口だ。
挙句が大型倒産が増えた。
ストックオプションを持つCEOや株主の目標はIPOをして株価を上げた後に売り払う事にある。
それは株の発行で経営資金を集める企業側の目的や、配当を得る事を目的とした株主の関係から完全に逸脱した賭博でしかない。
しかもこの本にも書かれているが1996年当時の会計報告ではマイクロソフトは28億ドルの純利を計上していたが、ストックオプションコストを差し引くと102億ドルの赤字企業だった。
世界一の金持ちビルゲイツの経営実態はそんなものだ。

トマ・ピケティが数年前に今更述べるまでもなく、当時の世界銀行の分析でもアメリカの貧富差はエチオピア、ガーナ、カンボジアのようなプランテーション後の独立国などと同レベルだったのだ。(P.266)

21世紀の資本
21世紀の資本

そして株価を釣り上げる為にアナリストやマスゴミと癒着し、挙句が会計の不正操作にまで至った。

エンロン事件のあと、アメリカ企業の10%以上が粉飾決済を認めて、過去の修正をした。
その結果、それらの企業の時価総額が1000億ドル減少した。(P.208、209)

エンロン事件再訪:金融界で繰返された同じ過ち 社会学者らが見たコーポレートガバナンス論A
エンロン事件再訪:金融界で繰返された同じ過ち 社会学者らが見たコーポレートガバナンス論A

中国から報告される成長の数字があてになりっこないのはこの本が書かれていた2004年でも既に当然の如く指摘されているが、何のことはないアメリカも中国と同レベルでしかない。

そしてそんなアメリカもリンカーンは

>「労働は資本より先にあり、また独立したものである。資本とはたんに労働の果実に過ぎない。労働が先になければ、資本は決して存在しえないだろう。労働は資本にまさり、またより真剣に考察されるに値する。


と言っていたのだ。

https://ja.wikiquote.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%8F%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%B3

>Labor is prior to and independent of capital. Capital is only the fruit of labor, and could never have existed if labor had not first existed. Labor is the superior of capital, and deserves much the higher consideration.


それに比べて、拝金主義のレイシストでナショナリズムを煽るだけのデマゴーグを衆愚政治でトップにまでしてしまった結果、就任後100日経とうが何の公約も果たせないまま嘘吐きである事にやっと気づき、挙句が最低の支持率記録を更新し続けてる国がアメリカだ。

そんな奴の所に何度も訪問し、嘘吐き大統領に「米は日本と100%ともに」と言われた!とか嬉しそうに言ってるポチ外交首相なんかを支持してる日本を傾けてる現実をみようともしない連中なんかが選挙権をもってる事での衆愚政治の結果だけどな!

日本の最高支持率をもってる首相は北朝鮮に米くれてやってた歴史的事実からみても、人気投票でしかない衆愚政治のザマが今の無責任極まりない有様だって普通の脳みそ持ってれば気づくよな。

終章のアジアの未来展望で、当時の中国の急な発展と、まだ上昇傾向にあった韓国経済についての読みも、大したことはないのだが、当時からこの現在に渡っても既に賠償もすんでいる第二次大戦をネタにしたゆすりを中韓のクズどもがいまだに続けていて、それにみかじめ料を血税から払い続けても何の結果も出せていない状態を外交とぬかす政治家や役人の無能ぶりが改めて確認でき憤る次第だった。

なぜ中韓はいつまでも日本のようになれないのか わが国だけが近代文明を手に入れた歴史の必然
なぜ中韓はいつまでも日本のようになれないのか わが国だけが近代文明を手に入れた歴史の必然

日本は衰退する欧米などの猿真似はやめて、日本が発展していた頃の強み、
「短期的な利益でなく長期に企業という家族的な組織を長持ちさせる事を意識した経営」
に立ち返るのが本来アタリマエなのではなかろうか。

日本の経営 〔新訳版〕
日本の経営 〔新訳版〕

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2017年03月08日

中世大学都市への旅

中世大学都市への旅 (朝日選書)
中世大学都市への旅 (朝日選書)

教育機関の成り立ちの背景として、教会や王侯貴族の勢力背景も興味深かったし、
教会を母体とした学校の成立の場合、神学に始まるが、
そのうち、他の国や組織とのやりあいをする為には法学が必要になり、
その後、多くの人の役に立つ実用的な医学の格が上がっていくのも、
ギリシャ都市国家群やローマ帝国最盛期時代から狂信のせいで暗黒時代に衰退し、科学を否定したインチキ宗教では実際に人を助ける事ができなかったという事実からヨーロッパ人が経験則から学んだ無知からの復興の流れの様で面白かった。

様々な資料の引用が大量にみられ、その幅広さもなかなかなのだが、いかんせん、この本の筆者の感想や、余計な解釈、下手くそな比喩、面白くもないジョークと思しい文章など、それらさえなければ資料性はそこそこある本だと思う。

筆者は文献を集めて、把握し、必要個所をまとめ上げるというスキルは非常に高い人なのだろうと認めるが、解りやすい説明や文芸力側がからっきしなのに何故、文筆して自己主張しようとしてしまうのかねえW

人は無いものねだりをするという事もよく伝わる書籍だった。

ヨーロッパ 大学都市への旅―学歴文明の夜明け
ヨーロッパ 大学都市への旅―学歴文明の夜明け

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2017年03月04日

「イルーニュの巨人」クラーク・アシュトン・スミス

イルーニュの巨人 (創元推理文庫)
イルーニュの巨人 (創元推理文庫)

こないだ「アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚」の方を読んだんだが
http://read.seesaa.net/article/447326047.html

「アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚」の翻訳文があんまりなので、こっちも読んだ。

んだけど、やっぱダメだな。

井辻朱美の文体はエターナルチャンピオンシリーズで辟易してたので、忌避して「アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚」の方を読んでみようかと思ったけどダメで、こっちを読んでもやっぱダメな事が判ったという…。

加えて「アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚」の方は作品中の年代順に並べてあるって事には論理的に何の意味もメリットも感じなかったのだが、
「イルーニュの巨人」は、それこそ編集って行為を放棄してるとしか思えない酷さだった。

クラーク・アシュトン・スミスの作品世界観には古代ハイパーボリアや未来のゾティーク、ムー大陸やアトランティス、レムリアに、中世からルネサンスにかけての魔法がある設定フランスのアヴェロワーニュなどがあるのだが、井辻朱美のこの本はそれがしっちゃかめっちゃかな順で収録されている。

脈絡もテイストも構成としても何か意図があると全く思えない順番だった。
これならまだ大瀧啓裕が纏めて分類して3部作にしてる方がまだ妥当な気がしてきた。
でも、結局はそれら全部が評価が低い出来やニーズが低い売れ行きだから4冊とも絶版全滅状態なんじゃねえの?

東京創元社は復刊再販のハッシュタグ集計アンケとかハヤカワの真似みたいな後追いしてたけど、新刊ラインナップ説明会だ何だって以前に、そもそも新刊出すときの企画や品質が伴わなければ、復刊以前の問題だと思う。
碌に売れもしない本は復刊希望以前に「商売でやってる筈なのに何で出したんだ?お遊びか?」って話だし。

ヒュペルボレオス極北神怪譚 (創元推理文庫)
ヒュペルボレオス極北神怪譚 (創元推理文庫)

ゾティーク幻妖怪異譚 (創元推理文庫)
ゾティーク幻妖怪異譚 (創元推理文庫)

アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚 (創元推理文庫)
アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚 (創元推理文庫)

posted by wolf_howling at 06:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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